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ここで突然だけど、私の武器について話そうと思うわ。
私の武器、形状は漆黒の鎌。
2m以上の大型武器で、ところどころに金装飾がなされた、我ながらハイセンスでカッコいい武器となってるの。
それでここからが最も重要。
武器群『オータクオブキングス』
武器名『ブルートズィッヒェル』
これだけでも気付けると思うのだけれど、あえて言うわ。
この武器は王族ユーザーのみが所持を許された、最終兵器。
運営という立場をフル活用して作られた、最強のチート武器。
誰にも絶対負けない絶対勝者を約束された、至高の装備。
それが『オータクオブキングス』という武器群なの。
私のみが所持を許されるブルートズィッヒェルも同様。
“緊急時以外は使わない”という制約があるから殆ど使えないけれど、それが納得できるくらいの威力を誇るわ。
最強の威力、最強の特殊能力、最強の強度。
語ると長くなるから、実際の強さはこの戦いで見せようと思うわ。
「何だ、カッコつけたくせにそこで止まりやがってェ!!」
ーー何てやっていたら糖党の大剣男が、全く動かない私を薙ぎ払うように攻撃してきた。
あら、刺された筈なのに元気じゃないの。
回復でもしたかしらー?なんて思いつつ悠長に構える。
勿論本来だったら避けるべきだけれど、この武器を装備してしまった今の私は全くの無問題。
敵の剣は私の武器に当たった途端、大きく弾かれ後ろに飛ばされてしまった。
「ーーは?」
遠くからカランと転がる武器の音。
予想だにしない出来事に敵は唖然としていた。
一方私は当たっても壊れなかった武器に称賛しつつ、その敵の間抜け面に一発軽くパンチをお見舞い。
大剣男は後方に勢いよく吹き飛び、ドゴォ!と凄い音を立てながら壁に激突した。
「な、ななななんなんです!?」
またも声を上げるフード男。
恐らく予想以上の強さに驚いているんだろうけど。
でもさ。
「そんな素っ頓狂な声、出してる余裕ある?」
「は、はい?」
あらら、意外と予想付けができない残念オツムだったのかしら。
私がどのタイミングでここにいたのか分からない以上、全てを疑うべきなのがインテリキャラだと思うけれど。
例えば “倒した敵が実は倒していなかった” とか。
「光牙一閃!」
「!?」
フード男の正面から、光の様な速さで突きを放つ白い影。
そう、超巨大の火球によって燃やされた筈のショウだった。
ショウの一撃は敵が磔にされていることもあり、攻撃が腹部を綺麗に貫いた。
この状態に更に慌てるフード男。
痛みよりも驚きの方が強いみたいで、ものすごい変な表情をしていた。
「なっ、何故生きているのですか!?」
「さあな!」
ショウは武器を引き抜き、今度は頭から一刀両断しようと斬りつける。
けれど磔からどうにかして抜け出した様で、みっともなく転がり逃げ惑う敵。
あらあら随分と情けないわねぇ。
「も、もう全くもって分からない!何故俺は磔にされた、何故攻撃が弾かれる、何故吸糖鬼が生きている!!?」
「ーー本気で言ってるの、アンタ」
地面を這いずり、口調が乱れ、叫びまくる男。
最初のインテリキャラ、策略キャラからかけ離れた状態。
そんな情けない姿に思わず本音が出てしまったわ。
もっとデキる人間かと思ったけど、見当違いだった様子ね。
しょうがない、可哀想で哀れなこの人物に教えてあげましょう。
一体誰に喧嘩を売ってしまったのか。
一体誰を怒らせてしまったのか。
「その前に……本当に貴方は丈夫なのねぇ」
私は振り向かず、背後に立つ大剣男に声をかける。
ボロボロで満身創痍、焦点も合っていない彼。
けれど気迫は変わらず、むしろ強まっているように感じた。
こっちの方が幾分もボス感あるわ。
「ど、どうする?」
ショウが私に聞いてくる。
ここで言う「どうする」は私が戦うかショウが戦うかって事なんでしょうけど。
生憎私はこのクソフード……おっといけない、言葉が悪いわね。
私はこの非常に憎たらしく葬りたいフード男をこの手で倒したい。
けれどショウもフード男と戦いたいに違いない。
かと言って疲れ切っているマモリを戦わせたくは無いし。
「ーーしょうがないから、そいつの相手をお願いしてもいいかしら?」
私は振り向かないまま、後ろに向けてロングソードを投げる。
大剣男はなりふり構わず--と言うよりも見る気力が無いといった感じで正面しか見てない。
私がしたこの行為の意味に気付けたのは、唯一正面を向いていたフード野郎だけだ。
【了解しました、王女様】
宙を舞う剣を掴み、大剣男に突き立てる一つの影。
アンドロイドのナビ子である。
不意をついた一撃だったけれど、男は殺気を感じ取ったのか大剣で何とか防ぐ。
だが、そのすぐ後ろにはーー
「よく分からないけど、貰ったわ!!」
両手に拳銃を持ち、それを放つ女性ーーシーメルがいた。
今度こそ決定打となるか、と思いきや大剣男は無理くり剣を動かして銃弾を防ぎ、その勢いのまま攻撃をしてナビ子を退ける。
あらあら、もしかして傷付けば傷つく程強くなるタイプだったかしら??
