蜘蛛、発進 挿絵追加
ルナ・アルケニー・ベーシック
ルナ・アルケニーのコクピット。戦車だと普通戦闘室、と表記するところだが、真空中運用が前提だったので気密・与圧構造を持つ作業ポッド、しかもザラマンダ対応型のそれをベースにしたのでコクピットと呼ばれている。そこは並列複座、つまり自動車の運転席と助手席のように横並びに着座するレイアウトになっている。左右どちらかがドライバー兼車長、もう一方がガンナーを務めるが、任務の交代は可能だし最小限一人での運用も不可能ではない。コンソールやレバー、ペダルの類はザラマンダのインターフェイスを介する仕様なので、単体でのコクピットはザラマンダの固定具だけがあるがらんどうだ。ただしアイリス機のみはドライバー及びガンナー席の後方にもう一つシートが用意されており、そこにクオが着座している。因みにクオの席の周りの内壁は追加装甲で囲まれており、【ルナ・アルケニー・ブラウエカッツ】の中で最も強固に防御されており、万一撃破された時にはサバイバルセルとして機能する。ぶっちゃけ「やられたらザラマンダで何とかしろ」なドライバーやガンナーよりよほど優遇されている。
「全機システムチェック終了、オールグリーン。いつでも行けます、姫様」
アイリス機【ルナ・アルケニー・ブラウエカッツ】にアイリスと同乗するのはドーユーだ。アイリスが車長、ドーユーがガンナー、アイリス機のみの仕様でクオが情報処理全般の補佐を行う。まともに目論み通りに機能すれば、現在チャンドラー上で最強の電子戦能力を発揮し得る。なにしろオンラインでセサミシードのメインフレームに繋がっているのだ。使える容量は【プリンセスメイフェア】の戦術フレームすら上回る。後部コンテナにはアイリスとドーユーのザラマンダのための武装オプションを積載するほか、指揮通信能力を発揮するための各種アンテナを内蔵するが、その一方でアルケニーとしての火力オプションは持たないので単独火力は5両中で最も低い。
「【ルナ・アルケニー・カノーネ】、準備よし」
「さて、実用燃費がどの程度の物かの」
ムラが車長、村田がガンナーのコンビで駆るのは砲戦型。後方コンテナの4連装のパルスレーザーは【プリンセスメイフェア】の対空砲と同じもので、その火力を維持するためにエネルギーパックも増量されており、冷却用のヒートシンクも大型化されている。
「【ルナ・アルケニー・ラケーテン】行けます」
「姉貴、このマークは?」
「付けとかないと先輩に殺られるのよ!」
大地車長、飛鳥ガンナーのルナ・アルケニーは【カノーネ】とは方向性の違う砲戦型で、後部コンテナに8基の対地ミサイルランチャーと射撃管制レーダーが装備されている。機首にはノーズアート風の飛鳥のポートレートが描かれているが、これはアイリスに自分の機体にも描いているから、と言い訳するための措置であるらしい。姑息である。もちろん言い訳の結果として後で消す、という選択肢はなくなった。当然である。地上車両及び歩行機の経験が豊富な大地が車長であるが、ガンナーの飛鳥の方が偉そうなのは、まあ、これも仕方がないことなのだろう。
「【ルナ・アルケニー・カンプ】行くぞ」
「おう」
バダー車長、バズーガンナーの機体は最前部の作業肢が大型化されており、さらにマニピュレータ部はカマキリの前肢のような形状が与えられている。後部コンテは4機のザラマンダを運べる仕様だが、今は空荷になっている。歩兵戦車的な運用を想定したが現状セサミオープナー内で運ぶ歩兵がおらず、【松の湯】メンバーは逆に多すぎたからだ。
「【ルナ・アルケニー・グレイブ】スタンディングバイ」
「は、はい、行けます」
プルナ車長、メイフェアガンナーの機体は【カンプ】と似た仕様だが、マニピュレータは薙刀を保持している。手持ち武装と固定武装を比較して使い勝手を検証するためだ。また、緊急用のロケットブースターは5機中最も大推力の物を搭載している。性格面ではメイフェアの方が車長向きだが、武器の使用に慣れているメイフェアがガンナーを務める。
以上、5両のルナ・アルケニーに、25名の【松の湯】メンバーがザラマンダで随伴し、探索行を行うことになる。各機村田52式自動銃を装備し、個人携行用のミサイルランチャーを持つ機体や急造の物らしいメイスを抱える機体も見受けられる。
『スカーフェイスよりブラウエカッツ、松の湯小隊準備よし。10-10』
『ブラウエカッツより全隊、散会しつつ調査を開始する。各機連絡を密にせよ』




