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ぎるど

 ぽーん


「全プレイヤーにお知らせします。解放条件が満たされました。只今よりプレイヤーズギルドシステムが使用可能になります。解放条件とギルド結成条件、登録法に関しては別途メールを送付いたしますのでご参照ください」


 ほぼ何の前触れもなくシステムメッセージが響いた。

 『アイリスさん?今執務室ですか?』

 すぐにメイフェアからフレンドコールがかかってくる。

 『ん。メイちゃんも今の聞いたね?』

 『ちょうどこちらは手が離せるようになりました。ドーユーさんと一緒にそちらへ伺おうと思いますが、皆さんお揃いですか?』

 『うん。あ、飛鳥ちゃんと大地君の参加が決まったよ。ミケっちは当面外部協力者の扱いで』

 『わかりました。すぐに参りますね』


 解放条件は10名以上の同一目的のグループが10組できることだったそうだ。セサミオープナーがトリガーを引いたのか、他の集団がそうだったのかはタイミング的に微妙な所だ。条件を満たしてシステムが処理を完了するまでにタイムラグがあったのかもしれないし、単に飛鳥と大地が参入した後でどこかのグループが条件を満たしたのかもしれない。

 「ギルド結成条件は10名以上のメンバーを集めること、本拠地を用意すること、ギルドマスター1名と、サブマスター2名を決めることの3点。本拠地は場所が明確であれば当面は建築物が無くても構わないようだな」

 各々メッセージウインドを開きメールを確認する中、ムラが内容を読み上げる。

 「場所が確定ならばよし、というのはホームを持つプレイヤーの方が少ないからでしょうね。別にステーション内に限るわけでもないようですから、例えばフィールドの一角を占有して本拠地とすることもできるのでは?」

 メイフェアも文面からできるだけ多くを読み取ろうとしているようだ。

 「あ、そうですね、申請フォームの本拠地に、地表の緯度、経度で座標登録する選択肢もあるようです」

 プルナが登録方法の項目を開いて指摘した。申請は専用のフォーマットの申請書を作成して運営にメールすればよいらしい。送られた申請書に不備や虚偽記載がなければ本拠地にギルド専用端末のギルドコア、なるものが転送されるらしい。

 「じゃが、単に占拠して申告で通るのかの?」

 「多分実効支配している、というレベルでないとはねられるんじゃないだろうか。それに本拠地の移動ができるかどうかも不明だから適当な更地を選ぶのもリスキーだろう。いっそステーションか軌道エレベータ基部にホームを購入する方が安全では?」

 村田の疑問にドーユーが答える。

 「まぁ、うちは全部の条件がそろってるよね。どうする?ホームは新設する?総督府内に置く?」

 アイリスが訊ねた。セサミシード内にホームを置くのは確定、というか他所にわざわざ置く理由が全くないのでよいとして、セサミシードとセサミオープナーは組織・機能としては別なので明確に分けるのも理屈には合っているが、一方でここにいる間はアイリスは基本的に総督府をベースにするのだから拠点をあえて分けないほうが利便性は高い。

 「元々総督府はギルドホームに必要な機能を併せ持っていると思われます。新たにホームを設けて冗長性を持たせるのも先々は有効かもしれませんが、資金、資材、時間の各方面でコストパフォーマンスは悪化すると思われます。姫様」

 「クオ、本音は?」

 「ぽっと出のギルドコアとやらに姫様は渡しません」

 「あの、クオさん?ギルドコアをセサミシードのメインフレームに取り込んだり、リンクして機能統合したりはできませんか?」

 「…」

 「そ、その、すみません」

 「プルナさん、天才です」

 「「「「「「「「「「できるのかよ」」」」」」」」」

 「取り込んでしまうのはセキュリティー面でどうかと思いますが、こちらが上位の機能統合はできます。メインフレームの方が圧倒的に容量も演算能力も上位です」

 「おお、クオちゃんが高性能だ!」

 「失礼ですね、ムラ様。わたしはいつも安心のクオリティーです」

 「なら、ホームは別棟でも問題なしか?」

 「…バズーさんは意地悪です」

 「悪いの俺!?」

 「結局クオはここにホームを設定してほしいのね?」

 「さすがは姫様です」

 「なあ兄貴、理不尽を感じる俺が間違ってるのか?」

 「これはそういうものだと諦めろ、バズー」

 弟の嘆きをいなしつつ、安心かどうかは置いておいて安定のクオリティーではあるな、と思ったバダーだった。

 

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