さっきより動きがいい気がするわ。
「まぁでも任せて問題ないでしょう。あくまで私たちはこっちよ」
「お、おう」
何が起きたか把握しきれてないようで、どもった返事をし、私とナビ子たちを何度も見直しているショウ。
まぁ打ち合わせ無しであれほど綺麗な連携取れたら、呆けてしまうのも頷くけれど。
私もこの状況でなければ自画自賛したいところだし。
フード男がまだ生きているこの状況でなければね。
「さて、そこの愚者。準備はできている?」
私は怒りを込めつつ武器を構える。
さっきは「ショウも戦いたいだろう」と思ったけれど……悪いけど、私は私のやりたいように戦わせてもらうとするわ。
「まぁーー準備出来てなくても殺るけれど」
私は超速でフードの側面に移動、頭目掛けて振り下ろした。
これで倒したと思ったけれど、流石は敵の親玉。
私の一撃に気付き、防ぐ為か武器を頭上に構える。
ギィン、と金属同士がぶつかる鈍い音が部屋に響き渡る中、フードの腕の至るところから血が吹き出した。
「なぁぁぁぁぁっ!?」
泣き叫ぶフード、私はその姿を鼻で笑いながら次の行動に移る。
狙うは側面。
目で追えるように死角ではない、よく見えるところをワザと狙って振りかぶる。
フードはボロボロになった腕を動かし、またもや攻撃を防いでくる。
が、その防御は意味をなさない。
武器同士がぶつかった瞬間、その威力・衝撃で武器どころか腕ごと空中を舞ってしまったから。
……全く、気付きもしないのかしら。
私の攻撃、“軽く放った”あのパンチで大剣男を吹き飛ばす威力を持つのに、渾身の一撃をその細腕で耐えれるわけがないじゃないの。
流せばまだ違うのかもしれないけれど、どれも馬鹿正直に正面からの受け止め。
腕が吹き飛ぶのは必然と言えるわ。
「あら、意外」
けれど、ちょっと驚くことが起きていた。
ふと目を離した間に、無くなった筈の腕が何故か元に戻っており、同じくふき飛ばされた筈の武器を持って、それで斬りかかろうとしていた。
察するに超再生か瞬間移動の類、またはその両方を使ってかしら。
どちらにせよ、実力じゃなくて道具とかによる効果なんでしょうけど。
「うがぁあっ!!」
「正直なところ、道具だろうが魔法だろうが効果だろうが、今の私に無意味なんだけどね」
死物狂いで放ってくるなぎ払いの一撃。
それを私は武器で堂々と正面で受け止めた。
するとどうでしょう、敵は一瞬にして消滅。
チリ一つすら残らなかった。
……けれど先程の感じから察するに、まだ生きてそうな気がするわね。
そう構えていると、今度は背後から無傷の敵が現れた。
目を血走らせて、狂った表情を浮かべた敵が。
私はこの姿ににっこり笑みを浮かべる。
「あら、いい表情になってきたわね」
でもまだ足りないわ、と付け加えーー
「さあショーを続けましょう?だってまだ許されるには早過ぎるもの」
大きく鎌を振りかぶり、振り下ろした。




