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情景過去

 急いでしまったのかもしれない。

 大量の書類の前で秋葉は思った。

 「これ…何?…」

その内の一枚を取り出しティードに見せた。ティードはその紙を見て笑い出した。

 「アハハハ!何って…紙だろ。見りゃわかるじゃん!」

「はったおすわよあんた。よく見なさいよ。」

その紙は…分かりやすく言うと被害届とでも言うべきもので、ティードの攻撃が家に当たって削れたみたいな内容のものだった。

 いや、それだけではない。いろいろ、え、?こんなに被害って種類があるんだぁ。って一瞬勉強になるほどの数多くの破壊系統の被害届が大量にあった。

 「リーダー。」

「…何?」

「最初とキャラ全然違うな。」

「今そういう話してんじゃないでしょ!」

「これは秋葉の素だよ。心を許した奴にしか見せん。」

 ヴェルクがティードの一言に返す。さすが三年間学校生活で共に過ごしただけあって秋葉の性格を理解していた。

 「え?リーダー…。嬉しいよ。心を許してくれるほどの関係…。やっと親友になれたってことかな…。私達。」

「そんなの今はどうでもいいって!聞いて!」

秋葉が叫んだ途端、他にも雑談してたメンバーも静かになる。

 「全員、いくらなんでも壊しすぎ。」

ティードだけではない。他のメンバーも大なり小なり破壊する結果になってしまっている。それもこれも…。

 「ごめん…。でも言いたいことはわかるけど、敵さんが凄い厄介だから難しいんだよ…。」

 エクスが言う厄介とは敵…。つまりこの部の目的の男タール関係の仕事のことを指す。

 基本、タール関係の仕事とは…結界異常だ。最初に秋葉と、ティードが協力して、破壊したあの結晶や、結界だ。

 独特の魔力でタールが関係しているのは分かりやすく、その結界をみつけしだい破壊しにいくのだが…。壊す直前…最後の一発で破壊できるという瞬間、結界が解かれてしまう。お陰で放った攻撃は、場所が街中が多いということもあいまっていろいろと危ない結果になることが多々ある。

「それはわかっているんだけどね。私が言いたいのはそっち以上に他のやつね。」

 タール関係の仕事は基本、こちらが結果探知に成功し、壊しに行くが、それ以外にも依頼を受け、行動することもある。

 その依頼とは基本、魔法、能力を駆使し悪事に使う者を倒すこと。

 しかし、これらの仕事内容は、警察が動くべきものである。むしろ、一介の学生ごときが動けば邪魔以外のなにものでもないだろう。

 それでも、やるしかないから部を設立したのだ。

 本当なら警察などの法的機関に任せ、学生としてそういうのには関わらず、やがて大きくなってからなおも正義心を持っているなら法的機関に入り頑張っていくことこそあるべき姿だろう。

 だが、実態は…。大全管理局はまったく頼りにならないどころか、悪事に手を染めているのが現状だ。

 依頼が入り、愕然としたことが何度かある。

 容認できない、無視できないような犯罪を、管理局は何ら行動してないのである。

 もちろん、限度というものがある。大きすぎる犯罪には何らかの手をだし解決を図っている。

 例えば、この前もあったが反管理局軍の犯行を未然に防ぐといったものだ。つまり、自分達にとっての不利益には行動を起こしていると言うことだ。

 犯罪があればうち、七解決し、三完全に無視するという、比率での行動しかしておらずその残った三つをこちらがやっているという感じである。

 「わかるけどね。それも。だから敵さん厄介なんだって。軽犯罪のなら問題ないけど、殺人とかやってるのは中には強い奴いるからさ。ぶっちゃけ周り気にしてたら勝てない。誰かに当たらないよう意識はせめてしてる。それが限界だ。」

