クイーンの重責
少し横着をしすぎたかもしれない。
それに後ろの百面相が少し面白い。
・・・まあ、最後の安心した顔には心が安らぐと同時に心が痛んだが...
っと、話がそれたな。
今は4本目のカーブ。1本目で斜角三〇度にバイクを傾けて加速し続ける技をやったけど彼女は怖がらなかった。まあ、その後の急カーブではどうやっても無理だったので壁を走らせてもらって、その時の今にもガチ泣きしそうな顔に僕のブラックな部分がにやにやしていた。
そして4本目であるこのカーブも壁走りをしたがもう慣れたのか、いや、なんだかそれ以外の要因のようだが安心しきった顔で僕の背中につかまっていた。
正直、今の心境はかなり複雑だ。
まず、この先の6本目で仕掛けているであろう罠のこと。あの暴走族のバックの組織。クイーンの正体に、現在当たっている年よりは豊かなんではないだろうかと思わせる双丘。
そしてなぜにか安心しきっている彼女。
特に、最後の二つは死活問題だ。だって今、僕、心臓バックバクだよ。
まさかあの誘いに乗ってくるとは思わなかったし、今でも少しは怖いのかかわいらしい声あげてくるし、そのたびに僕をつかんできて双丘の圧が変わるわ、ちょっとでも油断しようものならそのまま崖からまっさかさまになりそうだし。
僕は仕方ないので、いったん煩悩を完全に消すことにした。
・・・イメージは透き通った水と一本のつらら。そして、そこから落ちる水はきれいな波紋を起こし―――――――
僕の目から揺らぎが消えてゆき、前だけをはっきりと見る。
―――――――心に一切の揺らぎを起こさなくなる・・・
僕はもうバイクをフルスロットルで完璧に走ることしか頭になかった。
『明鏡止水』後ろに座る彼女がこの時、彼をきちんと見れていれば、このスキルが使用されたことにはきづいただろう。
しかし、彼女は気づくことはできても僕の能力値は見えない。
なぜか。それは僕が彼女より上位者であるからだ。
ここで君たちは疑問におもわないか?『上位者?』と。まるで人にランクがあるような言い方だ。
この世界は皆平等と言う言葉があるが、ならばこの世にすべてが同じ人間が一つでも存在するのか?答えはノーだ。っていうか、この世にDNAの型が同じ人間がいないと言っている時点でこの偽善の言葉は効果が無いのだ。
世界には必然的に順位が存在する。
それは何を基準に決められているのかはわからない。
でも世界を管理する者がいるのは知っている。
そして、順位の存在は管理者によって告げられたものだ。その時は信じられなかったが、頭がよく、賢者と言うスキルをもらっていた僕の友達は順位とは願いと努力が関係しているのではないかと言った。
彼曰く、
『能力とは、おもに才能と努力に基づいて着くものだ。これに運が関係すると主張する者もいるが、その運を手繰り寄せるのはそれを望み(・・)、そしてそれを起こせるくらいまで努力したからに違いない。』
『努力』とはその能力のためにしてきたことだ。これは、身体的頭脳的含めて努力と呼んでいる。
そしてもう一つ。『願い』。物語でよくあるだろう。―――奇跡的な力。
これらはすべて起こるのはこの世界の現象なのだと、いう結論に僕と彼は至った。
これには二通りがある。先天性と後天性の願いによる順位アップだ。
ぶっちゃけ願いとは『テンプレ』を指す。
先ほど言ったが世界で起こる奇跡とは、現象だ。
演出であり、この世界を飽きさせないためのスパイスであり、人を中に立たせるための流れである。
この話は僕の過去がかかわるからあまり深くは話したくはないが、これだけ入っておく。
今この世界には管理者はいても、神はいない。
ただそれだけの事なのだ。
まあ、ちょっと脱線してしまったが、不審者風の女子より僕が努力していて欲深い事だけわかってもらえればいいだろう。
ここでなぜ順位の話をしたのか。それをこれから教えよう。
上位者とはそれすなわちそれにふさわしい敵と何らかの形で戦って乗り越えたことを指す。
つまり、様々な種類の経験多くしている。
その経験と「Which病」のビックデータから多くのことを予測できる。
まあ、今日のこのことは使わなくても予想はできたが。
そしてこの先にある事故のことも。
さて、ようやく。2台をとらえることに成功したぞ。
その直後先頭のバイクが横転し、バイクが火の柱となったのであった。
※※※ クイーン視点
バイクと私は盛大なスピンを起こしている。
・・・どうしてこうなった?
