33話 蘭方の一撃
組合本部へ向かう道中、俺と仙道さんは蘭方くんに人力車で運ばれていた。
「あははは、俺早いっすね!!」
「う、うん早いね」
「蘭方くん、なんかありがとね」
ちょうど移動手段に困っていたところ、道中に人力車があり借りてきた次第だが、蘭丸くんが引くと凄く早い。
「あ、柴崎さん!あれランボルギーニっすよ、近くで見たいっすね」
そう言って蘭方くんは人力車を加速させた。
「いやいや速い、速い過ぎだよ!!」
「あははは、仙道さんおもろいっすねー!」
「いやおもろくない!てか話が通じないんだけど……助けて拓っくん」
「すまん仙道さん!俺も振り落とされないようにしがみつくのでやっとなんだぁ」
そうして蘭丸くんはランボルギーニに追いつき、そのまま追い越した。
「すげぇ追い抜けた!よしこのまま行きますね!」
蘭方くんはそう言うとまた加速した。
誰でもいいから助けてくれ、このままじゃ組合本部に着く前に蘭方くんに殺される……。
「着きました!」
『あ、ありがとう』
『ドサッ』
到着してすぐ俺と仙道はそのまま倒れた。
「何してんすか2人とも!ほら行きますよ」
『ヒュイッ』
「ちょっ何してんのよあんた」
そう言って蘭方くんは俺と仙道さんを担いだ。
「さっ2人とも行きますよ!とりあえずさっきまでいた会議室まで行きますね」
そう言って蘭方くんは深くしゃがんだ。
いやいや待て待て、何してんだこの子もしかして飛ぶ気なのか!エレベーター!エレベーターあるから!
「蘭方くん?ダメダメ何してんの、飛ぶとか絶対ダメだから、てかさっきの会議室14階だよ!!」
「安心してください!この前屋上まで飛べましたから!せーの」
『ズシャン』
「た、助けてー!」
「死ぬ、絶対死ぬ!!」
飛んでいる最中俺は、祭さんが昔言っていた言葉を思い出す。
"いいか柴崎、蘭方とは話をできないと考えておけよ、あいつは良い意味でもや悪い意味でも規格外なんだ"
そうして蘭方くんは高さ180メートルあるビルの屋上まで飛んでいく。
いやいや会議室、会議室行くんじゃないのかよぉぉ!!
『ザッ』
「さぁ着きましたよ2人とも、屋上です!」
「……私、わかった事がある、蘭方くん苦手かも……」
そのまま俺たち2人は蘭方くんの肩から崩れ落ち、屋上へとやってきた。
なんだ?誰かいるぞ、あの倒れているのはもしかして……東條さんか、嘘だありえない。
「と、東條さん?」
そう言って俺はすぐさま東條さんに駆け寄った。
「……し、柴崎か、すまない、本当にすまない」
「嘘だ、どうして、どうしてこうなってる」
東條さんは泣きながら謝っていた。
両腕、両足、腹部、計5箇所を刺されている。
出血も酷い、ここで何があったんだ。
「拓っくん!ちょっと見せて」
一緒に来ていた仙道がすぐさま治療を開始すべく東條の容体を確認した。
「これは……まずいな、SSSレアダンジョンアイテム、女神の輝石発動」
SSSレアダンジョンアイテム、女神の輝石、これは発動させると適合者のスロットに5つの回復系アルティメットスキルを解放するアイテムである。
「仙道、治りそうか?」
「わかんない、でも私がここにいるから絶対に死なせない、アルティメットスキル発動、ハイヒーリング!」
仙道が一緒に来てくれたのが幸いだった。
これでなんとか助かると良いんだが……ていつかそもそも、誰が一体東條さんをこんなにしたんだ。
「柴崎さん、多分だけどあいつじゃないっすか?」
蘭方くんはそう言って、空に浮かぶ魔族に指を刺した。
「おお!気がついたか、私は少しばかり恥ずかしがりやでな、大勢の人が来ると隠れてしまうんだ」
見ると上空5メートルくらいのところに何者かがいた。
い、いや隠れられていないんだが。
というかあいつ、かなりやばいな。
纏っているオーラがただの魔族ではない。
一体何者なんだ……。
「ふふっ良いぞその怯えた顔、そうだ私がやったんだ、ランキング一位をな!もっと怯えろ攻略者ども、私がーーへぶしっ!」
『ドゴッ』
「ふぅ、ずっとうるせぇよキモ肌野郎」
不気味な魔族が能弁を垂れていると、蘭方くんが飛び上がって浮かぶ魔族の元まで行きそのまま地面へ殴り飛ばした。
『スタッ』
「蘭丸くん!」
「柴崎さん、ここは俺に任せて東條さんを安全なところへお願いします」
「いや俺も戦うよ」
「……ここから真下、ちょうど最上階の役員室にまだ強い奴がいます」
「え?」
「俺は人より耳がいいんです、だからわかる、柴崎さんはそいつの相手を頼んます」
役員室に魔族だと。
あそこには組合長を務めている、安岡さんと溝口さんの父で役員の溝口忠信さんしかいないはず、まずいその2人が狙いなのか。
「わかった!俺と仙道は東條さんを連れて下に行く、蘭方くん頑張れ!」
「ういっす!」
そう言って蘭方くんはピースをした。
いや余裕すぎるだろ。




