156話 雛菊の覚悟
『ちっすー、碧ちゃん』
「おは玄ちゃん」
SSSレアダンジョンアイテム玄武。
東北遠征のあと、雛菊が契約した亀の精霊であり、水霊の杖とも能力的相性が良く、雛菊の戦闘力は東北遠征時に比べて格段に上がっている。
「ほう、そんなものまで持っていたのか」
「まぁね、色々と思う事があってさ」
雛菊は東方遠征のとき、若織に負担をかけすぎてしまったのではと考えている。
自分がレヴィアタンとは相性も良く攻守両方でもっと活躍していれば、若織は引退しなくて済んだかもしれない、そう思っていた。
そのため雛菊はそこから自分の能力の見直しとレベルアップを図り、現在、強さ的には柴崎と同じくらいにまでに成長している。
「そうか、まぁ色々合ったのだろうな、だが色々あったとしてもこちらにも勝たねばならぬ事情がある故、勝たせてもらうぞ!」
上位魔族ルシファー。
自分勝手が多い魔族の中で、ルシファーは珍しく忠義の魔族。
そのため相手にどのような理由があろうとも、君主である魔王の望む物のためなら、どのような手段も厭わない。
「あーしも、橘っちのために勝つ!」
そう言って雛菊は水霊の杖を強く握る。
「いい気概だ、それでこそやり甲斐というものがある、エンドスキル発動、プロミネンス!!」
「やらせない!固有スキル水障壁!」
『バシュウウ』
ルシファーのプロミネンスに対し雛菊は水障壁で対応する。
しかしそのプロミネンスは陽動、本命はーー
『シュッ』
「な、魔族!」
ルシファーはプロミネンスの爆発を使い、長谷川の背後にまわり込む。
そして長谷川は一瞬遅れてルシファーの存在に気がつき、両腕でガードを固める。
「遅いな、一瞬俺の方が早い、エンドスキル発動、プロミネンスインパクト!!」
『ズドォン』
ルシファーの爆破攻撃が長谷川を襲う。
『プシュン』
ルシファーの攻撃が発動すると同時に長谷川の身体は水になり消えてしまった。
ルシファーは何が起こったのかわからず、固まってしまう。
「ど、どういう事だ」
「固有スキル発動、水霊拳!」
『ゴスッ』
「ぐはっ」
そんな隙だらけルシファーに長谷川は水霊の力で強化した拳をぶち込んだ。
「……強くなったのはお嬢様だけではありませんよ?」
長谷川は吹き飛んだルシファーへそう言い放つ。
雛菊の片腕、長谷川もまたこの半年間のうちで水霊の杖の準適合者となるレベルアップを行なっている。
「おいそこの魔族!よく聞け」
雛菊は倒れるルシファーへ向けて言葉をぶつける。
『ムクッ』
「な、なんだ……」
「長谷川だけはやらせねぇ、長谷川はあーしの家族なんだ!玄ちゃん!!」
『あいよー』
雛菊の呼びかけに応じ、玄武はルシファーへの攻撃を開始する。




