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クラスメイトは『大切な人を救うために死に戻る能力者』  作者: 破れ綴じ
23

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[23:07] 今年最後の予定

 今日で……二学期も終わりか。

 意外と早い一年だった気がするな。誰のおかげかは知らないが。


 まあ、少なくとも「この1年、後悔したまま終わる」ことは無かったと思う。

 期末考査はいつも通り満点だった。普段より難しかった気もするが……ハルキもいつも通りのほぼ満点を取っていたし、九条ノドカもそれに次ぐ点数だった。多分、直前の「転校生お世話ウィーク」のせいで時間が取れなかっただけで、難易度はきっといつもと変わっていないんだろう。


 忘れ物は……もう無いな。

 机にもロッカーにも物の影は無いし、冬休み課題の計画も全て立て終わったし、三学期の委員会の引継ぎ用資料も準備し終わった。

 通知表も鞄の一番奥に確かにしまった。折り目がついたら母さんに見せる時に格好がつかないし、家に着くまでに出す用事もない。


 他にやることは、もう無いか。

 なら後は友人達に年末の挨拶を済ませて帰るだけだ。


 ──「なーなー、クリスマスどうする?」


 ──「俺バイト入ってるわ。24も25も」


 ──「俺は塾がなー。23から冬期講習だし」


 ──「ちぇ。つまんねーの」


 ──「彼女いれば違ったんだろうけどさ」


 ……この時期にもなればもう話題はクリスマスの内容だけ。

 浮ついてる人間は去年までもっと多かった気がするが……来年度は受験があるし、これを実質的な高校生活最後のクリスマスとして意識し始めているんだろうか。


 まあ、瀬尾家にはあまり関係のない話だ。

 うちは毎年イブに家族でパーティーをする、それだけ。母さんとアラタと僕の三人で、母さんの体調に合わせて自宅で。二人へのクリスマスプレゼントももう買ってあるし、きっとこの予定がこれから覆ることは無いだろう。


 それこそ、「次のループが発生する」なんて緊急事態にならない限りは。

 前回のループからまだ2週間も経ってないし、きっとそんなことにはならないと思うが……。


「マコっちー!」


 ん? 


 あっ桐島ミオ。

 なんだ? 君も年末の挨拶に来たのか? 終業式が終わったのに、わざわざ別のクラスまで足を運ぶとは殊勝なことだ。君には他にも挨拶回りする友人が沢山いるだろうに。


 ……しかし、この1年は彼女にも世話になった。

 あの数字現象から始まり、ほぼ2週間に1回のペースで対日高アサヒのための勉強会を繰り返し……後半はほとんど形骸化してただ遊びに行っていただけだったような気もするが。もしかしたら今年一番遊んだ相手が彼女かもしれない。

 そう思えば挨拶に来るのも不思議なことではないな……。






「マコっちさー、24って、その…………空いてる?」


「おっと?」


「……デートしない?」


「おっと?」






 なんか想像していない言葉が聞こえたような。


 24? 24日だと? クリスマスイブ? 

 空いてるというのは、バイトを代わってくれ……という話ではないよな? 


「今日は20日だぞ、君」


「うっ……」


「イブ4日前だ。遅くないか」


「だっ、だってー……」


 何がだってだ。

 予定というのは早めに立てて相手に共有するものだろう。

 なぜ終業式が終わってから聞きに来るんだ。

 式の前でも、先週でも、先月でも聞けただろうに。


 委員会の日程調整だって2週間前には回すし、それでも「その日は無理だ」が出ることもある。この時期の店なんてとっくに埋まっているし、埋まっていない店があるなら、それは埋まらない理由のある店だ。

 それとも、イルミネーションでも観に行こうと言うつもりか? 11時以降の外出は青少年保護育成条例違反だし、そもそも僕は家でパーティーの予定があるから、かなり短い時間しか相手できないぞ。


 それに何より。


「日高アサヒはどうするんだ」


「……それ聞く?」


「聞くさ。君の本命だろう。確かに彼には相手がいるだろうが」


 第一、この予定の話の中心にあるのはどう考えてもそこだよな? 


