てろる
「まあ!」
メイフェアが
「ほほう」
村田さんが
「これ…は」
ドーユーさんが
「おぅ…」
ムラさんが
「がたっ!」
バダーさんが
「がたたっ!!」
バズーさんが
「はうぅ」
プルナさんが
「とりま手早く用意できるもの、ってことで、丼ものだけど良かったかな?」
絶句したのは、カツ丼だった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!アイリスくん!これはどこで!?」
「やだなぁ、ムラさん。ここまで島流し状態だったのに、ここで用意したに決まってるじゃないですか」
「正確には、コメ、小麦、卵、食肉、葱、昆布、砂糖は農業プラントで。塩、酒、味醂、醤油、味噌、食用油は農業プラントに付随する食品加工プラントでそれぞれ生産したものを私が調理しました」
「まさか、いつもこんな食事が?」
「まあ、リアルで普段食べるものはだいたいできますよ?材料不明なものは時々ありますが」
「なお、卵と食肉に関してはクローン合成で作った合成品ですが」
「「「「「「「いや、いやいや、いろいろおかしいから」」」」」」」
実のところ、アイリスのゲーム内食生活は突出して贅沢な物だった。「公団」の販売する食品は「宇宙食でござい」と言わんばかりのレトルトパウチが主で、穀類は基本麦、生鮮食品は、まだ栽培の実績の上がらない青果を除けばフロンティア地表で採集したもののどれが食用になるか検証中で、もちろん発酵調味料などどこにもない。一部のプレイヤーからは、2010年代のリアルの宇宙食の方が充実しているのでないか、と運営に意見があったが、これは開発のモチベーションを上げるための仕様だ、と回答があったとまことしやかに噂されている。
「というわけで、んぐんぐ、プレイヤーはこういう食事に餓えておると言って過言でないのじゃ」
「うわぁ…」
「いや、この食材を土産に持たせてくれるなら1週間くらいは他の報酬なしでいいよな、兄貴」
「ああ。いっそここをホーム設定していつでも死に戻れるようにしたいくらいだ」
「そんなに?」
村田の解説に口元にご飯粒を張り付けたまま同意するインセクティア兄弟。
「転売するなら、そうだな、これに使った醤油が18リットルもあれば【ザラマンダ・プロト】が買えるんじゃないかな?」
「もきゅもきゅ。そうですね、ムラさん。言い値で買うプレイヤーはたくさんいるでしょう。」
「そんなに!?」
ムラとプルナの評価にアイリスは愕然とする。
「特産、と言っていいからな。現状。まぁ、あんまりあこぎな値段をつけるよりは適正価格で卸す方が長期的には良策だと思うがね。」
「そうですね。目先にとらわれて嫌われるのは下策でしょう。でも、余剰はあるのですか、アイリスさん?」
なぜか行儀よく食べているように見えて誰よりも早く完食しているドーユーとメイフェアの問いかけに、ふと、アイリスは実家の父の言葉を思い出す。
「…米なら売るほどある」
「具体的には米以外の食材も合わせまして48000食相当が現時点の在庫となります」
アイリスの返答にクオが補足を加える。
しばしの沈黙が場を支配する。
「「「「「「「そんなに??」」」」」」」




