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研闘実戦

 巨大な刺という表現が的確な蟹足を突き刺すように振るってきたがそれに拳でアーミーは応じた。

 蟹足と拳がぶつかりあい、そこを中心にクレーターができる。

 後、拳とぶつかった蟹足が砕けちり、衝撃でデルクの身体が飛ぶ。

 「グアァァァァ!!!」

 悲鳴をあげながら岩にぶつかり、砕けた岩によって煙が舞う。

 アーミーは手をグーパーで繰り返しながら拳の無事を確かめる。何ら問題ないことを確認し、デルクを注意深く見る。

 隣ではエクスが、同じようにデルクを見ていた。

 「…何というか…私…いなくても、勝てそうだな…。」

エクスが言うと、アーミーは溜め息混じりに応じた。

 「そうね…。こんなんに二人がかりは必要なさそうね…。とは、言いたいところだけど、何を隠しもってるかわからないし、あの弱いのが演技かも知れないわ。もう少しは様子見ね。」

「だな。とりあえず言っとくと…。私、ここには必要ないなと判断したら別の方に行ってあいつらの助っ人にいくわ。」

 「わかったわ。そうした方が良さそうだし…。その場合はタールの方に行った方がいいわね。あいつは…間違いなく厄介だし…。あの三人でも勝てるかどうか…。」

 「そうね…そうさせてもらうか。」

 アーミーとエクスの二人が話しているのを見ながら、魔力を静かに込め、準備を完了させたデルクは煙が舞って、こちらの様子が確認しにくいことを利用し、蟹鋏を変形させ、合体する。

 (ククク…馬鹿どもめ…!戦闘において油断は大きな隙となる…。今の貴様らのような事をしてしまえば、殺してくださいと言っているようなものだ…!)

 エネルギーを静かに鋏に込め、一気に放出する。

 (消え去れ!)

 放たれた光線は煙に綺麗な穴を開け、真っ直ぐアーミー達の方へ向かう。

 そしてその光線は無慈悲にアーミー達を貫く…ことはなく、アーミーが拳を振り上げることで光線は屈折し、空へと昇る。それを追いかけたアーミーは光線より速く移動し、追い抜き、少し待った後、向かってきた光線を拳を振り落とすことで叩き落とし、その光線はデルクに向かって落ちていく。

 「………は?」

光線は茫然とするデルクを飲み込みながら地上に落ち、 地面に巨大なクレーターをつくった。

 地上に降りてきたアーミーにエクスは言った。

 「よし!そんじゃ、私、必要ないっぽいんで、タールの方に、行ってきますね!」

「………ええ。よろしく…。」

タールの方に向かっていくエクスの背中を見ながらアーミーは驚いていた。

 (………マスター…。)

 (え…ええ…。私が…私が一番驚いているわよ!!!これが…これがSクラス…!!!これがSクラスの身体強化魔法!?最初、身体強化と聞いたときは激しく微妙だったけども…いざ戦ってみるとこれほどとは…!!!今まで手応えある仕事なかったから気づかなかったけども…。レーザーとんできた瞬間、避けようじゃなくて、返そうって思ったのよ!自分でビックリよ!!!)

 テンドゥが茫然としているアーミーを心配したからか声をかけてきたがアーミーはその機会を使い、思ったことをぶちまけた。

 乾いた笑みと共に、テンドゥも内心では驚いていた。潜在能力を開放する…というテンドゥの…ラーテッドの契約による力によって引き出され、今アーミーが振り回している力はあくまでアーミーの潜在的な力なのだ。つまり、アーミーの真の力。それがこれほどまでに凄いとは…。

 これなら何とかなるかもしれないという気持ちはテンドゥの中でどんどん大きくなっていった。

 「ググ……グググ……き…貴様ら…。」

弱々しい、かすれぎみな声が聞こえ、振り向くと、クレーターの中心で血が大量に滴り落ちながらも立ち上がっているデルクがいた。

 「しぶといわね…。」

デルクは、身体を宙に浮かしたまま、蟹足を使って飛び上がり、アーミーの近くに落ちた。

 「クク…ククククク…!き…きさ…ら…が…け…契約…を…し…して…いる…以上は…能力が…高い…のが…ひ…つ…ぜん…だ…。それくらい…見込して…いな…い…私では…ない…!」

 後一撃でも与えれば倒すことができそうだな…と誰もが見たら思ってしまいそうなほどボロボロのデルクはそのフラフラな身体を動かし、両手を合わせた。すると足元に魔方陣が浮かび、それが広がっていく。

