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【完結】 クラスメイトは『大切な人を救うために死に戻る能力者』  作者: 破れ綴じ
27

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99/111

[27:94] 話の早い委員長

 夜9時まで……。

 ……あと10分といったところか。


 本来は、この10分後に、ネメシスが軌道修正を完了させるはず。

 そして死に戻りが起こり、受験終了後のあの日に時間が巻き戻る。

 問題が解決したのかどうか。

 それがあと10分で、はっきりする。


 ……とはいえ。

 今の僕達にできることはもう何も無いが……。


「……あのね、マコト」


「ん? 何飲むか決まったか?」


「いや、そうじゃなくて……本当に、これでいいのかなって」


「何がだ」


 ここまで来て、どうしてそんなに不安そうな顔をしている。

 わざわざテラスの椅子を限界まで僕の方に寄せて、その上で僕に限界まで寄りかかって……これ椅子一つで良かったんじゃないかってぐらい近づいてるが。

 そんな状況で、この満天の星空を見上げながらする顔がそれか。

 君の不安は全部解決しないといけないんだ。何かあるなら言ってほしいんだが。


 1. 今日1日、ループ解決のために本当に何もしなかったことか? 

 船を降りてから僕達がしたのはチェックインと食事と観光だけ。

 ネメシスの関係者を探しもしなければ、誰かを締め上げて話を聞き出すこともしていない。セイラがただの観光客として1日を過ごすのは、今日が初めてのはずだ。

 だから不安なのか? 


 2. 強引に、君の宿泊場所を僕と同じ宿にしたことか? 

 今の君を一人にして、僕だけツアーの少し良い宿で寛ぐなんてことはできない。

 元々複数人専用のツアーだったんだし、取ってある部屋もベッドが二つあるんだ。ツアーに参加することは不可能でも、ちゃんと宿のフロントで許可を取って追加で料金を払えば、素泊まりにはなるが旅館業法に引っかかることもなく同じ宿に宿泊できる。

 それが不安なのか? 


 3. 僕がずっと、君を甘やかし続けたことか? 

 今の君は度重なる自殺ループで精神が消耗している。

 もし死に戻りが発生した時に、既に「自分は『大切な人』ではない」からただ死ぬだけ……そんな状態になるのは御免だ。だから君をとにかく甘やかして、自己肯定感を回復させようとした……それが逆に後ろめたいものを隠しているように見えたのかも。

 だから不安なのか? 


「……今、何時?」


「8時51分。さっき聞かれてから5分しか経ってないぞ」


「……そっか」


 ……なるほどな。

 君にとって、この時間はただの夜じゃない。何十周も、夜9時が来るたびに死んで、受験の夜に戻ってきた時間だ。時刻を聞きたくなる気持ちは分かる。

 分かるが、確かめる度に僕の腕をぎゅっと掴むのはやめてくれないか。地味に痛い。


 だが、僕としては、特に心配するつもりも無い。

 焦ってもいないし、時計を確かめる気にもならない。

 セイラからすればそれが不思議なんだろう。

 さっきから時計を見るついでに、僕の顔までちらちら見てくるし。


 まあ、事情を説明していないから、気になるのは当然のことか。

 どちらにせよ、説明しない方が良いことには変わりないんだが。


「……ねぇ」


「何だ?」






「あの電話で……本当にループは解決するの?」


「……」






 *






「この星の──南半球にいる全ての人間を殺害する命令を出してください」






『……』


 返事が無いな。

 まあ、それもそうか。電話口の高校生にいきなり大量虐殺の命令を頼まれて、すぐに返事ができる人間がいたら、そっちの方が怖い。あるいは、既に別の算段を立てている最中なのかも。


 初めに相手へインパクトを与えるのは間違っていないと思う。

 こちらを下手に見られてしまって取り合ってもらえないようでは困るし、主導権を握ると同時に僕の発言が冗談でも何でもない、真剣なものであると理解してもらわなくてはいけない。

 このまま呆れて切られる可能性も、録音の手配でもしている可能性もある。

 それとも九条ノドカに「瀬尾マコトの身柄を押さえろ」と指示を出している可能性もあるが……それは困るな。今ここで船を降りた途端に拘束されたら、夜9時まで取調室の椅子に座って過ごすことになる。


