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闇の果て 波の彼方  作者: Peco*


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3/15

ミモザ

 お店を出ると、夜風が心地よく吹いている。

「えっと、それじゃ…」

 美咲が挨拶をしようとすると、

「よかったら、1杯付き合ってくれないか?」

 康之からの誘いに、美咲は笑顔を見せるが、

「私、お酒は…。」

 と躊躇していた。康之は、そんな美咲をホテルの最上階にあるbarへとエスコートした。



 夜景の見える窓際のカウンター席へ。

「素敵…」

 美咲は魅了されていた。この雰囲気。飲めないけど、飲みたくなる。

「少しなら…」

 と美咲が言うと、

「それじゃ、カクテルにしようか?」

 と言って、好みを聞いてくれた。そして、康之はバーボンのロックを、美咲にはカクテル"ミモザ"を注文してくれた。『アルコール弱めに』にと付け加えて…。

「美味しい!」

 アルコールを口にしたせいか、美咲はおしゃべりに夢中になる。好きな映画の話や、お気に入りの本のこと…。

「ごめんなさい。私、ひとりで…」

 そんな美咲に、康之は優しく微笑む。しかし、ふと思った。『こんな素敵なお店。よく来るのかな?でも…誰と?』―そんなこと聞けない。美咲は急に黙り込んでしまった。

「どうしたの?」

 康之の言葉に、

「ううん。なんでもない…」

 作り笑いで答えるだけだった。


「そろそろ出ようか?」

「…はい」


 ホテルのラウンジからは中庭が見える。美咲が眺めていると、

「行ってみる?」

 と、康之は歩き出してしまった。美咲も慌てて後を追う。遊歩道を進むと、その先には砂浜が…。

「綺麗…」

 こんな素敵な場所まで知ってるなんて…。美咲の心が騒ぐ。


 季節はずれの、誰もいない砂浜。酔いが醒めたのか、美咲は身を震わせた。すると、康之は自分の着ているコートを美咲にかけようと…。その瞬間、美咲は康之の胸に飛び込んだ―。


「あったかい…」

 康之は美咲を優しく包み込む。康之の胸の鼓動だけが聞こえてくる…。

「…俺のとこ、来る?」

 美咲はコクリとうなずいた…。



 タクシーを降りると、そこは超高層マンション。エレベーターで20階へ。

「どうぞ」

 美咲がリビングから窓の外を眺めて、

「ここの夜景も素敵なのね」

 と言って振り返ると、康之はキッチンからグラスを持って現れた。

「飲む?」

 と聞かれ、美咲は首を横に振りながらも、

「じゃあ、一口だけ…」

 と手を伸ばしたとき、康之は持ってたグラスのお酒を口に含ませ、口移しで美咲へと飲ませたのだった…。そして、そのまま彼のリードに身を任せ―。


 美咲が目を覚ますと、もう夜明けが近づいていた。慌てて身支度を整え、玄関で靴を履いていると、

「送るよ」

 と、康之がシャツを羽織りながら近づいてきた。

「大丈夫。タクシーで帰れるから…」

 美咲がそう言うと、康之は美咲の頬を軽くつねって微笑んだ…。



 クルマで送ってもらうと、30分ほどで到着する。

「それじゃ…」

 と、美咲はクルマから降りようとしたが、康之は美咲の肩をすばやく抱き寄せてキスをした。

「おやすみ」

「おやすみなさい…」


 ―こうして美咲は康之と交際することになった。

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