 一学期のあの騒ぎから5ヶ月だぞ。

 その5ヶ月の間、何度も誰のためにあれだけ勉強会を繰り返したと思っているんだ。


 確かに、まだ彼には彼女がいるだろう。ならそこへ割り込むのは駄目だ。相手の彼女に何の罪もないし、割り込んで手に入れたものは、手に入れた側もずっと足元が不安になる。彼女を無視して「クリスマスデートに誘え」というのは流石に推奨できない。今年は諦めてもらうしかない。

 しかし、そうでないから他の相手とイブにデートをしようとなるか? 女子ってそういうものなのか? 僕には彼女がいたことがないからその辺り分からないんだが。


 いいなあ。

 彼女欲しいなあ。


「そだよ。アサヒまだ彼女いるし、誘えない。セイラとルナは毎年家族とクリパだしさ」


「他の友人は?」


「いつもは他の子とクリパしてるけど。そろそろそういうのの練習もしとかないと、って」


「練習相手とクリスマスデートはやりすぎじゃないか?」


「…………やっぱり、ウチとデートって、イヤ?」


「ああ待て! そういうことじゃない」


 勿論、君と一緒にクリスマスイブを過ごせるなら楽しいだろうさ。

 嫌だから言ってる訳じゃない。


 しかし、そうか。練習。

 そういうものか。本命に備えて予行演習をしておく、と。


 なるほど、筋は通っているな。

 想い人がいて、その相手には交際している人がいる。だから、いつかその人と結ばれた可能性を考慮して、よく遊ぶ友人同然の相手と練習をしておく……それは間違っていないかもしれない。

 辻セイラが家族を大事にしていて、クリスマスは家族と過ごすというのも理解できる。三好ルナも家が裕福だと聞いたことがあるし、24日は家族と過ごす時間として定着していても納得だ。


 本番でいきなり完璧にやれる人間はいない。

 委員会の議事進行だって、初回は間の取り方も分からず司会が固まるんだ。想い人と過ごす日にぶっつけで臨むより、先に一度通しておく方が失敗が減る。彼女なりに前へ進む準備をしているということか。


 だが、練習相手が僕でいいのか? 

 僕にその経験はない。皆無だ。

 恋人と過ごした24日など一度もないんだから、手本になれる要素が一つもないぞ。

 母さん相手にする感じで接して大丈夫だろうか。


 というか、そもそも僕には……。


「──マコトは毎年家族と過ごすからダメだよ」


「げっ……宮野じゃん」


「『げっ』とは何だい、『げっ』とは。僕に勉強を見てもらった回だってゼロではないはずだけど」


 あっハルキ。

 いつからそこにいたんだ。


 あれ、今のは「24日に瀬尾マコトを頼るのはお勧めしない」という援護射撃だよな? 

 どうしてそんなに敵意を滲ませて言い放つ必要があるのか。急に気温冷えたのかと思ったぞ。時たま三人で勉強回して、二人で桐島ミオに勉強を教えて……ってやってきたじゃないか。

