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タライスイング

 「これが…お役所仕事の壁か…」

 「思うに任せないものですね」

 「うう、どうすればいいんでしょう」

 「姫様の邪魔をする窓口など滅べばよろしいのです」

 「いや、君多分本来あっち側のひと?だからな」

 アイリス等4人となんとなく同行していたミケは途方にくれていた。最初は公団の買取窓口を訪ねた。そこでは食材の買取は行っていたが、持ち込みでの処理が原則で継続の大規模な取引は管轄外であった。

 資源開発局窓口では調査と確認が必要であり即決はできないとされた。

 クエスト受発注窓口では、NPC職員の募集手配は可能だったが依頼保証金が手持ち資金を大幅に上回っており、一応資金源にあてがあると説明はしたものの信用取引は行っていないと断られた。

 セサミシードまでの航路確定の手続きだけでも、と交通管理局窓口を訪れたが、バンゲリング港の受け入れ態勢が整っていないことが問題になり、申請書は無情にも保留ファイル行きとなった。

 行き詰まり、作戦を練り直すためにラウンジに引き返す一行であった。


 「いちいち言われればもっともらしい理由があるのがまた、ね」

 憮然としてアイリスがこぼす。

 「初めての案件で前例を持ち出すのは無意味で硬直した組織のありようです。全く嘆かわしいことです」

 憤懣やるかたない、と言う様子のクオ。

 「それには同意いたしますが、ここでそれに憤っていても解決しませんわ。クオさん」

 首肯するも苦笑交じりのメイフェア。

 「向こうから食いついてくるくらいが理想なんだろうけどな」

 道すがら大体の事情をつかんだミケも思案顔だ。

 「はあ、どこかに突破口はあると思うのですが…」

 プルナが頭を抱える。

 「突破口かぁ…あれ?IDEさん?」

 なんとなく思索を巡らすついでに視線を巡らせたアイリスがこちらに向かってくる知人をとらえた。

 「メイフェア君、さっきは助かった。青猫さんはアイリス君だね。犯人を取り押さえてくれたと聞いたよ。おかげで商品も全部戻ってきたよ。ありがとう」

 たったさっき強盗被害にあったとは思えない陽気な声に考え込んでいた一同の顔もほころぶ。因みにIDEは資産持越し組だが、作り直したアバターはヒューマンだったのでβの時と見た目は変わらない。村田と同じくガンスミスを目指しているが、村田が実弾を用いる銃を得意にするのに対し、IDEはエネルギー系のSF銃に軸足を置いている。

 「怪我はいいの?IDEさん」

 「もぉう大丈夫さ。店はショウウインドウが壊れて風通しが良すぎるから休業だけどね。とりあえず商品をバックヤードにかたずけて、お礼をしようと君たちを探していたんだ」

 「お怪我が大事でなくて何よりですわ」

 メイフェアがそつなく返す。

 「休業、てことは今日は買い物は無理かい?IDEさん」

 「おや?ミケ君、彼女らと一緒にやってるのかい?」

 「いえ、アイリスとは知り合いで、今日はたまさか出会ったんですよ」

 「へぇ。まあ店は開けてないけど個人売買はできなかないよ」

 元々IDEの店で買い物をする気だったミケとIDEの話がはずみはじめる。

 「…ん?IDEさん?では今お店は空っぽなんですね?」

 「ああ、そうだけど、なにか?」

 「場所をお借りできますか?」

 プルナが何か思いついたようだった。


 


 

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