第43話「18時限目 : 迫る体育祭――山吹色のWデート」
<帝暦2030年 9月28日 13時16分 “王都総合学園” パソコン教室にて――>
『さ~て、本日がデッドヒート・グランプリ閉会セレモニーですね。』
『現場の様子を伺いましょう。端野アナ、端野アナ~?』
「はぁ……。」
テレビを消し、マウスから手を放す。
「あ~もう!テレビもネットにも情報ゼロかよ!」
行き詰まった俺は天を見上げた。
「やっぱ、皇帝絡みの事件はタブーなんだろうな……。」
ああ、もう疲れた……。
「あ〜!こんなところにいた、ゲート君!」
……いつの間にか天使を見上げていたようだ。
マナが俺の顔を覗き込む。
「いやー、この間の戦いが報道されていないからネットサーフィンしてただけだ。……マナこそ、なんでここに?」
「もー、私に言いそびれたこと、あるでしょ?忘れてないんだからね?」
あー、そういや……。てか何で体操服着て……。
……あ。
気づいたと同時に、予鈴が鳴った。
「やっべ……!ごめんマナ、その話は練習の時に!」
俺はダッシュで教室を後にした――。
<グラウンドにて――>
「二人三脚のメンバーは、ここで練習だ。」
担当教員が説明する。
「息と歩幅を合わせるのって、結構難しいな……。」
体育祭に参加するのは久しぶりすぎて、動きが掴みづらい……。
「……あの時誘ったのは」
息を合わせながら、マナに真意を説明する。
「一人は危険だったし、お前だけは信頼できるから……。」
「ひゃっ!!?」
突然、マナの足が縺れ、バランスを崩す。
「やっべ……!」
そのまま二人とも転んでしまった……。
「てて……大丈夫か、マナ!?」
……間一髪、俺が地面に滑り込んだおかげで、彼女は無傷だったわけだが。
「……う、うん。」
マナがそっぽを向く。
なんだ……!?やっぱり尾行に巻き込んだこと怒ってた…!?
周りは騒がしいはずなのに、不安で何も聞こえてこない……!
「ご、ごめんマ――」
「しゅ…週末。」
重苦しい空気が、マナの声によって突如破られた。
「……週末、埋め合わせのデートに付き合って。」
え……埋め合わせ?贖罪のチャンスをくれるってこと……?
「……分かったマナ、ありがとう。」
や、優しい……!
「あと……離れてもらってもいいかな……?」
へ……?
マナの一言に一瞬、頭にハテナが浮かぶ。だが、すぐに理解した。
傍から見れば、俺がバックハグしてる構図になるという事に……!
……密着していることを自覚した瞬間、恥ずかしさで飛び上がる!
「ご、ごめん!!た、立てるか?!」
手を差し伸べる。流石に、これくらいはしないとな。
「あっ、ありがとう。」
マナが手を掴み、立ち上がる。
「私が二人三脚に君を選んだのはね……」
手を掴んだまま、彼女が口を開く。
「……選んだのは?」
こころなしか、心臓がバクバクする……!
「ヒ・ミ・ツ……ふふっ!」
おいおい……!
――ブリッツ・レオ二ウスが一瞬、こちらを見てニヤリとしたような気がした。
※ ※ ※
<帝暦2030年 10月3日 9時27分 アルトリア電鉄 学園前駅 改札にて――>
「こ、ここで合ってるよな……。」
一昨日ルシファーと買った青いGジャン×ボーダーのシャツに黒いズボンコーデ、変じゃないよな……。
ソワソワしながら待ってると、こちらに近づいてくる人影が見えた。
「おっ、マナ!こっち………ぃぃいいい!!?」
目の前にいたのはマナ……だけでなく、エルシア会長と、メビウスもいた。コイツは何故か、俺とペアルックで。
「お姉ちゃんとして話すの、久しぶりだね。」
会長がメビウスの腕に抱きつきながらニッコリする。
「僕は姉様の傍にいれるだけで幸せだけどな〜。」
コイツ、満更でもない顔をしやがって……。
「……マナさん、これからするデートって。」
マナは笑顔を崩さない。つまり、そういうことだ。
「Wデートってやつか……!」
電車が到着する音が、響き渡る。
――思ってたのと、違いすぎる……!