 ヤバイ…!と直感的にそれを理解し、すぐにデルクに殴りかかろうとしたアーミーだったが…遅かった…。

 拳が後少しでデルクに届く…という直前で、魔法少女のような服装は解け、制服に戻ってしまい…拳の速度も急激に落ちた。

 瞬間、蟹鋏によってなぎ払われ、能力が急激に落ちてしまったアーミーでは避けることができず、くらってしまう。

 「アハハハハハ!しょ…せん…は契…約の…ラーテッドの…力…!そう…!つ…つまりは…わた…しの…つくった力に…すぎん!そんなもの…いくらでも対策できて当然だろう…!!!」

相変わらずボロボロの状態ではあるが、ドーピングのようなもので強化されているデルクの一撃をアーミーはもろにくらってしまった。

 頭の中で光がチカチカと点滅しているような感覚にアーミーはおちいってしまっていた。

 (マ…マスター…!!!)

 「…な…にが…対策法なら…いくらでもある…よ…。なら最初からやっとけって話でしょ…。」

 アーミーは両手の平を地面に置き、力を入れ、起き上がろうとするが、横腹を蹴られ身体が宙を浮き、再び、倒れてしまった。

 「ククク…なぁに…ラー…テッ…ド…の…契約の…力…が…どれほど…の…ものか…気に…なってね…。それで…確かめたに…すぎん…さ…。」

 「結果的にそんなボロボロになってる奴が、ドヤ顔でそんなこといってもねぇ…。」

「…何…とでも…言…えば…いい…さ…。ラー…テッド…を…返して…もらう…ぞ…。」

 フラフラとした足取りで、ゆっくり近づいてくるデルクに怯えながらも、テンドゥは声をはり、アーミーに声をかける。

 「マスター!!!あなたはこんな奴に負けるほど弱い人じゃないです!潜在的にあれだけの力があるんです!僕の契約の力なんかなくたって…!」

「んなもん…言われなくてもわかってるっての…!」

 アーミーはゆっくりとだが震える身体で立ち上がり、近づいてきているデルクに向かい、言った。

 「ってことで悪いけど、諦めてくんない?…あんたみたいな弱い変態科学者に渡すものなんかひとつも持ち合わせてないから…。」

「ああ。大丈…夫だ…よ…。くれ…なく…てい…い。無…理矢…理…奪えば…いい…だけ…だか…らな!」

言って、デルクは蟹鋏を振り落ろし、アーミーを地面に叩き付ける。

 「さて…。」

倒れたアーミーの懐…ポケットに隠れているテンドゥに触れようとしたが、アーミーの手に掴まれ、それができなかった。

 「く…!貴…様も…大概…しつこいな!」

 デルクは蟹鋏で何度もアーミーを叩くが、一向に腕を離そうとしない。

 「クソ…!」

デルクは掴まれた腕を使い、アーミーの服をつかみ、あげ、手を離した後、蟹鋏を使い、振り払った。

 なすすべもなく飛ばされたアーミーは、二回、三回と地面を転がり、やがて岩にぶつかって止まった。

 岩に身体の体重を預けるようにして動かないアーミーのもとに蟹足を器用に使い、飛び、着地し、近付くデルク。

 「ククク…ホン…ト…手間…取ら…せや…がって…。」

 腕を伸ばし、いよいよテンドゥに…と感激にひたった瞬間、デルクの指に激痛が走るのを感じた。

 「な…!何を…何を…し…てい…る…!ラー…テッ…ド!」

テンドゥが、アーミーのポケットから飛び出て噛みついたのだ。

 「僕だって…!僕にだってできることはある…!マスターに…マスターをこれ以上傷つけるな!!!」

 小さな身体で、見た目は可愛らしい小動物でも、噛む力は予想できないほど強く、いきなり噛まれたのもあり、激痛がデルクを襲う。

 ゆっくり、刺激を与えることなく離させる…などできる訳もなく、腕を地面に向かって振るうことで、テンドゥを指から離す。

 地面に叩きつけられる形になったテンドゥはすぐさま、再び噛もうと行動しようとしたが、デルクの足に踏みつけられ、できなかった。

 「クソが…!実…験…モルモッ…トの……ペッ…ト風…情が…調子に…のるなよ…!」

 デルクはその足で再びテンドゥを踏みつけようとしたが、それは声によって止められた。

 「あんま調子にのるなよ…。お前が踏んでるのは私の友達だぞ…。てめぇごときが触れんな。」

テンドゥに降り下ろそうとした足をピタリと止め、アーミーを見たデルクは笑いながら蟹鋏を構え、アーミーの方に向ける。

 「ククク…アハハハハハ!そうか…。美…しい…友…情だ…。なら…その…友情に…敬意を送ると共に…貴様を…先に…殺して…やろう!!」

 その蟹鋏がアーミーのもとに、届く…ことはなく、デルクの動きは止まった。

