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どっちなの?  作者: othello
9/22

ようやく、生徒会集合

「え!?一体どうしたんですか!?」

 僕はおもわず崩れ落ちてしまった。

 その顔は悲しみに満ちていた。

 だって、これどう考えても面倒事のにおいしかないでしょ!

 雫は予想外の展開にあたふたしてしまっている。

 その瞬間、隣からどたどたという廊下を走る音が聞こえた。

 まずい。僕はそう思うや否や、ドアを開けて外に突っ立っていた彼女の手をつかんで家の中へと引きこんだ。

「ひゃ!」

 彼女はとてもかわいらしい声を上げた。

「いってきまーす」

 ドアが勢いよく開けられてそんな声が外に響く。

 っていうかちゃんと鍵しめたか確認しろよ。オートロックだけど……。けどこれであらむごかいあらぬ誤解を……

 すると、腕の中の雫は顔を伏せたまま僕をちょんちょんとつつく。

「い、いつまで――――」

「あ、へいちゃん、……?……!」

 今すごかった。

 寝むそうな顔が一瞬で覚醒して理想の織田 赤城となる。そしてその瞬間、寝癖がシュンと重力に逆らうのをやめた。そして、僕が抱き着いていることと髪の長さと膨らみとスタイルから女子と判断すると今度はすべての髪が重力に逆らいだして炎のオーラを纏う。

 そこから覗かした顔を見るなり、冷静になったようで元に戻る……と思ったが急に冷や汗をかきだした。

 え?姉さん。どうやったの?いろいろすごすぎない?面白かったけど

 そう思いながら見ている。すると彼女も僕の視線が自分ではないところに向いているのを感じてそちらを見る。

「え?」

 彼女からそんな声が上がる。

 そう言えば、姉さん。惜しいところがある。

 僕の腕の中の人は僕の胸に顔をうずめて姉さんの下を指さす。

「あーちゃん、スカートを履きなさい」



 色々ったが、登校時間が迫っていたので正直にぶち明けてしまった。

 すると「あなたが……」となんだか驚かれたがよくわからない。

 あ、雪あたりからいろいろ聞いているのかもしれない。

 それから二人は打合せがあるとか言って先に車で行ってしまった。

 二人がいなくなった部屋で僕は時計を見る。

「おい。まじかよ」

 一緒に乗せていってもらえばよかった。

 そう後悔した時には遅く、静かになった部屋に置き時計の音が悲しく響く。



 そしてなんとなく時間を忘れてしまった。

 きっと昨日の僕はまさか朝から全速力でチャリを漕ぐ羽目になるとは思わなかっただろうな。






「まさか昨日そんなことがあったのか。しかも今日の朝も問題起こして」

 今は放課後。前半少し休みすぎたトモはここの所かなり学校に来ている。

「ところでその生徒会は?」

「ああ、4時からだよ」

「……ねえ、もう4時。あ、今一分すぎた」

「……」

 トモが時計から視線を戻したときには既に平太の姿はそこにはなかった。



 廊下を走り、職員室を前にする。

 生徒会室は職員室のある2階の反対側にある。2階に下りて生徒会室へ向かおうと曲がると襟を誰かにつかまれて「ぐへッ」と声を思わず出してしまった。

「おそい」

「ね、――――か、会長。すみません」

「……心配させるな」

 赤木は小声でボソッと何か言ったが放課後の生徒、先生のでいるの多い職員室の近くではその声は聞こえなかった。

「赤木ねえ・・・って、あ。ようやくへいちゃん来た」

 そう言って生徒会室から出てきたのは静香だ。

 彼女はあまり待っているのは得意ではないから数分だが待っていることに飽きて呼びに来たの意だろう。なんか申し訳なくなってしまった。

「悪いな、静……北条さん」

 危ない。危うく名前呼びするところだった。

「うん?どうしたのへいちゃん。そんな他人行儀な」

 あれ?昨日ご飯を食べている時に学校では名前呼びをやめないか?と言う提案を受け入れたはずだけどな?……もしかして忘れている?

