20話 魔族襲来
「柴崎さんどうもです、お早いですね」
「いえいえ溝口さんこそ」
朝8時半、俺は組合本部の大会議室にいた。
今日は定例会議の日である。
「溝口さん、今回の参加者ってどうなってます?」
「参加者ですか?えーっと、予定では若織さん以外全員参加となっています」
「え?」
「祭さんが全員招集させたので、海外にいた四季さんも蘭方さんも、行方不明の神宮寺さんも全員来るそうです」
全員参加だと。
しかも祭さんの呼び出しで……なんだろすっごい祭さんと話したかったけど今はものすごく会いたくない。
大体こういう時は悪い話って決まってるんだよなぁ。
若織さんは、やっぱり無理だったか。
「よし全員集まったな、では会議をはじめる!」
朝9時、定例会議が始まった。
ほんとに若織さん以外全員いる。
祭さんはともかく、神宮寺までもいるとは、凄いな今回。
神宮寺倫也、俺と同い年の攻略者であり、ランキングは5位。
SSSレアダンジョンアイテム不死鳥の所持者。
不死鳥はアイテムという事になっているが、厳密にはアイテムではない。
神宮寺が海外で見つけたダンジョンモンスターである。
ただ普通のダンジョンモンスターと違い、適合したものに自身の力を貸し出す事が可能であるらしく、適合者である神宮寺は不死鳥の力を使用できるのだ。
不死鳥はレベルでいうと150あり、これはダンジョンモンスターの中では最大数値である。
「祭さーん、あんたに言われて今回来たわけだけど、なんかあんの?」
開始早々に神宮寺が祭さんに食ってかかった。
またこいつは。
神宮寺は強いが、攻略者の仲間内ではかなり嫌われている。
勝手な行動が多いし、何かあればすぐに食ってかかってきて、こいつと一緒だと全然探索が進まない事が多い。
「倫也か、お前を見たのは一年ぶりくらいだが、元気そうで嬉しいよ」
「あん?何それどんなギャグだよおっさん」
「まぁそう言うな、今回の件はお前みたいな強い奴の協力が必要なんだ」
「なんだよそれ」
「いいか、上位のお前らはこれから魔族とダンジョンの核の奪い合いをしてもらう」
核の奪い合い、やっぱり出たな核の話。
でもどうして核の奪い合いをする必要があるんだ?
「まぁこんなこと言われたら、核がなんで必要かが気になるよな、それはな魔王復活を阻止するためだ」
「は、魔王とか何言ってんだよおっさん、そんなのいるわけないだろ」
「いやいるんだなぁこれが、魔族がいるんだから魔王くらいいても不思議じゃないだろ」
そう言われるとなんか納得できるな。
魔王か、魔族であんだけ強いのにそれの王様って事か、確かに復活されたら倒せるか怪しい。
復活させないのが賢明だ。
『バン!』
「た、大変です!」
祭さんが話している最中、勢いよく扉が開き警備の人が慌てた様子で入って来た。
「どうしたの?」
入って来た警備の人に溝口さんが落ち着いた口調で訊ねた。
「ま、魔族が現れました」
「どこに?」
「ここです!」
「は?なんだよそれ」
神宮寺が声を荒げた。
魔族がここに来ただと、一体どこから?
いやそれよりも急いで倒さないと、この本部には沢山の攻略者や事務職の人がいるんだ、また犠牲者が出てしまう。
「で、どこにいるんですか?」
「いやだから、ここに!」
「いやいねーじゃん」
「だから俺だよ」
そう言って警備の人顔が魔族に変わった。
なっ、嘘だろ、まずいこのまま攻撃されたら……。
「エンドスキル発動、プロミネンス!!」
『ズドン』
そのまま警備員に扮していた魔族は爆発した。
『シュゥゥゥゥ』
「ふぅ、危ねぇ」
「ナイスだ雛菊」
間一髪のところで、雛菊が魔族を水の膜で覆い爆発を防いだ。
ただ何故か神宮寺のいるところだけ穴が空いており、そこから噴き出た爆発に神宮寺が巻き込まれてしまった。
「てめぇ雛菊、わざと俺のところに穴開けたろ!」
「しょうがねぇだろ、爆発の勢いを抑えるにはガス抜きしないとなんだよ」
「おい待て待てなんだよすげぇなそこの眼鏡の男、俺の爆発を受けて無傷かよ」
そう言って水の膜の中から先ほど自爆した魔族が出て来た。
「無傷なわけあるか、喰らってるし、死にかけてるよ、無傷に見えるのはただ再生力がすげぇからだ」
そう言う神宮寺の身体は半分燃えていた。
やっぱり凄いな不死鳥の力は、常時発動していて、再生にはスキルポイントを消費しているってところか。
スキルポイントは普段、ダンジョンに行く際組合から支給されているが、俺たち上位勢は皆、何かしらの手段を使って、自分自身でポイントをストックしている。
例えば俺なら覇王の髪飾りにストックしていたりしているのだが、どうやら神宮寺もそうしているらしい。
まぁどこにストックしてるかまではわからないけど。
「いきなり攻撃して悪いが、俺はここに話し合いをしにに来た、話を聞いてくれ」
「あ?何言ってんだクソ魔族、殺される覚悟はできてるんだろうな」
そう言って神宮寺は自分の両拳をガチっと合わせて魔族の方へゆっくりと歩いて行った。
「まぁ待て倫也、ここは話を聞こうじゃないか」
「はぁ!?何言ってんだよおっさん」
「おそらくだが、彼も魔族、なんの策もなしにここへは来ていないだろう、多分人質でもいるんじゃないか?」
「大当たり、さすがは上位攻略者、頭がキレるな、ちなみに人質は、ここにはいない、確か近くの病院にいる……」
「若織か」
「そうそうそれそれだ、今俺の仲間がその人の近くにいていつでも殺せる状態だ、だから俺の事は攻撃しない方がいいと思うぞ」
そう言って魔族は会議室の椅子に座った。
「まぁ少し話そう、攻略者」




