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氷結の黒薔薇―世界を塗り替えよ、氷の少女と共に―  作者: 香辛凌
『王都-カテナ教会”生命”編-』
14/22

第9話「モール内でバイオテロ!共闘するのは皇子様!?」



〈時は遡ること3日前―〉



私はアイ。ショッピングモール内で、ゲートと衝撃の合流をした案内人よ。

ソニアちゃんが悲鳴を上げて傍に駆け寄る。私もそれについていく。


「お兄ちゃんっ!!」


人が目立つところで倒れているというのに、声をかけてくれるのは少数だった。その他は、一目見て逃げるように離れる者、何故か恍惚の表情を浮かべて笑っている者…まるで、何かに取り憑かれたかのような邪気を放っていた。


―その時だった。


「君、意識はあるかい?」

落ち着いた、優しい声が響く。

横を見ると、銀髪のウルフカットに紫の瞳、高身長のイケメンがゲートの脈を測っていたのよ…しかも同世代くらいの…!

「うん…脈は正常だ。気絶してるだけでしょう。彼を担いでいきましょうか?」

ソニアちゃんがホッとしたように膝をつく。

「あの、ありがとうございます…。失礼ですが、あなたの名前は…?」物腰柔らかながらも、ただならぬオーラを纏うこの青年に私は恐る恐る聞く。


「僕はメビウス。訳あって旅をしているものです。」

彼は穏やかに答える。


「さて、あなた方のことも聞きたいのですが…彼を休めるところまで移動しながらにしましょう。」

こうして、私たちは近くの宿まで移動した。

もちろん、反逆のことは秘密にしたけど―。


そして宿に着き、メビウスが去ろうとしたとき、彼は静かに忠告した。

「皆さん、3日後にワルキュリア・シティモールに行くのはやめておいたほうが賢明です…。」


えっ…?なんでそんなことを知ってるの―?


「ちょっと―」


私は引き留めようとする。


しかし…


「では、ここらで。」

メビウスは夕日とともに消えていった…。


その夜、宿屋にて―


「なんでメビウスさんは、3日後という情報を知っていたのでしょうか…?それに、やめておけっていうのも…。」

ソニアちゃんが首をかしげる。


私は考えていた。

(ゲートがいつ起きるか分からない…メビウスの言うと通りなら、大司教が何か仕掛けるということかしら…?)


―1時間程の思考の末、私は決断する。


「ソニアちゃん。3日後、ワルキュリア・シティモールに行くわよ。」

「…!ですが、お兄―ゲートさんは大丈夫なんですか…?」

ソニアちゃんが真っ当なことを言う。

「確かにそうね…。だから、当日になっても起きなかったら、彼を担いであそこに行くわ。」

私は続ける。

「あのショッピングモールで必ず何かが起こる…。流石のゲートも目を覚ますわよ。」


私は…そう信じてる…!


〈そして3日後…ゲートが目を覚ます30分ほど前…〉


「…大司教、出てきませんね。」

ソニアちゃんがショッピングの広間で呟く。

「そうね…。極秘事項だったみたいだし、人目につかないところにいるのかもね…。」

ゲートを担ぎながらそう答えた瞬間…


「イヤァァァッッ〜〜!!」


悲鳴がこだました。

そして別のところからも悲鳴が次々と…

そして、みるみる湧き上がっていく邪気―!


「何が起こっているの…?!」


その時、広間の入り口が壊れる音が鳴り響く。

そこには…夥しい量の腐敗した人間…ゾンビが蠢いていたの―!


次の瞬間、ゾンビたちは人間と同じ速さでみんなに襲いかかる!


「―止まりなさい!」


私は入り口付近に螺旋階段状の氷壁を生成する!

地上にいたゾンビたちは氷漬けになったわ。

「みんな!この階段を上がって!」


しかし、私はそう言ったことを後悔した。


パニックになった来客達が、一斉に階段に向かう!

そのせいで…

「お姉ちゃ―」

ソニアちゃんが叫ぶ。しかし、その声は彼女の姿共に人混みに埋もれていく…。

そして、階段を上がった先の階から悲鳴の嵐が鳴り響いた―。


人混みが消えた頃…

「……!ゲートは……?!」

彼の姿は、どこにもない…。

私は担いでいたゲートを…私は落としてしまった。

つまり…一人になってしまったの…。



――――――――――――――――――――――――


〈現在―〉


…俺はゲート。目を覚ましたらバイオテロに巻き込まれた、駆け出し反逆者だ。


みんなはどこに行ったのだろうか…?気絶してからどれくらい時間が経ったのか…?

その時、幼い少女がゾンビに襲われているのを目撃した。


「…ったく。」


俺は黒薔薇の剣を抜き、ゾンビの脳天をぶち抜いた!

ゾンビは黒い血を噴き出しながら、黒い霧となって消えてゆく。


…?!まさかこいつら、悪意―?!


…いや、そんなことは今いい。

俺は怯えた少女の頭を撫でながら慰める。

しかし、肉が裂ける音…鳴り止まない悲鳴…夥しい数のゾンビは既に他の来客たちを殺戮していた……!


全員は助けられない…。ならせめて…!


その時だ。突如飛んできた無数の光の槍が、正確無比にゾンビ共を貫いてゆく。充満する黒い霧が晴れた後、やけに穏やかな声が全体に響いた。


「大丈夫かい?ゲートくん。」


その声の主はウルフカットのイケメンだった。

てか、なんで俺の名前を…?


「アンタがさっきのを…?」

俺の質問に対し、彼は答える。

「そうだよ。ゲートくん、突然で悪いが共闘といこうじゃないか。」

彼はショッピングモール全体を見下ろすように浮遊しながら、声を張り上げる。


「聞け!我の名はメビウス!アルトリア帝国第3皇子、”メビウス・ディ・アルトリア”だ!!」


「皇子だと…!?」


一抹の不信感が、俺の頭を過った―。


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