「それは…そう…なんだけどね…。」

「まぁ、正直、これほどとは思わなかったわ。」

エクスに言い返され考え込む秋葉。

 少しピリッとした空気を変えるようにアーミーが言った。

 「何が?」

「あなたのその情報収集能力よ…。いや、それひっくるめての天鼓財閥のことよ!」

うんうんと周りは頷く。

 「ってか何かおかしいと思ったわ。結界感知はリーダー魔法使ってる様子ないのに気付くし、依頼の量、幅めちゃあるし、いろんな情報知ってるし。」

「逆水家のやってることを知ってるってだけでも驚くのに、俺達、逆水家の側近家すら知っていますしね。」

「あれも…凄いし…」

逆水が指差したところには人一人が入れる、カプセルのようなものがあった。

 あれは座標さえうてば大体の場所。いや、違う世界にすらいける空間転送装置。表向きの理由は何処にでもいけることでより多くの人を救えるから。裏はタールが管理局とそしていろんな犯罪に関わっている以上、何処に情報や尻尾を辿るヒントがあるかわからないからという、どちらの目的も達するためのものだ。

 書類とか、依頼もその財閥によってリストアップされ、送られてくる。 

 「言って…なかったっけ?」

「「うん」」

みな、一応にうなずく。

「あまりにも鼻にかけてなすぎて、天鼓財閥のことが頭によぎったことすらない。」

 エクスがその空気に乗ることでピリッとした空気が大分緩和されていく。

 「そういや、その財閥の次期総帥だったなって最近思い出したわ。」

「確かに壊す結果になってるのは確かだが、書類でなんとかなっているのも財閥が助けてくれてるかららしいな。ありがたいことだ。」

ヴェルクのその言葉に少し眉をひそめる秋葉。

 「できるなら…財閥に頼りたくはないんだけどね…。けど目的のためなら使うしかないから。お陰で最近、貼られた結界が壊される直前に消えてる理由もわかったしね。」

 再び空気が少しピリつきだした。

 それはこの部が設立された理由の根幹に関わることだから。みな、集中して聞こうと耳を傾けた。

「あいつは…私達を倒すため、魔力の大幅消費をしないよう、結界が壊される直前に消してるの。」

「あれ?リーダー。その結界って管理局のじゃ…。」

「そうよ。だけど、その維持管理をタールに渡してるの。だからその結界を通し、監視ができる。」

「結界は…維持自体は大して魔力使わないけど…発現と、壊されてしまうと大きく魔力をとることになるから。」

(一つ気になったのですが…)

テンドゥが突然テレパシーを送ってきたので軽くビクつく秋葉達。

 (そろそろ慣れて欲しいんですが…じゃなくてその話し…テレパシーを交えなくていいんですか?)

 (そうしたいところだけど…。残念。タールは私達の目的に気付いてるの。)

「「えぇ!?」

秋葉以外の全員が驚いた。それはそうだろう。せっかく気付けれぬよう行動してきたのにその努力が水の泡なんだから。

 「いつ!?」

「つい一週間ほど前。やられたわ。ホント。財閥のネットワークっていうデカイ規模のが逆に仇になって気づかれたって感じかな。」

「いやいや!一週間って…。なんで早く言わないの!?物壊しすぎ云々どころじゃなくない!?部の設立理由の根幹でしょ!」

「焦ったりしないようあえて伝えなかったの。冷静に結界一つ一つに対処してもらうためにもね。それにあいつは用意周到な奴だから。行動起こすのは時間がかかるの。」

「いや…でも…。」

「落ち着きなよ。アーミー。リーダー何も考えてない訳じゃないだろうしさ。」

「そうだけど…めんどくさくなるの間違いないでしょ…。早めに言ってくれた方がこっちにとっても心の準備とかできるから早めに言ってくれた方が良かったのに…。」

アーミーらしい理由に思わず笑ってしまう。

 マイペースを崩さない仲間はやはり心強いのだ。

 「いつ、攻めてくるかわからないけれど…。そろそろ来ても可笑しくはないわ。だから今、こうして伝えたの。それと…。仲間がいるわ。タール一人じゃなく、恐らくその仲間と一緒に攻めてくる。」