『……瀬尾君』


「はい」


 ……さて、どうなるか。


 幸いなことに、通話はまだ切られずに済んでいるんだ。

 前置きが効いているなら、この人は少なくとも、僕の話を最後まで聞く価値があるかどうかを、それぐらいは考えてくれているはずだが。


『私は上から、この電話について──あなたの話を最後まで聞くように、とだけ言われています』


「……っ」


『なので、内容やその処遇については聞かされていないのです。あなたの発言次第では、私がその場で何らかの判断を下す可能性もあります。分かりますね?』


「……はい」


 分かる。

 十分に理解できる。


 これからの会話を続けるかどうかはこの局長に一任されている。会話を続けることには成功した。だが、あまりにも看過できない内容だった場合はその場で即時対応を決めることもできるということだ。

 これは僕に対して「口のきき方には気をつけろ」と圧をかけているも同義だが……それと同時に、即実行では無く前もって忠告するという余地を残してくれている。


 つまり、向こうは僕の話を聞くつもりがあるということだ。


 WPPOのさらに上層部が局長に情報を渡していない理由は察しが付く。 

 もし上層部が先んじてある程度予知を回し「瀬尾マコトの頼みを受けろ」と指示していたのなら、この人は多分その通りに受けるだろう。逆に「受けるな」と言われていれば、受けない。

 でもそれだと、局長は上の判断をなぞっているだけになる。


 僕の話を電話で直接聞いて、声を聞いて、言葉の選び方を聞いて、それで何を考えるか……そういった「現場の事情」は、この電話に出た「現場の人間」にしか分からない。上が先に答えを渡してしまえば、その答えは永遠に出てこないし、下の意見を圧し潰すことになってしまう。

 あれだけ下の人間への配慮を見せている組織だ。行き過ぎた判断をすれば上が待ったをかけるんだろうが、そういうストッパーがあるからこそ、特に指示が無ければ現場の判断に任せられる、と。


『ですから、聞かせていただきます。続けてください』


「はい」


 だから、さっきの僕の大量虐殺を要求する一言で「即時対応する」ではなく「忠告だけして話を聞く」と判断してくれたのは非常に大きい手応えだ。

 少なくとも、すぐさま「意味不明! 逮捕する!」と言われる可能性は減った。

 交渉はひとまず順調とみていいだろう。

 ここから先は、喋る内容を考えていかなければ。


「もしWPPOがこの命令を出した場合、その前に必ず予知で結果を確かめます。そうですよね?」


『ええ。実行の前には、必ず』


「その場合、予知に映るものは『WPPOの暴走』を告げる報道かと思われます」


『そうですね。ネメシス等の団体が自らの正当性が証明されたと喜ぶでしょう』


 よしよし、そうだよな。

 WPPOの予知は基本的にニュースの報道を見ている。これは間違いない。

 実際に大きな被害を目視で確認できるならそれで十分だが、世界中全てとなるとそうもいかない。だから、「WPPOの防止率は100%」であると主張し、災害を防止できなかった場合に「確実に報道される」風潮を作っておけば、後は未来の報道を予知するだけで事態は掌握できるという寸法だ。

 もし南半球にいる人間が全て死亡すれば、間違いなく世界中のニュースになる。そんな大事件が予知に映らない訳がない。

 だから、もし……。


「もし、その予知で」






「南半球の人間が、全員生きているとしたら?」


『……』






 映らないとしたら、それは報道そのものが存在しない未来……つまり、確定の先が消えている未来だ。セイラの死に戻りが発動し、消えてしまった未来だ。

 死に戻りが起こってしまった以上、夜の9時以降に起こる未来はループで消えてしまうから、大量虐殺の報道も確認できなくなる。万が一、報道が早かったとしても9時以降には元通りだ。


『そんなことは……普通、有り得ません』


「となると、WPPOの予知を上回る何かしらの異常が、世界規模で起きていることの証明になりますね」


『……その通りですね』


 そうなってしまえば、WPPOは指を咥えて見ている場合ではなくなる。


 ほんの数時間後に、それまで世界平和を絶対のものとしてきた未来予知にとてつもなく異常な光景が見えてしまうんだ。

 隕石が地球に迫っていることに気づいていようがいまいが関係ない。隕石衝突の未来は見えなくても、「世界規模で未来予知を阻害する何かが存在する」という事実は受け止めなくてはいけなくなるんだから。