 こんな時まで雰囲気悪くならなくても……。


「練習相手が必要なら他を当たればいいじゃないか」


「はァ? 呼ばれてないのに口挟まないでくれる? マコっちが決めることでしょ」


「決める前の材料を出しているだけだよ。そもそも君は、いつも彼を都合よく使いすぎだ。勉強を見てもらって、話を聞いてもらって、今度は練習相手かい」


「使ってないし。断られたら引くし」


「引く人は4日前に聞きに来ないと思うけどね。大方誘えなくてずっとまごまごしてたんだろう?」


「今年になって初めてマコっちを誘い始めた人が何言ってんの」


「言ってくれたね君。僕より背高いからって見下さないでくれるかい」


 おおぉぅ……。

 二人とも怖い……。


 まあ、二人の言い分にはどちらも納得できるぞ。

 1. 練習相手にわざわざ僕を選ぶ必要はない。

 仲のいい友人であることには変わりないが、彼女には他にも友人がいる。事情を説明すれば協力してくれる人もいるだろうし、わざわざ予定のある僕に頼む必要はない。


 2. しかし僕が決めること。確かにそれはそうだ。

 僕だって、別に嫌という訳でもない。協力できるなら協力したいところだ。


 3. 僕を都合よく使いすぎというのは……齟齬があるかもしれないが。

 僕は協力すると言ったのだから、別に文句はない。ただ、ハルキからすれば都合よく見えるのも事実だろう。


 4. しかし、「断られたら引く」。

 素晴らしいな。


 5. 4日前に聞くのがおかしいというのは異論無い。

 きっと色々悩むことや相手の選別とかあったんだろう。誘えないまま時間だけが過ぎてしまったんだろうが、それでも遅い気がする。


 6. ただ、ハルキが遊びに誘ってくれたのも今年からだ。

 桐島ミオが「お前が言うな」と言いたい気持ちも理解できなくはない。


 7. そして桐島ミオはハルキより背が高い。

 あれ、これ言い返せなくて負け惜しみ言ってるだけじゃないか? 


 仕方ない。ここは僕が一度仕切って、並べ直すしかないか。


「待て。整理するぞ。まず、二人の主張は矛盾していな──」


「マコト、君は自分の時間の値段をもっと高く見積もるべきだよ」


「値段って何。人の予定に値札つけてんの?」


「比喩だよ。国語は苦手なのかい」


「うるさっ!」


 ……。


 駄目だ、僕には制御できない。普段から仲が悪い二人とはいえ、今回だけは謎の衝動に追われてお互い冷静な判断ができなくなっている。

 どうしよう、ここまで熱くなってしまったら僕だけのパワーで抑えることは不可能だ。辻セイラのように有無を言わせぬ一言で無理やり相手を威圧する存在がいれば……。


「てゆーか、マコっちに言いたいことまだあって。セイラから伝言なんだケド」


 ……ん? 


「話を逸らすんじゃないよ」


「逸らしてないって。元々それ伝えにこっち来たんだし」


「何だいそれ。どうせまた意味不明なこと言うんだろう」


「いや、マコっちに言えば通じるって言われて」


 ……辻セイラから伝言? 


 何故? 同じクラスなのに? 

 どうして、別のクラスの桐島ミオを使って伝言を頼む必要がある? 

 それに、僕に言えば通じる? 他の人には通じない? 

 それじゃあまるで、人が沢山いる今は会話できない内容を伝えたいとでも言いたげじゃないか。


 いやしかし、まだ2週間すら経っていないんだぞ。

 なあ、嫌な予感がするんだが……。






「──『クリパなんて6回もやれば飽きる』だって」






 *






「遅い」


「……悪い」


 ……本当は、「場所ぐらい指定しろ」と言うべきなんだろうが。

 流石に、「もうフィクションは楽しまない」と宣言した人間に、まだその事実から2週間も経たないのに別のことで責め立てるのは違う気がして上手く言葉にできない。


 まあ、こうして僕の通学路で待ってくれているんだし、一応問題は無いか。

 ここならどうせ僕が通らざるを得ないから、僕の判断の是非に関わらず会話を行えるし。人通りも少なくないから、どこかに隠れて会話する必要がある……つまり、WPPOの監視も一時的に外れる。