「仲間?」

「えぇ。いつからかはわからないけれど…タール含めて敵は三人いるわ。」

 「名前知ってるの?」

「もちろん。名前は最近加わった新しい一人の『デルク・マクデッサ』と…。」

 「と?どうしたの?」

「これはなかなか話を切り出せなかった、あえて言わなかった理由の一つなんだけど…。」

 秋葉の目線は逆水に向いた。

 逆水が疑問に思っていると

 「『逆水…楊拳』あなたの…先祖よ。」




 アーミーは自分の家の部屋のベットの上でで考え事をしていた。

 秋葉のことだから急に情報を一気に送ってきたのには理由があるはず。

 あまり考えすぎないようにと思っても考えすぎてしまう。しかし、秋葉の考えてることなんてわかるはずがない。

 決戦は多分近い。

 なんとなくそうアーミーは思った。だから今はただ休もう。その時に備えて。

 が、そうわかっててもまた脳は動き、寝ようと思ってもうまく寝れなかった。

 逆水のことを思い出した。

 『逆水楊拳』この男はどうやら逆水家の設立者にして元祖。三百年前に死んだ者で今の逆水家の縛りと規律を作った者でもある。

 それは呪いなのだそうだ。自由がきかぬ、できない呪い。

 それで、過去、逆水は苦しめられらたことが何度もある。外に出るのも、ご飯を食べるのも。何をするにも自由ではない。

 厳しい中で育ったからこそ、谷徳は逆水を過剰に庇うのだ。

 信じられないほど厳しい過去。いや、今も。

 天鼓家の者が作った部だからこそ入ることができ、家のことを忘れ行動ができるのだと。

 そして逆水家の問題だけかと思ったがどうやら…

 チラッと横目でテンドゥを見る。

 タールの仲間の一人。『デルク・マクデッサ』この男もどうやら…テンドゥと関わりがあるらしい。

 「で?」

溜め息混じりにテンドゥを促すように、言葉を発した。

 「で?…とは?どうしたんですか?」

わかっているくせに惚けるテンドゥ

 悪足掻きに呆れつつ、わかってるでしょというのも疲れると思ったアーミーは聞きたい内容を躊躇いなく口にした。

 「デルク…だっけ?そいつのことよ。」

「………」

無言になるテンドゥ。

 溜め息を再びついたアーミーは近くにあった漫画を手に取り、寝転びながら読む。

 「言いたくないなら別に良いけどね。逆水さんが話してくれたみたいに、因縁があるみたいな話があるんじゃないかとつい思ってね。」

「…どうして、そう、思うんですか?」

「…あなた、心読めるんじゃないの?言わなくてもわかるでしょ。」

あ…言わなくてもわかるでしょって言ってしまった…。まぁ、いいわ。実際めんどくさいし。言わなくても察しろって話よ。

 アーミーがそう考えているとテンドゥは少し笑い、少し安心した表情で、語りだした。

 「そう…ですね。マスターにはせめて話しておきたいです。」

 「できれば私から言わずとも先に言ってほしかったわ。」

「はは…。すいません。…それで、まず先に伝えておくと、僕は元人間なんです。」

「ふーん…」

素っ気ないな。マスターらしい。

 アーミーのらしい態度に段々落ち着いてくテンドゥ。

 「僕は…僕達は前にも話しましたが、ここの世界のコピーで産まれたのです。そしてそのコピーを創った…いや、実験のためと創らせたのが」

「そのデルクって奴ね。ついでに多分だけど、そのコピーした世界を創るなんて造作もなくやってのけてるのと、今までのあなたと、周りの話し照らし合わせると大全管理局が関わってるのは間違いないわね。」

 「…そうです。そして、当然結果的に、デルクと管理局は協力をする形になりました。管理局は実験の結果が知りたいと、デルクの実験に興味を示しました。その、デルクの実験内容とは…生物転体でした。」

 「生物転体?」

「はい。魔法の限界。生物魔法学における謎の一つである、魔法転体に彼は興味を示したのです。」

「…ごめん。よくわからないわ。」

 「ですよね。まぁ、そういうのがあるんだというのをわかってもらえればいいです。続きですが生物魔法学に詳しい権威でもあるデルクはある日、考えたのです。世界一つ丸ごと生物を別の生物に変えられるのではないか。さすがに全や、大全世界のをやるのは無理でも、世界一つなら可能なのではないかと。またそうしたら世界はどうなるのか。その実験は世界も慎重に選び、結果、自分が住んでいる世界と近く、また、魔法の力を研究しているため、魔法の力が強くなっている世界『アージェ』が選ばれました。そこで生じる問題が実際に生きている人間を転体させれば多くの批判を招き、研究どころではなくなること。何より元にある世界に干渉しさらに全ての生物を転体させるのは不可能であるということでした。」

