秘密結社である
「なら、俺たちも二手に分かれるか?バズーは出張組に、俺は居住区の調査を中心に動くってことでどうだ?」
「え?またとんぼ返りか?せっかく遠くまで来たんだし、俺もここを探検したいんだが。兄貴」
「ふむ、いいか?」
じゃれあいのような口論を始めたインセクティア兄弟をなだめようか、どうしようか、とアイリスが考え始めたところで、ムラさんが発言を求めた。
「どうもすっかり皆その気になってるようで今更なんだが、やっぱ一度は言葉にしてコンセンサス、ってやつを取っといた方がいいと思うんだ。でだな?今、ここにいる面子をスタートメンバー、ボードメンバーって位置付けで、共同体ってことにしちゃどうだろう?」
「私が依頼者、みんなが受注者、ではなく?」
アイリスが問い返す。
「ああ。そうだ。将来的にプレイヤーズギルドが実装されたらそれに移行するための雛形になる共同体だ」
「そうすべき理由をお聞かせいただいても?」
メイフェアが加わる。
「結局、俺たちはこの【セサミシード】に到着したことでほぼ目的を達成していて、アイリス君に要求するものはほとんどない。使いたい施設があったとして、アイリス君の許可はいるだろうが、勝手に修復してその報酬に使わせろと言っても断りはしないだろう。一方、アイリス君も俺たちの協力に報いる報酬はここの環境、まぁ広い意味でだが、それしか用意がない。これは事前協議なしにおしかけたこっちのせいでもあるがな」
「まぁ、そうじゃの。メシウマは予想外のおまけじゃったが、邪魔されずにじっくり設計開発できる環境があればわしは十分じゃったし」
村田が首肯する。
「だが、それではせいぜい足し算だろう?せっかくこれだけの生産、設計職がいるんだぜ?俺は材料開発ではトッププレイヤーだと自負してる。
村田さんはアバターリメイクしてもなお指折りのガンスミスだ。
メイフェア君も宇宙船設計ではβ中は突出してた。
ドーユー君はまだ実績はないが、建築家自体現時点で希少だ。極めつけはアイリス君だ」
「へ?私??」
「いち早く運営公認アイテムになった【ザラマンダ・プロト】の設計開発者だぞ?生産系プレイヤーのエースだ。もっともβから引きこもりっぱなしだから一部じゃNPCじゃないかって噂も出てるがな」
嘘だと言ってよ、とばかりに見回すアイリス。
ことごとくそらされる一同の視線が噂が事実存在すると告げる
「おうふ…」
「それで、だ。今ここに生産トップチームの材料がそろってるわけだ。緊密に組めば6の力が倍、いや6乗になる。どうだ?」
一度流れた微妙な空気をものともしないムラは、あるいは大物であったかもしれない。
「俺たちは?蚊帳の外っぽいが」
「バダー君、バズー君。
…新型装備の優先モニター権は、魅力的だと思わないかい?」
「うっ」
「むっ…」
その一言で明らかに前のめりになるインセクティア兄弟。
「なら、さしあたって専属テスター、バダーさんにバズーさん両名、渉外担当、プルナさん」
ドーユーが指折り数える。
「火器開発局長、村田さん。建築局長、ドーユーさん。」
メイフェアがそれを引き継ぐ。
「防衛艦隊長、ならばサブマスターもメイフェア君が兼任で妥当だろう」
さらりと重職をメイフェアに押し付けるムラだが
「もちろん言いだしっぺがサブマスターもなさいますよね?サブマス二人体制がよろしいかと」
すんなり押し付けられるメイフェアでもなかった。
「私は?」
「「「「「「「アイリスさんはマスターにきまってる」」」」」」」
「おうふ…」