 学校に携帯電話を持ってこない僕を、まだ大勢人がいる中で、悪目立ちしないように呼び出す……彼女も一応、しっかり考えて行動してはいるんだ。


 うん、なら問題はないな。

 大人しく話を聞こう。


「それで、今回もループなんだな。さては7回目か?」


「そう。誰にもバレずに来れた?」


「ああ。辻セイラに会いに行くと言ったら何故かハルキと桐島ミオが不機嫌になったが」


「……せっかく他の人に分からないような伝言考えたのに? 私の努力は?」


「暗号としては優秀だったぞ。おかげで僕以外には何一つ伝わっていない」


「そういうことじゃなくて……」


 何がそういうことじゃないんだ。

 努力の方向は評価するぞ。

 クリスマスパーティーを6回もやれば飽きる、だから今は7回目で、タイムリミットはクリスマスイブ以降。伝言一つに三つも情報を詰め込んだのは上手いと思う。

 でも、あの二人が不機嫌になるのは止められなかったのでは。原因も分からないんだし。


 それより大事なのは、今回のループについてだ。

 本当に多すぎる。8ヶ月の間に8回起こっているのだから1ヶ月1回計算。ループ回数だけで言えば例年の12倍のペースで発生していることになってしまう。今度こそ本格的なお祓いを提案すべきだと僕は思っている。

 とにかく、ループの概要について聞かないことには何も始まらない。


「今回は何が分からない? 誰が狙われて、どこで、何が原因なのか──今回はどれを突き止めればいい」






「全部分かってる」


 ……え? 






 全部? 


 待て。今まで僕が呼ばれた時は、大体どれかが欠けていたんだぞ。

 事故の周では辻母がどのルートを通るのかが曖昧で、FDEIAの時は辻カリンの病気が何であるかが不明で、数字現象の時はどうして桐島ミオが病むのかが不明で、怪異に襲われた時は対象も要因も分からないまま20回以上やり直して……。

 初めから全て分かっていた周では僕が呼ばれたことなんか無かったんじゃないか。


 なのに、今回は全部分かっていて、その上で僕を呼ぶ? 

 つまり、今回のループは──単純に辻セイラと知識だけでは解決できないループ? 


「これ見て」


「……影中、トオル? ポスターの……写真か?」


「そう、さっき撮ってきた。この男、知ってる?」


 ……知っている。

 彫りの深い目元に、顔半分を覆い隠すような長い髪。2、3年前から駅前の掲示板や交番の横、歩道橋の下などで指名手配のポスターを見たことがある。影が多いから記憶に残っていたんだ。


 というか……。


「『能力犯罪者』……?」


「知らない訳じゃないでしょ」


「まあ……知っているが」


 能力犯罪者については能力の授業で習うから知らない訳じゃない。能力者基本法に違反して、他者に対する加害行為を行おうとした者を指す言葉だ。実害が出る前にWPPOが食い止めるから全て未然には終わるが……放置しておけば確実に他者を害する事態を引き起こしていた人間。


 しかも、指名手配されているということは、名前も顔も国が公開しているということ。身元は完全に割れていて、それでも捕まっていない。

 それは即ち、能力犯罪者の中でも、WPPOが「事件の阻止」には成功したものの、「対象の逮捕」までは至らず……逃走に成功した人物ということ。

 能力犯罪の防止率100%を掲げている組織が追いかけている相手が、公開手配になるまで野放し。捕まらない理由なんて一つしかないだろう。捕まえに行く側の手が届かない何かを持っているんだ。


「タイムリミットはイブの夜。コイツがルナを殺しに来る」


「三好ルナ……が、4日と半日後に狙われると?」


「そう。ルナに個人的な恨みがあるみたいで、場所変えてもタイミングずらしても、執拗に追いかけてくる」


 ……なるほど、どうして難しいか読めてきたぞ。

 要は回避が効かないパターンということか。夏祭りのあの男と同じ構造だな。

 相手に意思がある限り、その日その場所を避けるだけでは何も終わらない。日付をずらせば、ずらした先で追いつかれるだけだ。


「ループの最中に調べたけど『自分の体を影に変える能力』を持ってるみたい。自分が影になってすり抜けて来たり、影の中に潜って一方的に攻撃してきたり。何度か戦ったけど、普通に勝てない」