 「そこで声をかけたのが…管理局。」

「そうです。論文にし、発表していたのを、聞いたのでしょう。先ほど言った通り興味を示した管理局側は世界をコピーして、また、生物を一から創り、その一から創られた人間に転体をしやすいように歴史を少し変える。ということを実行しました。」

 「は?…どうゆうこと?…それ。」

 「それが…わかりません。」

「わからないって…。」

「すみません。これらの事は気付かない内に転体し、何の問題もなく過ごしていくうちに…突然あることがきっかけで知ったものですから。より詳しいことは…。」

「………。」

 「…デルクは…世界をコピーし、一から作り上げることで詳細な生物データを手にいれた管理局からデータをもらいそれで生物を文字で管理する機械を造りあげ、その機械に別の生物データを上書きしてインストールすることで別の生物にすることができました。」

「ん?ってことは…それぞれの生物の種類ごとに変わっていったってこと?一つ一つの生物を別のに変えた。というわけではなく。」

「はい。膨大すぎる情報量を管理、維持し、実行するにはそれが限界でした。」

「そりゃあそうよね。それじゃ、管理局は…コピー体と機械のためのデータを送っただけで後はほとんど手伝ってないの!?」

「はい。後はデルクだけでやりましたね。主格にして一番大変なデータを管理局が送ってきてくれただけあり、デルクはかなり楽にこそなったのでしょうがね。」

「…あなたは自分が元人間だっていつ気付いたの?」

「そうですね。人間として生活していたのがいきなり上書きで別の生物に変えられたんです。普通は気付かないですよ。元がきっぱり消えたのですから。ですが…これは実験です。元の人間たる自分のデータがあります。…まぁ、気付いたのは友達と遊び半分で冒険したとき、変な施設に入って…それで巨大な装置を見たときですが。」

 「その時に元の自分…人間だった頃のデータを見たと。」

 「偶然…なんですけどね。全ては。気づいてしまった、わかってしかったときには僕は叫びそうになるのを抑えるのに必死で呼吸が荒く苦しくなって…その時のことは克明に思い出せます…。僕含め五人いたうちの一人は…。すぐに捕らえられました。時間が経つにつれ…。一緒に施設に入った友達は…。後で思い出して愕然としました。友達の声が聞こえなくなっていったんです。それに僕は気づかなかった。最後まで。僕は叫びそうになるのをこらえて、荒くなっている呼吸を整えるのに必死で…そして…。」

 思いだそうとするだけで呼吸が荒くなっていく。それでも思い出そうと記憶の奥底からトラウマを掘り出し、話そうとしたとき、

 「いや、そんな状況の詳細いらんから。状況を淡々とあげてくんない?」

 アーミーのその言葉のお陰か、荒くなっていった呼吸が落ち着いていくのがテンドゥは自分でわかった。

 トラウマをわざわざ掘り出し話さなくてもいいと暗に言われたような…。もしかしたら…いや、マスターのことだ。気にしてないだろう。本当にそう思ったから言ったのだろう。

 そう思うと少し笑みがもれた。

 「すみません。…それもそうですね。その時に今話した研究、実験の過程とレポート。、データを見ました。それで皆に伝えようと思ったんです。その時に友達が…あの人形の蟹によって捕らえられているのに気づきました。助けるなんて到底無理です。魔法は使えても相手を倒せるほど強くはない。せいぜい足止めに使える程度です。だから…その足止めを使って逃げました。一刻も早く皆に伝えようと。けれど…。自分が住んでいた場所は…。焼けて、なくなってました。」

