10話 東北遠征④
ダンジョンに入ってから1ヶ月が経ち、俺達は今30層に来ていた。
当初の予定よりもだいぶ早いペースで来ており、これならあと1、2週間もあれば最下層までいけそうである。
「拓真!そっちへいったぞ!」
「はい!若織さん!」
「グァァ!」
漆鳥、レベル48。
難関ダンジョンに広く生息している全長10メートルを超える巨大な怪鳥である。
30層からは遭遇するモンスターの強さが格段に上がり、40~50以上が普通になった。
「スキル発動、魔弾」
『ズドン』
「グァッ」
「ナイスだ拓真、スキルポイント1000消費、神刀一閃!」
『スパッ』
俺の魔弾で飛んでいる漆鳥を撃ち落とし、その下で構えていた若織さんが神仙刀で真っ二つにした。
「おお!ナイス2人とも!」
少し離れたところにいる雛菊が手を叩いて喜んでいた。
「雛菊、お前も手伝えよ」
「いやいらないっしょ、2人いれば十分」
「うーん、そうだけど」
「おいお前ら、戯れあってないでここに新しい拠点作るぞ!國枝さん、ここに25層の拠点をまるっと移動させてくれ」
「はい!若織さん」
そう言って國枝さんは拠点へと戻った。
今回の探索のやり方は凄く単純である。
まず拠点を作り、拠点のある階層を手分けして探索、そうしてそのまま5階層ほど普通に探索し、また新しい拠点の候補地をさがす。
そうして見つけた候補地に前作った拠点を転移させまた探索する、これの繰り返しである。
國枝さんがいるお陰で拠点作りが最初の一回だけで良いため、効率がかなりいい。
やはり転移系のアイテムは貴重度がかなり高いな。
『シュン』
「……」
転移で國枝さんだけが戻ってきた。
変だな、いつもは拠点ごと転移してくるのに。
「すみません若織さん、拠点が、拠点がありません」
「何言ってんだ、拠点がないだとそんなはずないだろ、だって拠点には篠田や他のパーティーメンバーがいたはずだろ」
「い、いないんです誰も」
そう話す國枝さんは震えていた。
なんだ何が起きているんだ、拠点がない?
まさか襲われたのか、いやでも襲われていたら國枝さんもそう言うはずだし、一体何が起こっているんだ。
「なんですか、お困りですか皆さん」
「誰だお前は」
俺たちが何が起こったのかわからずに、立ち尽くしていると、奥の通路から何者かが歩いてきて、そう言った。
真っ黒い肌に、3メートル以上ある体躯、そして頭に生えた一本の角。
魔族か。
「いきなり話しかけてしまいすみません、いえねこんなところで攻略者の一団に会えるとは思いもしなかったので、あとあなた方の拠点ですが移動させたの私です」
「何言ってやがんだお前、ぶっ殺すぞ」
「落ち着け雛菊、中に人がいたはずだ、その人達はどうした?」
俺は荒れた口調の雛菊を言葉で静止させ、拠点に残っていた若織さんのパーティー6人の安否を確認した。
「あー、あれですか、あれらならこうなりました」
『ゴロン』
「ひっ、何それ」
魔族はそう言って赤い肉の塊のようなものを転がし、それを見て國枝さんが思わず声を出した。
「なんだそれは」
「おそらく人です、いえね拠点の中を歩いてたら襲われてしまって、だからね文字通り握り潰したんです1人残らず、そうしてできた塊です」
「スキルポイント、10,000消費」
「若織さん!落ち着け!」
「死ねクズ野郎、神刀一閃!」
一瞬で間合いを詰めた若織さんの神仙刀が魔族を切り裂いた。




