22話 救いの天使あいちゃん
僕は身勝手で、傲慢で、無力、そして愚か者。
許の現実を曝け出し、傷つけ、何も変わらないと言う絶望を突きつけた。
ぶるぶるぶる、・・・ぶるぶるぶる、・・・ぶるぶるぶる。
許が、べとべとの僕の服から出しといてくれた、スマホのバイブが動いた。
テーブルの上に置かれたそれを取りに行くと。
「早く取るですぅ、バカ望」
「あいちゃん」「うっ、うっ、うっ、あい、ひっぐ、裏切り者」
僕はスマホを手にした。べとべとしてるので、タオルの端で拭いた。
「あいちゃん泣いてるの」「シンクロしてるからですぅ。一つだけあります」「何があるの」
「うーうっ、うらぎり・・・うーうっ、ものーぉーっ。お米とお露とお中に、うーーーうっ、存在をばらしてやるぅーーぅっ」
「なっ、何って凶悪な事を言うですかぁ、まだ対抗策が完全じゃないですぅ」
「だから、助けてあげるですぅ」「「えっ」」「あいちゃん、方法あるの」
「但し、条件があるですぅ」「何でもする。許を救えるなら、何でも」
「のぞむぅ~~~~ぅ、ひぐ」許が、ベットを下りて飛び付いて来た。
「早く教えて」「先に条件ですぅ」「何、早く言って」「この喰いつきは、何ですかぁ」
「早く早く」「常に許とシンクロしたいですぅ」「許」「別にぃ・・・いいけどぉ」
「じゃぁ教えます。望が働いてぇ、望だけが、許といちゃいちゃすればいいんですぅ。シンクロして、許の卵の管理と望の仕事のスケジュール管理を私が助けますぅ。学校があるので、夏休みの時ほどではないですが、この前、時給が上がったので何とかなるですぅ」
「僕やるよ、働く」「信じていいのぉ、望だけ見てたらいい」
「あいちゃん、本当に出来るの」
「今のバイト先、私と望のコンビは優秀ですぅ。毎日、働く事になりますがぁ、毎月一回デートが出来て、お泊まりが出来ますぅ」
「それって、ひっぐ、単身赴任の夫の帰りを待ってる、ひっぐ、うっうっ、奥さん見たい」
「事実婚ですぅ。私が卵管理をするから、もうお薬も要りませんよぉ、その分を家計に回せますぅ」
「その」許が真っ赤かになる。「副作用は気にしなくていいですぅ」
「ゆ~き~、僕は働く、もう他の誰にも触れさせない」「有難う」ちゅっ。
「私、汚いけどいいの」「許は、可愛いよ」「ちょっと」「許は綺麗だよ」「ねぇ」
「許は素敵だよ」「のぞむ」どさぁっ。「~~ん、ぅ~~ん」
「でも、今日は帰ろ、お薬、飲んでるんでしょう」「言ってる事と合って、ふっむうぅ」
それからちょっとだけ、可愛い許を堪能してから、大慌てでチェックアウトした。
「もぉ~望、結局、こうなっちゃうのね」「嫌なの」「嫌っ、…じゃい」
「あいちゃんまだのびてるね。エラーは出てないけど」
僕の自転車には荷台がない。更に残念な事にハブステップもない。
故に許を乗せてあげられない。だから二人で並んで駅まで歩いている。
「お巡りさんが来たよ」
「なっ、何をきょどっているの、もう私達は夫婦みたいなものだから、堂々としてなさ」
「そうかな、じゃぁ」ちゅっ。「うぅぅぅっ」
「ちょっとそこの二人」お巡りさんに呼び止められた。
「君たち、学生」「はぁーまぁ」「学生証ある」「ありませんけど」
「住所と氏名は」「個人情報を教える事は出来ません」
「捜査に協力するのは国民の義務だよ」「可愛い私の住所を調べてどうするつもり」
「あーっ、もういいよっ。あんまり目立つ事しないでね。はい、気を付けて」
「許可愛いから目立つのかな」「じゃっ、じゃぁ~、私は電車だから」「うん」「待ってっ」
「何どうしたの」「・・・あの、番号と、ID」
「ぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおやったあああああああーーーーーーーっ」「ちょっ、望」
駅前で、凄い注目を浴びた。
けど、僕はやっと許の携帯番号とIDと苗字をゲットした。
神楽坂 許、僕の携帯に女の子の名前が入った。そして無茶苦茶可愛い彼女が出来たっ。
それからあいちゃんが復活して、帰り道は2時間半で帰ってこれた。
でもやっぱり汗だくだ。