 「あ…れ…?なん…だ…。…身体…が…動か…ん…。」

 まるで身体が身体自体が脳の命令を拒否しているかのように、動かなくなった。

いや、動かないというより、正しく言うなら、動きにくい…だ。

 何とかギリギリ動かせる首を回し、何が起こったのかを理解しようとした。

 答えはすぐにわかった。テンドゥ…ラーテッドというリスのような小動物がいた場所に小動物ではなく、一人の人間が立っており、左手を右腕におき、右手の平をデルクの方に向けていた。

 「ま…まさ…か…これ…は…サイ…コキネ…シス…!いや…そ…それよ…り…も…ラー…テッ…ド…!貴…様…!貴様…まさ…か無…理矢理…転…換を…!」

 この世界に来て、アーミーと契約を交わし、魔力を供給し、されてきた。その魔力を使い、人間の姿に戻った…のだとしても、戻れる筈などない…。戻れるなんてデルクにとってはあり得ないことだった。

 瞬間、デルクの頭の中は、何故戻れたのか…という思考を、この危機的状況そっちのけで考え出していた。

 いくら考えても、計算外は計算外…。答えなど簡単には出てこない。そして、その思考をし、止まっている間は…アーミー達にとっての絶好の機会に他ならなかった。

 アーミーは拳を握りながら、フラフラとおぼつかない足取りで立ち上がり、動くことができず、それでも何とか抵抗しているせいか、震えているデルクに近付いていく。

 「く………クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!動け!……ラーテ…ッド!…解…け!そ…の…サ…イコキ…ネ…シス…を…!!!は…やく…!」

近付いていてきているアーミーに気付き、思考を中断し、テンドゥに言うデルクだが…そんな言葉、聞くわけなどなかった。

 「あなたなんて…契約の力なんてなくても、余裕で倒せるわ…。この拳ひとつで…ね!」

 「ひっ!!!」

デルクに近づいたアーミーが力を込め、思いっきり、デルクの顔めがけ、拳を振るった。

 動けない身体ではなすすべがなく…その一撃を…魔力など、少しもこもっていないただのパンチをくらい、足元を支えていた蟹足が地面から離れ、少しだけ飛んで…倒れ、動かなくなった。同時、蟹足と蟹鋏が身体から、霧散するように消えていく。

 それを確認したアーミーは足元から崩れ落ちるように、その場に倒れた。

 「マスター!!!」

予想以上に高い声音の声が聞こえる。アーミーはかすれゆく視界の中、こちらに向かって走ってくる女の子が見えた。




 「はぁぁぁぁぁ!!!」

叫びと共に、魔力が、辺りに満ちその魔力を腕に。一点に込める。

 「ふん!」

力を入れ、正拳突きを目の前に振るう。その突きは目の前、一直線上を螺旋を描きながら魔力が暴れ岩山を粉々にしていった。

 しかし、魔力の螺旋は誰にも当たることなく、途中で軽い衝撃音と共に消え去った。

「…相も変わらずそのデカイ身体が無駄な能力持ってんなぁ…。」

 先程の一撃を放った男…タールはニヤニヤと楽しそうに笑いながらも、油断ならぬ雰囲気が消える気配なく、魔力の螺旋が消えた方向にいる、秋葉達を見ていた。

 「大きなお世話だな…。どんな能力であれ、これは俺の能力だ。否定される筋合いはないな。」

言いながらヴェルクの前に発現していた、巨大な半透明の魔力でできた壁を解除することで消す。

 「『結界魔導』のエキスパート様の前じゃ、我が波動では簡易にその結界…壊せそうにないなぁ…。加えて…」

 タールの頭上に穴があき、そこから鎖が束になって落ちてくる。が、瞬時に、それを避ける。

 「この魔法だ…!ハハハ…厄介!厄介!しかも」

避け、着地した時、地面が急に割れ、隆起し、タールの身体が宙に浮かびあがる。それだけでなく、目の前には風…のようなものを剣の形にしてあるものが来ていた。

 身体の内部から魔力を放出し、波動として辺りに散らすことで、その剣を消し、着地する。

 「三人がかりだ…。ホント、厄介極まりないねぇ…。お前らは!」

言ってる言葉は愚痴のようだが、顔は心底楽しいと言わんばかりの表情をしていた。

 ヴェルクの背にいることでタールが放った波動から結界壁で防御してもらい、守られることができる。

 そこから、攻撃を放つことで、様子を見ていたが…。やはりとでも言うべきか、ちまちました攻撃では効かないし…。また、タールの攻撃もワンパターンの波動を使っての遠隔攻撃が多く、これ以上、この行動を続けても、何もわかりそうもないということがわかった。