 そして、南半球の人間を全員殺害した上でこの異常が発生している場合、その異常の根本となる原因は「北半球のいずれかに存在する」と判断できる。

 どこぞの屑男が死亡した後に母さんの病気が快復したのと同じように、能力者が能力を解除するか、あるいは死ねば基本的に能力の効果は消失するものだ。であれば、完全に人類が全滅した南半球に未来予知を阻害する能力者が存在する訳がない。探す当ては北半球にあると、WPPOであれば理解できる。


 未来予知だって、コスト無しで実行できるものだろう。

 能力は基本的に一切の消費を必要としない。

 その上、数字現象なり、仮死魔霊故なり、雪山の時なり、WPPOは問題発生に対し毎回迅速かつ正確な対応を決めてきた。緊急時に即未来予知を回せる環境が整っているのだから、今回の「世界平和を脅かす何かが起こっているかもしれない」という事態に対して、コストが大変かどうかだなんてものは問題として認識されることすらないはず。


 そして、そんな異常が発生した時点で、僕の仕事は終了だ。

 本来、何の証拠も無い第三者の通報によってWPPOの行動を操作できるようであればそれこそ問題だが、今の僕はすぐにでも確認できる「明確な証拠」と、即座に動く必要性のある「世界の危機」を提示した。

 世界平和維持を責務として掲げているWPPOが「なんか異常があるっぽいけどよく分かんないし放置」なんて選択肢を取る訳がない。彼らは異常の存在に気づいた時点で、その原因を取り除くために動く義務が存在する。


 そうなれば、後で僕が「やっぱ追加でこんな頼み事を……」だとか「実は僕はテロ組織の構成員で……」だとか「やっぱり止めてくれ、お願いだから」だとか。

 何を言い出したとしてもWPPOは勝手に動き、終息のために働いてくれる。

 能力者を見つける必要もない。拷問をする必要も無い。また何周もしなくていい。

 僕は電話一本かけるだけで、後はWPPOが自分の意思で動いてくれる。


 そのために……。


『となると、二つ目のお願いというのは』


「はい。二つ目は──」






『この星の北半球にいる全ての人間を殺害する命令を出せ、ではありませんか?』


「えっ」






「………………あっ、は、はい」


『その反応だと、どうやら完璧に当たりという訳ではなかったようですね』


「ま、まあ。『日本を除く、北半球の』……でした、ね」


『なるほど。そうでしたか』


 あ、あれ。

 待ってくれないか、まだ何も言ってなかったと思うんだが。


 確かに、僕の作戦はこういう形だった。


 パターンその1:もし能力者が南半球にいたら? 

 1. その場合は一つ目の頼み事をした時点で、能力者が死亡し、軌道修正は失敗。

 2. 死に戻りは起こらないため、未来は消えず、普通に大量虐殺の予知が視える。

 3. しかし、二つ目の頼み事をした場合、能力者が死亡しないので、未来が消える。

 4. 結果として、WPPOは異変を知覚し、原因が南半球に存在すると判断する。

 5. 後は33回二分探索をすれば能力者を特定できる。


 パターンその2:もし能力者が(日本を除く)北半球にいたら? 

 1. その場合は一つ目の頼み事をしても、能力者が死亡しないので、未来が消える。

 2. しかし、二つ目の頼み事をした場合、能力者が死亡し、軌道修正が失敗する。

 3. 死に戻りは起こらないため、未来は消えず、普通に大量虐殺の予知が視える。

 4. 結果として、WPPOは異変を知覚し、原因が北半球に存在すると判断する。

 5. 後は37回二分探索をすれば能力者を特定できる。


 セイラの『大切な人』を巻き込んでしまうと確定で巻き戻ってしまうから日本は除外したが……万が一、その能力者が日本にいた場合でも関係ない。


 パターンその3:もし能力者が日本にいたら? 

