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ゴミの国の歌姫  作者: 熨斗目花色
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午前中はヨーダの話で潰れて、お昼を食べた後はラプルくんのお出ましだった。



「歌姫様、お時間よろしいですか?」

「ええ、どうぞ」



相変わらず可愛い。ちょっと震えているのがますます可愛いのだ。

ピールさんとラプルくん、並んだ目が潰れそうに美しい親子だ。



「この度は私の不手際で、歌姫様に多大なる苦痛を与えてしまったことを心からお詫び申し上げます」



震えながらもしっかりと言葉を紡いで深く頭を下げる。よそ行き最高術師モードでの挨拶は、きっと彼なりのケジメなんだろう。



「お詫びの言葉はもういいです。私の望みをあなたが叶えてくれるならそれで許します」



私の言葉に頭を上げたラプルくんの表情がキリリと引き締まる。後悔と迷いに揺らめいて見えた瞳は、今は強い意志を秘めているように思えた。



「……本当は迷っていました。歌姫様が帰ってしまうと陛下が悲しむのが分かっているから。やっとやっと、陛下だけを見てくれる人が現れたのに。向こうの世界の歌姫様をずっと見つめてきたのに、って」

「はい、ちょっと待ちなさい」



きっと今から少年のカッコいい決意表明的なものが聞けたかもしれないけど、それより何より聞き捨てならない言葉が聞こえましたよね?



「あなたたちは私のことを知っていたの?」



私は不運なことに、たまたま異世界へのご招待に当たってしまったんだとばかり思っていた。

もしかして、私と分かっていてここへ呼んだんだろうか?



「ボクたちは知りませんでした。でも、陛下は分かっていたと思います。この国の王となる者は、異世界にいる自分だけの歌姫様の姿を見ることができるんです」

「……プライバシーの侵害じゃないの……」

「ぷらいば……?」

「勝手に覗き見られてたなんて良い気持ちしない、ってこと」



分かりやすく伝えたら、ラプルくんは非常に慌てた様子で王様のフォローを始める。



「覗き、って、あの、陛下はそんな気は全然なかったと思うんです! だって、はっきりと見えない時の方が多いって言ってたし。今日は疲れてるみたいだから心配だ、とか。私の歌姫はとても賢くて優しいんだ、とか。ご飯食べる量が少ないから自分が食べさせてやりたい、とか。なんかすぐに散ってしまうピンク色の花が好きみたいだから庭には似た花を準備したい、とか。アルは歌姫様が大好きなだけで、でも誰ともお付き合いしたことないからちょっと下手くそなんだ。だから、ええっと、何が言いたいかと言いますと、あの覗きじゃなくて、好きな人のことを知りたかっただけなんです!」



……なんかものすごく辱められてる気がするのは気のせいだろうか。

久々に照れるって気持ちを味わったような気もする。ていうか、本人にバラされてる王様が憐れなんですけど。



「あの、歌姫様?」



黙ったままの私を見てラプルくんが泣きそうな顔をする。



「ああ、まあとりあえず覗きの件はいいわ。直接聞くことにします」

「アルと話してくれるの!?」



アル、って言うのは多分王様のことかな。王様の名前って何だったっけ? なんて思っていることは顔には出さずに、質問には質問返しを。



「王様とは仲が良いんですか? 名前呼びできるくらいですもんね」



私の言葉に「しまった!」という分かりやすい表情を浮かべたラプルくんは、暫く視線を彷徨わせた後にこくりと頷いた。



「あまり表立っては言えないんだけど、歌姫様は母様に会ったんですよね? なら、伝えて大丈夫なはず……」



よし、と自分に言い聞かせるように頷いて、彼は決意の眼差しをこちらに向ける。



「陛下は、アルはボクの大切な弟なんです!」



……私、耳がおかしくなったのかしら?

とりあえずもう一度確認してみる。



「王様は、あなたの?」

「弟です!」

「……えらく老けた弟ね」



いや、この場合は若作りな兄なんだろうか。悩みどころだ。



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