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聖女を追放した国の物語  作者: 猫野 にくきゅう
聖女暗殺事件

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第50話 鉄壁のライザ 1

 リーズラグド王国、ダルフォルネ領。


 聖女ローゼリアを発端とする、六万人以上の死者を出した『ローゼリア事件』から三か月が経過した。


 俺が討伐したあの集合体は、『破壊神』と呼称している。




 俺の婚約者のソフィには、『死神』が見える。

 その死神からもたらされた情報を基に、そう呼んでいる。


 ソフィが伝え聞いた死神の話は、現在ロザリアを中心とした研究チームに、検証して貰っている。


 実際に破壊神と戦った俺は、その話に嘘は無いだろうと思っている。 





 ローゼリア事件の引き金を引いた、元聖女のローゼリア。


 死神の話では、奴はすでに力を使い切り、さらにこの地に封印されていた破壊神の消滅によって、地母神ガイアとの繋がりも切れて、聖女では無くなったらしい。


 現在は行方不明だが、目撃情報を集めると、ピレンゾルへと向かったことが確認されている。


 あの女は軍隊を率いて、この国で狼藉を働いていたので、ピレンゾルに身柄の引き渡しを要請しているが、ピレンゾルからは『聖女ローゼリアなる人物は、わが国にはいない』という回答しか返ってこないらしい。


 本当にピレンゾルにいないのか、それとも庇い立てしているのかは不明だ。



 ローゼリアの在否確認は置いておいても、ピレンゾル兵がダルフォルネ領内に侵入して、乱暴狼藉を働いた事実は消えない。


 捕虜も、五百名ほど捕らえている。


 こちらからピレンゾルに、捕虜の返還と身代金の支払い、損害補償などを求めているが、向こうが出し渋って、外交交渉が膠着している状態にある。





 『そもそも、ローゼリアを追放したのは貴国ではないか!! そのせいで我が国は多大な損害を被った、そっちが賠償しろ!!』と言って、逆切れし始めたらしい。


 ピレンゾルは元々厄介な隣国だったが、こちらにもローゼリアを追放したという落ち度がある。そこを相手に突かれてしまっている。



 初手でローゼリアの奴を、殺さなかったツケだ。

 はた迷惑で、面倒事をまき散らす迷惑な女。


 懸案事項が浮かび上がる度に――


 あいつを最初に殺しておけばと、後悔がよぎる。 


 




 ローゼリア事件で犠牲になった死者の埋葬も終わり、瓦礫の撤去作業も進んでいる。区画整理も行われ、優先度の高い施設から順に建造が始まっている。


 家や家族を失った者も多いが、そういった者が寄り集まって、臨時でいくつもテント村が作られている。

 

 俺はそんなテント村の一つに、居を構えて暮らしている。



 腕力と体力には、自信がある。


 転生特典は使い切ったが、邪竜王と破壊神の討伐でレベルが上がっている。


 最近はずっとダルフォルネ領の兵士たちと共に、復興作業の手伝いに従事して、避難民たちと苦楽を共にしているので、利便性を考慮してここに住んでいる。


 それと同時に、この辺りの魔物の討伐を親衛隊や昔からの傭兵仲間と、分担してやっている。


 魔物退治は人気が出るし、住民たちも盛り上がる。


 ――外せない業務だ。




 王子である俺が、率先して泥にまみれる必要はない。


 そういった作業は部下に命じてやらせればいいのだが、国民の不満というのは、いつ権力者に向くか分かったものじゃない。

 一緒に苦楽を分かち合う姿を、分かりやすく見せておくことは、俺にとって財産になるだろう。


 そういった打算を抜きにしても、避難民の村は不思議と活気に満ちていて、居心地は悪くない。

 悲しいことがあっても、人はいつまでも悲しんでばかりはいられない。



 自分らしくないのは承知の上で――

 俺は色んな相手に、声をかけて話をして回った。


 もう一度やり直そうという活力は、そんなところから生まれてくる。と思ったからだが、この辺りの性格は、前世の自分には無かったと思う。

 

 恐らくだが――

 今の俺は元々の小説のキャラ『アレス王子』と、転生前の俺のパーソナリティが、融合して出来た存在なのだと思う。




 色々な事情を考慮して、俺は避難所で暮らしているのだが、この国の第一王子という身分上、テントは立派で大きな物だし、周囲は親衛隊用のテントで固められている。


 その俺の居住用テントに、メイド長のゼニアスが近況報告に訪れた。


 



 …………。


 ゼニアスは一晩泊って、次の日にはもう後宮へと帰っていった。

 

 ゼニアスの報告を聞いた俺は、王都の居酒屋で情報収取と拡散任務を担っているライザを、ソフィの教育係と言う名目で呼び寄せることにした。


 ソフィ関連のエピソードの中で、食材を無駄にしてしまう話などは注意が必要だ。


 俺は可愛いと思ったが、受け取る人間によっては反感を買う恐れもある。

 彼女には、療養もかねて後宮でゆっくりして貰っているが、外では苦しい思いをしている避難民が大勢いる。



 情報はどこから漏れるかわからない。


 贅沢に暮らすお姫様の、お気楽な逸話として受け取られかねない。

 ――そんな状況が続いている。


 情報管理に長けたライザを側に付けて、ソフィにとってマイナスの情報を排除し、プラスの情報が広がるように操作して貰う。



 情報ギルド関連の業務は、レイミーと言う名の優秀な後任が育っているそうなので、すぐに来れるだろう。





 ――ライザはずっと、王都にいた。



 用事があって王都に赴くときには、必ず彼女に会って俺の実力を試している。


 一か月前に会った時には、ついに彼女の『鉄壁』を実力で突破することが出来た。


 邪竜王を討伐した後の強さで、俺はライザと互角だったから――



 破壊神を討伐したことで、そこからさらに強さを増したことになる。

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