 1. その場合は二つの頼み事をしても、能力者が死亡しないので、未来が消える。

 2. 結果として、WPPOは異変を知覚し、原因が日本に存在すると判断する。

 3. 後は31回二分探索をすれば能力者を特定できる。

 まあ……『大切な人』がいる以上少し回数は増えるかもしれないが。


 こうなれば、僕は「二つの頼み事」をするだけで、後は一切追加の指示を出さなくても異変を知覚したWPPOが勝手に特定までやってくれるだろう。

 そしてその方法は「世界中の全ての人間の半分を判別し、怪しい方のまた半分を、次の半分を、さらにその次の半分を……」と残り一人になるまで繰り返すだけ。

 頼み事自体は「全員殺せ」ではなく「全員殺す命令を出せ」だけだから、異変に気づけば命令を撤回すればいい。実際に死亡する人間はゼロで済む……。


 でも、それは僕が昨日考えたことのはずだ。

 この人はまだ隕石のことだって何も知らないはずだろう。

 なのに、どうして僕の作戦を言い当てられたんだ? 

 上から聞いていた、という線は無い。それはさっきこの人が自分で証言した。


 なら、この人自身が予知の能力者なのか? 

 それも違う気がする。予知で僕の話を先に知っていたなら、一つ目の頼み事を聞いた時点で、もっと早く返事をしているはずだ。あの長い沈黙は、ちゃんと考えている人の沈黙だ。

 なら、単純に頭が良いだけなのか? 

 それにしたって早すぎないか。僕の一言から、二つ目の頼み事の範囲まで一息で言い当てるのは、頭が良いでは片付かないだろう。僕だって思いつくのに30分かかったのに。


『まあ、驚いたことでしょう。瀬尾君』


「……えっと、はい。その、どうして僕の考えが?」


『それはこちらの台詞です。私は一つ目の頼み事の時点でかなり動揺させられました』


 え? 


 いや、まあ、動揺するのはそうだろう。結構なことを言ったつもりはある。

 だが……。


 ……「それはこちらの台詞です」? 


『範囲を区切った命令を検討して、予知の変化から対象の居場所を絞り込む』






『それは、私達WPPOが普段から使っている手法です』


「っ!?」






 ……ふ、普段から? 

 普段からって、どういう……。


『一昨年の7月5日に発生した……世間一般で言うところの数字現象は覚えていますか?』


「……あっ」


『まあ、本当に賢いですね』


「い、いや、そんな……でも、確かに……」


 そう、か。

 よく考えてみれば、それもそうだ。


 僕はあの時、どうしてそこまで早くWPPOが能力者を特定できたのか疑問だった。

 WPPOの予知は、ニュースの報道が主だ。報道で何が起きるかは分かっても、それを起こした誰かがどこにいるのかまで、毎回はっきり映る訳じゃない。なのにどうして毎回、世界のどこにいるかも分からない対象を捕捉することができるのか……そういう専用の能力者がいるのかとも思っていたが。

 しかし、「未来予知の力」と「全世界へ影響する武力」があれば話は別だ。「この地域で何かをしたら予知はどう変わるか」を一つずつ確かめて、場所を割り出していくことができる。

 予知を持っている世界的な組織なら、真っ先に思いつく使い方じゃないか。


 ということは、この人が僕の作戦を言い当てたのは、ただ単純に頭が良いからでも、上から聞いていたからでもない。

 僕の頼み事が──WPPOの仕事と同じシステムだったからなんだ……。


 ……。


 ……そして、その情報を打ち明けたということは。

 WPPOは……。


『──了解です、瀬尾君』


「っ……は、はい」


『未来予知疑惑のある瀬尾君から、私達の関知していない世界滅亡の可能性を受けた以上、無視するわけにもいきません』


「……」


『きっと上も同じ結論に至っていることでしょう。でなければ、今頃緊急の指示が来ているはずですから』






『二つのお願いは──確かに承りました』






 *






「──解決する。間違いない」


「……っ! ……ふふ、そうなんだ。流石マコト……」


「ああ。だから残り2日はただ二人で旅行するだけだな」


「へぇ、二人で……そっか」


 まあ、流石、と言われるほどのことはしていないんだがな。 

 僕がしたのは電話を一本かけて、頼み事を二つしただけ。仕事をするのはいつも通り僕じゃなくWPPOだ。

 ただ、解決するという言葉に嘘は無い。


 夕食の後、念のため九条ノドカにもう一度電話をかけてある。

 だが返って来たのは『局長から待機指示がありましたが待機だけでした!』とだけ。「協力が必要になれば九条を通じて連絡する」と言っていたから、何も来ていないなら、僕の出る幕はもう無い……つまり事態は既に解決しているということになる。

