144.5話 柴崎拓真のパーティー事情
ーー関東第4ダンジョンへ行く少し前
「そ、そろそろ時間だな」
とある日の午後、俺は渋谷ハチ公前で國枝さんを待っていた。
今日は月イチで開いているパーティーミーティングの日である。
特にパーティーらしい活動をしていないので、せめてそれらしいものをと思い毎月第三土曜日に開催している。
「あ、柴崎さーん」
午後13時、待ち合わせの時間ちょうどに國枝さんは現れた。
今日は眼鏡か。
國枝さんは毎回ミーティングの時、前の月と髪型を変えてきたり、眼鏡をかけたり、帽子を被ったりして来ている。
気がついてはいるけど、それについて触れていいのか分からず毎回スルーしているが、今日は試しに触れてみるか。
別に単なる好奇心、本当にただそれだけ。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です、柴崎さん」
黒の革ジャンに短めのショートスカート、そしておそらく伊達メガネ。
これが今日の國枝さんの服装である。
うーん、普段はやらないけど眼鏡のことについてだけ触れてみるか。
「今日は眼鏡なんですね」
「え、は、はい雰囲気を変えたくて」
そう言って國枝さんは、髪を耳へとかける仕草をした。
雰囲気を変えたい……それは普段遊ぶ時とは違い、俺という攻略者の先輩に会うため気合いを入れたということか。
何のために?気合いなんて入れる必要はないんだけど……。
ただ否定は良くない、とりあえず肯定しよう。
「なるほど……いいと思います(仕事相手の)俺に会うために、変化をつけることは正しい事です」
「え、あ、はい……柴崎さんは眼鏡がお好きなんですか?」
め、眼鏡が好きか……だと?
別に嫌いではないが、まぁ仕事上の付き合いで会うことになれば、相手への印象的に悪い判断ではないな。
「好きかどうかは別として(仕事上の相手として)國枝さんの眼鏡は悪くはないと思っています」
「そ、そうなんですね……い、意外とグイグイくるじゃん」
何を言ったかは聞き取れなかったが、國枝かんは小さい声でその何かを呟くと、顔をバッと手で覆い隠してしまった。
う、うーん、あの回答は良くなかったのか……わからん。