 「……………。」

 「仲間を探してもいなくて…でも、両親はいたんです。僕の家にちゃんと。でも、声が出るのもやっとの状態で…。そこで教えられたんです。何故、僕達の場所が…燃やされていたのか。それは僕が真実を知ってしまったからと説明されると思っていたのですが…。その予想をある意味越えるものを説明されました。燃やした奴等が言っていたそうですが…。それは僕達…ラーテッドといわれる種族は魔法により契約を結ぶことで…その契約者の潜在的な力を引き出すことができる危険な種族だから。というもので…知らないことだったんです。僕にとっては。いきなりそんな力があるから潰されたと言われるより、僕が真実を知ったから潰されたと言われた方が納得がいくなと思ったくらいで。そして、契約法や、契約者を知る方法を教えられ…そして両親は動かなくなって…。焦る僕を笑うようにあの蟹が現れて…。逃げました。逃げて逃げて。でも逃げるだけじゃいつか捕まるとわかっていました。逆転のために。生き延びるために。教えてもらった力を使おうと思いました。」

「そこでなんでこの世界に来たのよ。その世界で探せばいいのに。」

「最初はそう思ったんですけど。その余裕がなかったんです。契約者を探すどころじゃなかった常に追いかけまわされ、逃げるのに精一杯で…。その時に思い出したんです。あのレポートにあった、管理局が様子を見に来るのに使っているものを。他世界から来るときに使うものを。それを使えば一旦は追っ手は切れる。そこで契約者を探そうと。そして隙をついて世界移動の装置…部室にもあるカプセル状のものを使って、逃げることに成功しました。そして…あなたに出会ったんです。マスター。」

 「………はぁ。嫌な運命ね。それ。」

アーミーは溜め息をまた一つついた。後、質問をしてくる。

 「で?そのデルクとやらはなんであなたを直接追ってきたの?その追っ手に任せとけばいつかは捕まえられるとは思わなかったってこと?」

「わかりません…。ですが…。ここに来ているのは僕が狙いの可能性が高い。真実を知ってて契約も結んでいる。僕の居場所を跡形もなく滅ぼすほど、契約の力を恐れているのなら…。なおさら、僕をほっとけないはずです…。」

「ここに来た時にタールと出会って…。そこでタールの話しを聞いて…部室が監視下にあるとするなら、その時に映像でも見てあなたを見て…。そこでちょうどいいとばかりにタールと結託してあなたを狙っている…。あぁー。考えるのめんどくさいわ。実際本人に聞かなきゃわからないことだし。」

「でも、大方はそれで合ってると思います。僕を見つけてほっとく可能性はまずないでしょうから。どんな目的でここに来たかはわかりませんが…。タールが僕達の目的を知り、そこで僕の存在を知っていて、デルクが関わった以上、僕がデルクに狙われるのは必然でしょうから。」

 「ま、要するにデルクとタール、楊拳ってのぶっ飛ばせばいいんでしょ。そうすりゃ、皆の悩みはある程度ついでにぶっ飛んでくれるし。」

 「……………。」

「なに?私の顔じっと見て…何か文句でも?」

テンドゥは自然と笑みが溢れてきて、笑ってしまっていた。

 どうしてこの人はこうも簡単にそんなこと言えるのだろうか。

 タール達がが今までやって来たことや、やってることを知っただけでもただ者じゃないのはわかるだろうに。それでもだ。

 不思議なことに、この人ならできるんじゃないかと…いや、できるんだと、迷いなく思えた。

 そう思ったことも含め、笑ってしまった。

 真実を知ったあの時は考えられなかった。今の毎日笑ってられる日々が。

 だから…素直に言おうと思ったのだ。強制的に心を通わせるテレパシーではなく、口で。それで十分に伝わると思ったから。

 「僕にとっては………嬉しい運命でした。あなたに出会えて良かったと今も思っています。」

 「…あっそ。」

 アーミーらしいその言葉で十分だ。気持ちはきちんと伝わってるし、伝わってくるから。

 決戦の日は近いだろうに。心は自然と落ち着いた。

 マスターがいる限り自分は安心して眠ることができる。あの逃げ回って眠ることすら難しかったあの頃とは今は全然違う。

 もう一度、心の中でありがとうと言って…。テンドゥは静かに幸せに浸りながら眠るのだった。

 



 

 


 


 

 


 

 

 

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