周りを見渡せばにやにや笑う、あの暴走族の仲間。そして、回転する視界に映るインコース側に巻かれた黒い液体。
ここは6本目のカーブ。
あの男が注してきた場所だった。
私は、学区と高尾山の管理を任されている。
理由は詳しくは言えないが、立場が関係しているとだけ言っておこう。
1週間前、マスターより高尾山を爆走し、騒音被害を出すグループの報告を受けて調べ、注意喚起に行くと、喧嘩を吹っかけられたため30くらいか?の人をブッ飛ばしてあげた。
すると、リーダーである男が峠の走り勝負を挑んできた。
ヒルクライム一本。私が出した条件はそれだけだった。
今、私は自分の浅はかさに後悔している。
歴代最高の守護者として高尾山の護り手の5代目クイーンを務めてきたが、今汗恋手で撒けるのは嫌だった。
私は薄汚い真似をすることをすることもされることも嫌いで、努力を惜しまない人間が好きだ。
特に才能に見せて裏ではもう努力をする姿を見たときには思わず抱きしめたくなる。
あー、あーちゃん。また私の所に戻ってきて~。
それも、あの義理の弟とかいうあの男のせい。
でも、なぜか彼を恨むことはできなかった。彼の気配と言うのかな。
私と同じタイプであり。努力をする人だと思った。
まあ、あーちゃんを取ったから嫌いであることには変わりないけど。
・・・おほん。
話がそれた。私に敗北は許されない。
何時でも冷静で、大和撫子としての自分の理想像を演じてきた。
いつしか私は多くの人からの羨望を集め『女王』の称号を受けていた。
私としては、少女マンガのように颯爽と助けてくれる人や、ちょっと強引なひとに弱いと思う。
・・・まあ、そう言った意味じゃあ、あの義弟君には腕を強引に引っ張られたときドキッとしちゃいましたけど!
・・・またしても脱線。すみません。なんか、彼の事が最近頭から離れなくて。
まあ、それはいいとして、今日の話だ。
私はこの高尾山の守護者の称号であるクイーンを今年でやめるため次に候補を今日呼んだ。
とてもかわいい子で、野心家だ。すでに多くの優秀な者たちを囲んでおり、今は私を狙っているようだ。
そんな彼女も私にあこがれの目を向けてくれていた。
私としてはうれしい限りだ。しかし、こんな失態を犯す姿を見せるくらいなら連れてこなければよかったと今更ながら後悔している。
今度はもっとよくデーターを集めてしっかりと把握することを心に誓った。
・・・ああ、仕方ない。愛車だったが、大けがするよりはましか。ごめんね、私のssバイク『エイト』
私はそう言ってバイクから飛び降り、遠心力に体を貸せて飛んで行った。
あたまは守り、一応受け身を取っておいた。
・・・足がしびれて腕もいたい。これは折れているとはいかなくともひびは入っていそうだな。
横たわりながらそう思っていると、大きな爆音がした。
・・・ああ、さようなら私のバイク。そしてすみません。ドン。
そこに、ちょうどバイクのエンジン音がして「大丈夫か?」という、どこかで聞いたことのある声が彼女の耳に響いたのであった。
「ああ、そうか。ようやくわかったわ。あなたなのね」
私はそうつぶやいて意識を落としてしまった。




