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そしてローリン 

 アイリスは萎縮させないようにできるだけ柔らかくプルナに視線を向けた。

 「ひうっ、そ、その…」

 今一つうまくいかなかったようだ。

 「はい、落ち着いて。大丈夫だから。ひっひっふー」

 「ひっひっふー。ひっひっふー。すみません…えっとですね、少しお尋ねしたいのですが」

 それで落着けたんだ、とその場の全員が思ったが、突っ込むと話が進まなくなりそうだったのでこれも全員が自重した。

 「居住区の様子はどの程度分かっているのでしょうか?」

 「ちょっと覗いてみた、というくらいだから確実なわけではないけど、建物の基礎は残っていても上物は皆無に近いと思う。野生化した動物は普通にいて、多くはないけど猛獣もいる」

 ふむ、と少し考えてアイリスが答える。

 「人を呼んだとして、住まいを用意することは?」

 「居住区に、なら獣除けをまず用意して、それから建築ですね。ただ、緊急にであればこの総督府の空き部屋に2,30人は。港湾倉庫の空きを利用するならもっと。もちろん長期住めるような環境ではありません」

 アイリスの目配せを受けてこれにはクオが答えた。

 「食糧ですが、増産は可能ですか?」

 「確か、最大稼働率は現状で本来の70%くらい、って話だったよね?」

 「はい。ですが、その本来、が280万人に提供してなお輸出余力がある、という数字なので」

 「倉庫の稼働率を上げないと1日待たずに溢れ出すね」

 「はい」

 「では、ここにいる皆さんに協力してもらえる、という前提ですが、二手に分かれるのはどうでしょう?」

 ぴん、と2本指を立ててプルナが提案した。

 「片方は【セサミシード】の修理だな?もう片方は?」

 「私とメイフェアさんで4000食の食糧をステーションに運びます」

 「それで、プレイヤーに売って資金にするのか?」

 ムラの問いにプルナが答え、バダーがさらに質問を重ねる。

 「プレイヤーには1000食分くらいで十分でしょう。後は公団に卸します」

 「直売の方が利鞘(りざや)は大きいんじゃないか?」

 バズーが疑問を提起する。

 「私たちには販路がない。そして、公団を巻き込むことで一気に職員問題も解決する。そうですね?」

 満足気な笑顔で答えたのはメイフェアだった。

 「はい。プレイヤー直販でも4000食くらい捌けますが、継続的にそればかりに時間はさけません。公団へ卸して、こことステーションの間のシャトル輸送も公団に押し付ければ港湾業務にも職員を派遣せざるを得なくなるでしょう。そして、公団との交渉には同席していただくまでは必要ありませんが、アイリスさんにクオさんと連絡が取りあえる必要があります」

 「…つまり、長距離通信の回復が必須じゃ、と」

 「そうです。村田さん、ドーユーさん、ムラさんには、まずそれをお願いできれば、と」

 すっかり発注者の発言になっているプルナにアイリスは苦笑をもらす。だが、現実的なプランでもある。

 「おれたちはどうすればいい?」

 バダーが尋ねる。確かに修理スキルも交渉スキルも無いインセクティア兄弟の仕事は提示されていない。

 「それならどちらに就いてもやってもらいたい事はありそうだから、そちらで決めてもらっても。ステーション出張ならその護衛。大金か貴重品を持ち回るのだからね。残留修理組なら、その過程で猛獣に遭遇する事がきっとあるからそれに対処してもらってもいいし、居住区の現状調査も必要だし」

 これにはアイリスが答えた。票はとっていないがプルナ案を採用する雰囲気ができあがっている。

 

 

 

 

 


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