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1ノ⑨

うーん、二千文字前後で各話投稿してますが、短いですかね……

「お前……本気でやるのか?」


向かい合うように立つケンジとエッジ。

エッジの手には愛用のグレートソードが握られており、対するケンジは何も持たず素手である。エッジの問いかけにケンジは気にすることなく拳を突き出し構えを取ると、ニヤリと笑みを浮かべる。


「お前さんは俺達の実力を疑ってるんだろ?なら、こうしたら俺達の実力も知れて、お前も心配事も無くなる。一石二鳥だろ?」


「そりゃ、そうだけど……」


「ならそれでいいじゃんか!さっ、やるぞ?」


「……ああ、もう!!仕方ねぇな!!」


ケンジの口車に乗せられ、大剣を構えるエッジ、そんな二人の間に立ち審判を務めるのはクーゴだ。


「では、ルールの確認をしようか。勝敗についてはどちらかが一撃でも入れれたら勝利、また今回は実力を競う為のものであるから不意打ちや罠の類は無しとする。両者それでいいな?」


「あいよー。」


「わかってらぁ」


ケンジは陽気に、エッジはぶっきらぼうに答え、相手を見据える。

それを見たクーゴは静かに手を挙げ、開始の合図としてそのまま手を振り下ろした。


「ふっ!!」


「おっと」


先に行動を起こしたのはエッジだ。ケンジに向かって突進するかのように駆け出し、大剣を振り下ろす。

ケンジは大剣の一撃を軽く横に飛ぶ事でかわし、拳が届く距離へと近づこうとするがエッジはそれを予想し、そのまま大剣を横に薙ぎ払う。慌てずしゃがみ込みなぎ払いをかわし、エッジの懐に入り込むと、握り締めた拳をエッジの顎に向けて振り上げる。


「っ!?」


持ち前の反射神経か、はたまた獣の感か、エッジは顔をそらしてケンジの拳をかわして後方へ大きく飛ぶと、仕切りなおしと言わんばかりに互いの得物を構える。


(いやぁ、今のはいいのだと思ったんだがねぇ……)


顔には笑みを浮かべ、ケンジは次の策を考える。

この戦いは命をかけたものではなく力試しが本来の目的だ。しかし、見たことの無い種族に世界、それがこんなにも沢山ある。それだけでケンジの心は湧き上がるのだ




(こいつ、思ってた以上にできる……!)


自分が握っている大剣を構えなおしながらエッジは思う。


突如として現れた尾が無く、耳が丸い種族「人間」。おとぎ話の中でしか聞いたことの無い存在が目の前におり、そして自分と互角、もしくはそれ以上の力を持っていることを本能的に察していた。だがそれ以上に彼の頭の中を占めていたのは、それ以外のことであった。


(コイツとの戦いで、俺の足りない“何か”がわかるかもしれねぇ。そうすれば、俺はもっと強くなれる……!)


そう考えながら大剣の柄を強く握りしめ、相手に備える。いつでも来い、俺は何処からでも迎え撃つぞ。

体から感じる闘気がケンジの肌を刺してくる。それを感じながらケンジはさらに笑みを浮かべ、動き出す。


「オラァッ!!」


「ッ!!このっ!!」


舞うようにエッジに迫り、切り裂くかのような鋭い蹴りをたたき込もうとし、エッジは大剣を盾にするかのようにして防いで反撃に転じるために大剣を振るう。


『いやぁ、楽しそうでありますぞ〜』


「……ん。」


「エッジ、なんだか楽しそう。あんなエッジを見るのはなんだか久しぶり……」


「ああ、これも彼のおかげか……」



そこからは、まるで幼子のような笑顔を浮かべながらお互いの力を競い合う2人が、体力が尽きるまでその戦いは続いたのだった。


「……それで、納得いったのか?エッジ」


「ああ……悪かったな、見下した言い方しちまって」


「いやぁ、こっちも楽しめたから、オーライさ。で、俺はお前さんのお眼鏡に叶ったのかね?」


「……頼りにしてる。」


ケンジからの問いに顔を背けながら呟くエッジ、そしてそれを見て微笑ましく思うモミジとクーゴであった。



「さってと、色々あったがこっからが本題だ。キョウとハコマルはこのまま輸送機に乗って怪物退治、クーゴの旦那にはピーターさんとこに説明、任せていいか?」


『吉報を期待するのですぞ!!』


「ああ、構わんよ。ゴブリンロードの事を君達に任せるんだ。それくらいお安い御用さ。」


ケンジからの提案に快諾するハコマルとクーゴ、そしてそれを見ていたエッジが口を開く。


「それはわかったが、俺とモミジはどーすんだよ?何にもやる事がねぇんだけど?」


少し不満げなエッジだが、模擬戦を行う前の刺々しさはなくなっている。彼なりにケンジを認めた結果だろう。

ケンジはそんなエッジに振り向きながら答える。


「ああ、お前さん達は俺と一緒に来てもらうぜ?今回の一件についてモミジちゃん達の見解も聞きたいし、仲間にも紹介したいしな。」


「仲間……ですか?」


「またお前らみたいなトンデモがいるのかよ。お前らが住んでる所は魔界か類かなんかか」


呆れたようなエッジの物言いだが、実際的を得ている。

無口無表情で何を考えているのかわからないが、魔法では無い光る剣を扱う凄腕の剣士に明確な意思を持ち、流暢に喋る変わったゴーレム。

挙げ句の果てには空より降り立つ不可思議な船と、それら全てを束ねる奇妙な男。


だがそれ以上にこの男が何をやっていくのか、それを間近で見てみたい。と、感じずにはいられなかった



ケンジとエッジの力比べの後はサクサクと準備が進んだ。

ケンジ達による輸送機の内部チェックを済ませキョウは対寒用スーツを着込み、ヘルメットを片手に輸送機は搭乗しようとする。ハコマルは既に輸送機の中で発進できるよう準備しており、後はエンジンに火を入れるのみだ。


「そんじゃ、気をつけてなー」

『吉報を待っているのですぞ!!」


ハコマルの声がスピーカーから発せられてから、輸送機はエンジンに火が入る。

重力制御装置が起動されゆっくりと宙に浮いて行く輸送機を目を丸くして見ているクーゴ達。モミジに至っては惚けた声を出すほど驚いているようだ。

そしてある程度の高さまで浮遊し、まっすぐノールド山脈へと向けて飛び立つ輸送機を見送ると、ケンジは踵を返した。

「うっし。ほんじゃあノールド山脈件はあいつらに任すとして、俺たちは他のやつと合流するか。」


「ちょっと待った。」


「あん?どした?」



そんな時にエッジがケンジに初めてあった時から疑問に思っていた事を訪ねようと口を開く。


「お前の言う残りの仲間ってのはどんな奴なんだ?やっぱり、お前やあのデカイのと同じくらい強いのか?」


エッジの疑問に足を止めるケンジはその質問を聞いて顔をしかめて考え出す。その顔はどう言えばいいか迷ってあるかのように見える。

少しして、重々しく口を開いた


「あー、強いっちゃぁ、強いかなぁ?別の意味で」


「は?」


「来ればわかるさ。さ、行こうぜ!」



苦笑いを浮かべながらもエッジ達を引き連れて、母艦に戻るのであった。


今日はここまで

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