 ここでタールの出方を伺い、どれほどの技を持っているか、どのように使ってくるかをもう少し見ていたかったが…。そろそろ次の行動に移るべき。

 冷静に。慎重に。そう判断した秋葉達は、タールの言うこちらの優位を…武器にすることにした。

 ヴェルクが両手を合わせ、右足を地面に思いっきり叩きつけた。すると、ヴェルクを中心に巨大な立方体ができ、その結界にタールは飲まれる。

 やがて、立方体の結界は縮まっていき、人間一人ならギリギリ入れるくらいの大きさになった。

 その結界を秋葉の魔力鎖が囲み、縛る。更にその周りをティードの風のようなものでできた剣、風剣が幾数本も囲っていた。

 ヴェルクはそれらを確認すると、再び、両手を合わせる。

 とたん、結界が凝縮限界まで縮もうとするが中に人間がいるため、サイズを保ったまま、魔力凝縮が始まる。それは、結界内で本来、凝縮するはずの魔力ができないという状況を作り出したことに他ならなず、その凝縮魔力が暴れだしてしまう結果となる。

 魔力は結果の中心に幾筋もの線を描き、集まり、中心にある魔力が広がっていく。魔力は結界全体に広がると光り、爆発を起こす。

 辺りの岩を木っ端微塵にしながら、広がっていく魔力の光は、凝縮され、質が高まったもの。防御策などないに等しい火力を前にタールはなすすべもない。

 光が収まると同時、風剣が光源…結界があった方向に突き刺さる。爆発による砂埃の煙が舞い、様子が見れない状況を秋葉が鎖を引っ張り、強引に煙から脱させることでタールがどうなっているかを確認する。

 しかし、突然、鎖が引き寄せられ、秋葉が逆に引き寄せられる形になる。

 突然のことで驚くが、秋葉は冷静に手を離し、鎖によって引き寄せられるのを防いだ。

 煙によって様子が見れなかったがタールはまだ生きて動けるということがわかっただけで十分。

 ティードは手を前にかざす。すると、煙の中にある、タールに突き刺ささっている剣が伸び、幾数本ものロープのようなものがティードの手に収まるように向かい、手に取る。

 それを引き寄せることでタールの姿が煙から晴れ、見えた。

 タールは服が少し焦げているが、身体の周りに魔力波動による膜が張っており、それで魔力結界による爆発を防いだことがわかった。

 それの確認をすると、ティードは引き寄せたタールに風のようなものを帯びた脚を叩き付けるように振り落とし、それをくらったタールは地面を二度、三度転がり、倒れた。

 魔力波動による膜の防御があるから、そこまでくらってないのでは?少なくとも、まだ倒れていないだろう。秋葉達はその判断のもと油断せず構え、タールが起き上がるのを様子を見つつ、待った。

 ほどなくしてタールが両手をつき出すようにしてゆっくり立ち上がり、ニヤニヤと楽しそうに笑っている表情が見えた。

 「アハハハハハハハハハハハ!!!」 

何度目かわからぬ笑いを再びあげ、未だに消えない楽しそうな笑みを携え、タールは魔力の奔流を辺りに散らした。

 「いいぞ!いいぞ!強い強い!!!こうでなくては…なぁぁぁ!!!」

タールはその魔力を足元に集中し波動を放つと共にその勢いのまま、ヴェルクの方に跳んでいった。

 「やっぱり…!ま、この状況なら誰でもそうするわね!」

防御策から潰すのは作戦の基本…!少なくともタールはそんなことをよく言っていた!少し過去を思い出したが、感傷に浸るのは後!っと秋葉は、言いながら鎖を放ち、タールの左腕に絡ませた。

