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0話(コメディ寄りです。1話から読み始めても問題ありません)

 名門と言えないこともない(という事は名門と言い切ることもできない)私立手動高校の屋上からは、煙が立ち上っていた。しかしこの学校にはタバコを吸うような不良生徒は一人もいない。


 この煙は七輪でサンマを焼いている煙である。3人の生徒が屋上でそれぞれの昼食を取っている。金髪でツリ目の男はハンバーガーを、黒い髪を地面まで垂らした巨大な女子は売店で買ったドーナツを食べていた。そしてガタイの良い細目の男は、七輪でサンマを焼いていた。


 金髪でツリ目の男、指宿いぶすきは疲れに打ち震えながら細目の男に抗議した。


「学校の屋上でサンマを煙もうもうと焼いてんじゃねえよ!屋上が燃えてるかと持って全力疾走で来たわ!」


「きっと美味しいですよ、指宿くん。なんせこの魚は秋が旬ですからね。疲れもきっと取れるでしょう」


「そういう問題じゃなくて、学校の昼食ってのは調理済みのものを用意しろっつってんだよ!」


 細目の男、足京あぎょうは何がおかしいか分からないと言った顔だ。巨女の、塩塚しおづかも同意する。


「先輩、皆好きなものを食えばいいんじゃねえのか?」


「そういうことを言ってるんじゃないんだ塩塚。去年からいる俺らと違ってお前は今年入ってきたから知らないかもしれないがこの屋上は立入禁止なんだ」


「えっ!?どういう意味だよ、アタシ、怒られたくないんだが!?どうしよう、推薦に響いちゃうぜ!」


 この屋上の鍵は、天才女スリの「火舞太刀カマイタチ」に育てられた指宿が教師からスッたものだ。ただ「火舞太刀」は指宿が12歳のとき、失踪してしまったのだ。その時からずっと指宿は育ての親である彼を探し続けている。


「俺を舐めるな。あの天才スリ師の弟子だぞ?スッたときにバレてる可能性は0だ。」


「あのって言ってもその人を知らないんだが」


「何回もお前に話したよな!?」


「先輩の話は冗談半分で聞いているぜ!」


「失礼すぎる!本人に向かって言うなよ、割とショックだぞ!」


「残りは面白半分」


「1ミリたりともまともに聞いていない!?まあいい。いや良くはないけどな…まあ、もともと使われてなかったから普通はバレない!だが!屋上から煙が出ていたら流石に誰か来る!」


「成程、その発想はなかったです。さすが指宿くん、天才ですね」


「なんでその発想が無いんだよ!?………痕跡の後始末は俺の能力でやっておく!足京はこっそり塩塚を下ろせ!下ろしたらまた上がってきて俺をだ!」


 言うが早いか、指宿は屋上の床に手をかざし、足京は塩塚をお姫様抱っこした。


「おいちょっと待てや」


「なんです?指宿くん。急がないといけないんでしょう?」


「持ち方がおかしいだろが!持ち方が!おかしいだろ!」


「ハア……よくわかりませんが」


 足京は首を傾げつつも、持ち替えた。おんぶに。


「違う!ふざけるな!!」


「指宿くんはさっきから何にキレているんですか?」


 するとその問いに塩塚が、「先輩はアタシに恋しちゃってるからな!ギャハハハ、友人ダチが言ってたぜ」と小声(少なくとも本人はそう思っている、事実とは異なるが)で答える。


「おい、変なウソを付くんじゃねえ!」


「先輩顔真っ赤だぜ!」


「いや、これはちがうんだ!」


「指宿くんは血も真っ赤ですしね…」


「当たり前だろ!?…もういい!行け!」


「では」


 足京が靴を脱ぎ塩塚を片手で持ち上げる。そうすると足京の足が段々折れ曲がったり、溶けたり。うねったり、ウゴメいたり。そしてその泥のような肉塊は手の形を取った。


足加勢石フットウセキ...舌を噛まないようにしてください」


 足を手に変える。これが彼の能力だ。いつこの能力に覚醒したかは本人も覚えておらず、幼少期から気づいたらできていたらしい。


「何度みてもグロい…アタシこーいうの無理なんだよな」


 足京はすごいスピードでその能力を持って校舎の壁を駆け下りる。


「まあ要るかわからないけどやっておくか…タバコと違法侵入で2アウトってところか?まあ、あいつが戻ってくるまでに終わらせる」


指紋死闘セルフレジスタンス


 指宿が床をなぞると、三人分の足跡から指紋まで、水に溶けるように消えていく。指紋を操る。これが俺の能力だ。


 続く



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