「……何度か」


「多分アンタがいても勝てないよ」


 ……なるほど、それは捕まえられない訳だ。

 少なくとも、この女が何度も場所を変えて失敗しているのなら、隠れ場所を予測する方向の作戦は既に全部試していると見るべきだろう。


 路地でも屋内でも、光がある場所には必ず影がある。

 人の影、電柱の影、机の下。追う側は影を全部潰して回ることになるんだが、それは物理的に無理だ。もし誰かに見られてしまっても近くの影の中に潜り込めば後は追いつけないから、捕まえることができない……と。


 つまり、今回のループは「何か分からないことがあって解決できない」のではなく、「原因が回避できないかつ非常に手強いから解決できない」ループということか。

 どうして三好ルナが狙われているのかは分からないが、情報は揃っていて、それでもなおどうにもならないから、この女は今日ここで僕を待っていたんだ。


「しかし、指名手配犯なんだよな? 通報しても解決しないのか?」


「コイツが出てくるのはイブの夜その瞬間だけ。いつどの時間のどの場所に『指名手配犯が出ます』って言っても、信じてもらえない」


「それまではずっと潜伏してるということか。なら、襲われた瞬間急いで逃げて、その時に通報するのは?」


「5周目でやったけど、一切感知できないまま初手でルナが襲われたから無理」


 流石に何度も頻繁に事件を起こしているようであればWPPOが本腰を入れ始めるだろうから、今は逃亡と潜伏を繰り返し、目立たないように暮らしているんだろうな。

 しかし、12月24日に唐突に三好ルナを殺害する計画を実行してしまう。衝動的か、計画的か、それは分からないが……その瞬間死に戻りが発生するのでニュースにはならず。WPPOは事態を予見して対策を取ることができない。


 もし「12月24日の夜、三好家に指名手配犯が現れます」と言っても、「どうしてそれが分かったのか」を説明できないし、警察を集めても全滅する可能性だってある。

 WPPOに通報すれば、この影中トオルを倒してくれるだろうが……その場合、「通報者は未来予知能力者では?」と疑われてしまう。九条ノドカに頼み込んでも同じだ。情報源を説明するには辻セイラの能力に触れざるを得ない。

 匿名で通報して待ち伏せしてもらう手もあるが……WPPOの未来予知には現状映らないんだからどちらにせよ信憑性は薄い。毎日大量の情報を処理しているWPPOが、「起こらない」と判断している予告に人員を割くのだろうか。高校生二人にできる限界で、向こうが貴重な予知のリソースを消費してくれる可能性は低い……それどころかむしろ怪しんで、匿名の中身を調べようとしてくるかもしれない。


 当日の情報を外部に関知させる方法では、解決するかもしれないがリスクが高すぎる。

 あくまで僕達が「偶然、実際にいるところを見かけた」という体で匿名通報しなければ。


「だから、今回は──」


「──イブの夜になる前に、この男を見つけ出して……通報する」


「そういうこと。流石話が早い」


 ……それ以外、無いよな。


 つまり、最終的なループの解決策は、仮死魔霊故を相手にしたときと同じだ。

 危険な存在をWPPOに認知してもらって対処してもらう。僕達が勝つ必要もない、後の殴り合いは向こうの職員がやってくれる。

 以前と違うのは、具現化によって認知させるのではなく、「本人を直接発見して通報し」認知させることだ。実在する人物は具現化しても101匹に増える訳じゃないし、能力によって生まれた存在じゃないから、常に実在自体はしている。


 そして見つけさえすれば、指名手配犯だからWPPOが対処してくれる。

 バイト先に鳩が一羽入っただけで護衛を一人寄越すんだ。公開手配中の能力者の居場所という情報なら、動かない訳がない。何なら九条ノドカが一人いて、両眼で見るだけで問題は解決する。

 普通に考えれば、かなり骨が折れそうだが……今までと違って、僕達のやることは明確だ。


「じゃ、この周もよろしくね」


「ああ、分かった」


 4日半で街のどこにいるかも分からない、潜伏系の能力を持った犯罪者を見つける。

 それだけだ。

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