 夜9時というタイムリミットはWPPOにだって見えているはずだ。あれだけの異常を予知で確認しておいて、時間ギリギリになっても解決していないのなら、何かを知っていそうな僕に連絡の一つも寄越さない訳がない。


 そもそも、今回の相手はネメシスの構成員だ。

 WPPOが前から目をつけていた組織の人間なら、範囲を絞る時点で「誰を探そう」「どのアジトのある区域にしよう」と見当をつけているだろう。

 数字現象の時、WPPOは11時間で能力者の特定まで漕ぎつけている。今回は電話をかけてから夜9時まで、ちょうど同じくらいの猶予があった。

 だから、唯一の不確定要素だった時間的問題も……おそらくは大丈夫。


 そして、セイラにはこの作戦を伝えない方が良い。

 知っていること自体が君の不利益になる、というのは今朝言った通りだ。

 WPPOにセイラの能力を明かさない方が良いという都合上、その根幹に関わってしまうこの作戦に彼女を巻き込むメリットは一切ない。

 疑いは全部、僕が被っておいた方が都合が良い。


「それより、何を飲むかは決まったのか?」


「じゃあ私、マコトと同じパッションフルーツジュースにしようかな」


「……自分で選んだ方が良いと言わなかったか?」


「うん。だから自分の意思で、マコトと同じの選んだだけ。ほら、飲も?」


「それなら……まあいいか。飲もう」


 二人で無事に小笠原を楽しめている証拠も既に写真に収めてある。

 三好ルナに送ったら「やっぱりお気に入りちゃんに任せて良かったね~」と返って来たし、これで彼女も安心できるだろう。


 辻家にも「これから行った所は全部写真で送るから」の約束通り、既に写真は送信済み。

 やけに満足そうな辻母、少し不安そうな辻父、「お姉ちゃんばっかりズルい! 私も行きたい!!」と不満気なカリン。


 せっかくだし他の皆にも送ってみるか。

 僕とセイラが小笠原を満喫してるツーショット。

 瀬尾家、ハルキ、アサヒ、ミオ、九条ノドカにも……送信、よし。

 安否と旅行の雰囲気を同時に確認できて皆喜ぶだろう。


 これで、今日の僕達の仕事はもう終わり。

 こうしてテラスで二人、買ってきた飲み物を嗜みながら、星空を見上げて9時が過ぎるのを待つだけ。

 ただ、せっかく父島に来たのに南十字星が見られないことだけは残念だな。

 夜更かしすればいずれ出てくるだろうが。


「乾杯の準備はできたか?」


「うん………………あ」


「? どうした?」


「……帰りの船、切符買ってなかった」


 ……。


 まあ、そうだろうな。

 君、宿も4日目の分しか取っていなかったし。7日目の船の予定や帰りの新幹線の予約を取っているはずがない。そもそも自殺ループで戻る気だったんだし、当然と言えば当然なんだが。


「……どうしよう。うっかりしてて、私」


「今更気づいたのか。ほら、グラス持て。乾杯するぞ」


「でも……」


「安心しろ」






「船室も新幹線も、もう既に君の分を予約済みだ」






「……え」


「急だったから船は僕と同じ部屋で、新幹線も隣の席だが……文句は無いな?」


「………………っ、もう。相変わらず流石……」


 ほら、セイラ。

 9時だ。






「……いつもありがと、マコト」


「どういたしまして。乾杯」

感想やご意見をお待ちしていますのでよろしければ……。

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次で最終話です(´・ω・`)

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― 新着の感想 ―
原因となる能力者を特定できたにせよ どういったタイプの予知かは調べてそうだから死に戻りの範囲はばれたかな? とはいえ強制しない以上主人公側へのアプローチなんかは変わらないでしょうけど 前回の感想のす…
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