 タールは左腕を力任せに引っ張ることで、再び、先程と同じように逆に秋葉を引き寄せようとしたが、身体に自分のとは違う魔力が一瞬流れ、力が一時的に入らなくなる。

 「魔力流し…。魔力を扱う初歩の初歩。魔法と呼べもしない、護身術の範囲の…だけどね!」

 秋葉はその一瞬を使い、魔力鎖を動かし、巨大な岩にタールをぶつけ、岩を真っ二つに切るように横凪ぎに振るった。

 岩が真っ二つになり、その岩から抜け出したと同時、タールは体勢を整え、地面に足をめり込まし、無理矢理動かなくした後、鎖が絡まっていない方の右腕で鎖を掴み、魔力を流した。

 それに気付いた秋葉も、抵抗するように魔力を流す。結果、お互いの魔力が魔力鎖内でぶつかりあい、魔力鎖がバラバラにちぎれた。

 タールは秋葉を狙い、魔力を腕に込めようとしたが、ティードの身を低くした足払いでそれができず、宙に浮かぶことになり、そのまま、ティードの踵落としを…くらうことなく、両手を地面につけ、風のようなものを脚に纏ってあるものに、対抗するように魔力波動による螺旋を纏わした蹴りをぶつけた。

 ぶつかりあうと同時に地面に亀裂が走り、後、両手を地面から離し、体勢を整えつつ、蹴りをティードにぶつけ、両腕にも魔力波動を纏わし、拳を、蹴りを何度も振るう。

 それをすべて同じく、風のようなものを両腕、両足に発現させ、タールの拳に、脚にぶつけることでさばくティード。

 殴りあいと蹴りあいが数度続いた後、ティードとタールの拳がぶつかり、地面の亀裂が更に広がった時、ティードが突然、力を入れるのを解き、その場から跳んで離れた。

 力を入れていたのに急に相手の力がなくなったため、タールはやや前のめりに出ることになり、その上、上空から落ちてきた直方体の半透明の魔力結界をくらうことになった。

 が、その結界を片腕で支え、落ちて、潰される結果になるのを防いだタールはもう片方の腕に魔力を込め、結界に向けて魔力波動を放った。

 結界はひび割れ、やがてガラスが割れるように結界が飛び散り、なくなった。

 その飛び散った結界の魔力破片を見ると、その破片がガラスのような役割となり、三人が、それぞれ、風剣、鎖ナイフ、結界を腕に纏っているものが近付いてきているのがわかった。

 タールは身体を中心にして魔力を集め、魔力波動を散らすように放つことで近付いてきていた三人を吹き飛ばした。

 三人はそれぞれ、別の方向に地面を転がりながら飛んでいき、岩にぶつかることで勢いが殺され、止まる。

 「!ヴェルク!気を付けて!!!タールがそっちに!」

ヴェルクは岩にうなだれていたところを秋葉の声ではっと前を向く。

 気付くとタールがヴェルクに近づいて来ており、咄嗟に結界で壁をつくり、防御するが、瞬間的につくった結界盾では耐久性など知れている。

 タールはヴェルクに向かって突っ込んでいた勢いをそのままに、結界壁を壊し、ヴェルクに魔力波動を伴った拳を放ち、ヴェルクを地面に叩き付けた。

 一度バウンドし、空中にいるヴェルクに向かって再び、拳に魔力波動を込め、一撃を贈ろうとあうるタール。

 させないと言わんばかりに鎖と風剣が飛んできたが、タールは両腕に魔力波動を纏い、ヴェルクの方に向いたまま、両腕を開くように振るい、空間に螺旋の波動が広がる。

 波動は鎖と風剣をかき消しながら、広がり、秋葉とティードの方にまでとんでいく。なんとか二人は魔力鎖発現の際、出現するワープホール、風剣で斬るといったそれぞれのやり方で波動を凌ぐ。

 タールはその間に右腕に魔力波動をドリルのような形で発現し、ヴェルクを突き刺そうとする。秋葉とティードは波動を凌いでいて、ヴェルクを助けには行けない。ヴェルクは魔力壁を展開しても先程と同じように砕かれる末路しかなく、防ぐ術がない。

 ヴェルクはやられる前に一矢報いる覚悟を決めた。

 「「ヴェルクぅぅぅーーー!!!」」

秋葉達の叫び虚しく魔力波動のドリルがヴェルクを貫こうとした時、その一撃は届かず、タールは何者かに蹴り飛ばされた。

 「ギリギリ…。こういう展開テレビでよく見るが…まさか自分がやる立場になるときが来るとは…。」

タールを蹴り飛ばし、ヴェルクを助けたのは…

 「「「エクス…!!!」」」

「ん。どうやらアーミーの読みは正しかったようだな…。こっからは私も加勢するよ。いいよな?タール君。」

 

  

 

  


 


 


 

 



 

 

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