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猫伝染性腹膜炎【FIP】を発症したうちの猫のこと  作者: なちも


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2/2

異変 その1…耳の裏の掻きこわし

 2024年2月――ふと気付いたら、うちの猫の耳の裏が、掻きすぎて禿げていた。


 その年は気温が上がるのが早くて、2月といえど、すでに春の陽気だった。

 頭頃に左右の耳の後ろ側にちょうど対称に歪な丸型にピンクの地肌が見えており、地肌には引っ掻き傷があった。

 去年の春先も同じようになっているのを見つけた。慌てて病院に駆け込んだところ、何らかのアレルギーだろうと言われ、念のためにと薬が処方されたのを思い出す。

 あの時は耳の前側だったが、内服終了後にはすぐに綺麗になった。


 また今年もそれかもしれない。

 

 しばらく様子を見たが、もうひと月になろうかと言うのに、まだ産毛も生えてこない。

 傷の周りも赤いし、いくらなんでも流石にちょっと長すぎるが、排便や食欲には変化はない。

「今度のお休みは病院に行くよ」と言うと、

分かっているのかいないのか、ネコは機嫌よくンーと首を伸ばし喉を鳴らした。


 翌日、病院での診察を受ける。

 様子を見たが、ひと月ほど治っていない旨を伝えると、

「それは、ちょっと長いですね」と、医師が微かに眉を寄せた。


「食欲はありますか?」

「あります」

「外には――」

「出してないです。たまに開いた窓辺で網戸に寄りかかって外を見ていることはありますが、それくらいで…」

「それなら、草に触れたり何かはないですね」

「そうですね…。ただ、私が外に出るので、もしかしたら、靴やコートについた何かに触れる…ということはあるかもしれませんが…」

「うーん…なるほど…」


 言葉が少し途切れた。


「でも、去年も暖かくなり出した頃に耳のあたりが左右とも赤くなって、受診したことがありまして…その時はいただいたお薬ですぐに引いたんですけど…」思わず言うと、

「そうでしたか」

 医師は、思案げに目を瞬いた。

「その時は春先ごろで、時期は今より少し先でしたが、今年はなんだか気温が落ち着きませんし、もしかしたら少し早く出たのかな?とも思っていたのですが…」

「…確かに、少しアレルギーっぽい出方ではありますね」

 私の言葉にサッとカルテを確認し、医師が頷く。

「その時は、お薬を飲んだらすぐに引きましたか?」

 今度は私が頷く番だった。

「はい」と頷くと、

「それじゃあ、一旦、去年のお薬を飲んでみましょうか」ということになって、その日はそれで診察を終えた。


 錠剤が3種類ほど一包化された薬包紙を1週間分飲み終えたころ、ネコの耳の後ろの赤みはすっかりひいていた。


 痒がる様子も落ち着いたようにみえる。


 でも、――今にして思えば、あの時点では、すでに変だったのだ。


 けれど、その時は、それよりも大丈夫だよねと言いたい気持ちが勝ってしまって、微かな違和感に目をつぶってしまった。

 

 

 


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