「miss静香、miss赤木。さっさとはじめましょう。そこの5人目も早く入りなさい」

「あ、はーい」

「そうね。さあ、平太。入りなさい」

「ええ、失礼します。遅れて申し訳ありません」

 いきなり姉さんが下の名前呼びしてめんどくさい雰囲気を感じる中、そう言って中に入ると、―――――――ちょっと信じられない光景が広がっていた。

「さて、これから生徒会を始めます」

 赤城姐さんは何事もないかのようにはじめようとしている。

「ちょっと、待て…ください」

「うん?どうした?」

 あぶねー、こっちもぼろを出すところだった。

 あの会長にため口はさすがにまずいとすぐに訂正した。…がすこしこの空気は嫌だ。

 別の話題で気を引いて忘れさせる。

「このすごい設備はなんですか!?」

 その、なんというか。……生徒会室は豪華な秘密基地のようになっていた。

 まず、左右2つの奥の中央に1つシステムデスクがあり、ふかふかのキャスター付きの椅子。

 全員にノートパソコン一台に、据え置きHDDを備えたデスクトップパソコン。

 中央には会議用の長机。この長机も映像を映し出せる液晶となっている。

 後ろには大型冷蔵庫に電子レンジ、トースターにITのクッキングヒーター、水道。

 照明はLEDで、各員の机の真上に設置されている。

「ああ、確かに生徒会に対してこれはやりすぎだと思うよ。でもね、これ仕方ないらしいんだよ?」

「会社のせい…ですか?」

 すると赤木姐が首をひねって考えると、少し苛立ちを感じさせる声音で「確かに、先生は私たちのうち4人を特別視していうようだけど……」

 これにさすがにフォローをした方が本来の彼女を出させないためによいと結論し、ぼくはフォローをする。

「すみません、余計なことを言いました。ちゃんと生徒会の一員でいられるよう努力するのでわすれてください」

 すると彼女の怒りが沈静化されたのを確認すると、彼女は気まずそうに言った。

「いや、去年。生徒にどんな設備があったらあ生徒会に入ってくれるかと言うことでアンケートを取り、揃えたらいいわ」

 まさか、生徒会員集めるために学校はそんなことしているとは授業では騒ぐ奴がいるし、部活ではスパルタ講師。それに年間行事の管理運営とはさすがにやりたくなくなるのもわかる気がした。

「それにこの左右と上下にも隠し部屋がある」

「すごいですね。男子としては少し探検してみたくなります」

「ふふ、あなた、意外と子供っぽいところがあるのね」

「そうね。それにこれで会うのは2度目ですか?付き合いは長くはありませんがとある一軒で君がとてもいいBoyと言うことは知っているから私はうれしいな」

 そう言ったのは赤城姐さんにいちばん近い位置に座る少し大人びた落ち着きを持つ女性と、藍色の瞳をもち金髪で物語の愉快な貴族を連想させる清楚な方がいた。

「越後谷さんにアルトリアさま。4月の中旬以来ですね、おひさしぶりです」

「そうね、でも君が本当に入るとは思わなかったわ。これも、あーちゃんの人徳のおかげなのかしら?」

「はは・・・」

 僕は笑うしか無かった。だって、泣いてきたのが止めなんて言えるわけないじゃん。

 姉さんも言わないでって顔をこっちに向けているし。

「へー、へいちゃん。先輩たちと知り合いだったんだ。ちょっと焼いちゃうかも」

「へ?いや、別になんでお前が焼きもちやくんだよ。」

「……べー、だ」

 何故だろう、静かにあっかんべーをされてそっぽ向かれてしまった。

 それから周りを見渡すと、なぜか3人とも少し怒っている感じを感じた。

 怒り方はそれぞれだが、一貫しているのは全員が腕を組んでいる事に気が付き、なんで怒られているんだろう?と首をひねった。

「ばか」

「おばかさん」

Moron(バカ)

「…ばか」

 あ、最後のツンデレぽかった。

 結局、全員からバカ呼ばわりされてしまった。

 開始早々、話が本題に入らずに脱線してしまった。

 これから先ものすごく心配……心配である。

 僕は心でそうぼやいて、ため息をついた。








次回、『集められた象徴(シンボル)たち』

〈主人公〉一癖も二癖もある彼女たちは、メン……じゃなくて一緒にいて楽しーなー

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