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どうも皆様、おはこんにちは。
現在顔が青ざめ、ため息が止まらくなってるショウでございます。
理由は前回を見てくれれば分かると思うけれど、敢えておさらい。
リアルイベント強制参加だひゃっほーう、以上です。
本当に行きたくなかったけれど、ハイテンションマニさんに勝てるわけなく。
前日から雲隠れしようとしたら、一発で見つかりそのままドナドナされちゃいましたからね。
……ええそうなんです、今向かっているんですよ。
イベントの会場へ、のんびりバスで。
いやぁ、まさかこんな諸行を神様が用意してくれてるとは、悪いことしてないのになんと悲しい事か。
イベントという事はリアルな人がわんさかなんでしょう?
いくら極秘とはいえ少数では成り立たないイベントだもんね。
オフ会っていう最大の敵を倒したというのに、それ以上の裏ボス的なやつが翌日にエンカウントするとは思わんかったよ。
おかげで封筒が来た日から今日までの5日間、ずっと不眠症でしたからね。
しかも目がめっちゃごろごろピクピクする。
やったね俺、持病が増えたよ。
「ぐーぐー」
そんな俺やばたにえんな状況の最中、隣に座ってるマニは呑気に寝ている。
いや、ぐーぐーって言ってるから、もしかしたら寝たふりかもしれない。
どちらにせよ結構ムカつくが構ってる場合じゃあないな。
今は気持ちを整え、これからに備えていかないといけない。
バス内だろうが、悪路だろうが、何処でもゲームをするのがゲーマーというもの。
ソシャゲのイベント周回してSAN値回復なのじゃあー!
ついでにガチャも回してやらぁ!!
◇
自分達が住んでいる町から、おおよそ3時間程度。
山奥にある温泉の町、リザースプリングス。
ここ温泉街に数多ある旅館の中でも人気のある老舗、「龍水峯」
その店先に嬉々する私と、屍のような幼馴染がいた。
どうも皆さん、こんにちは。
みんな大好き暴力先生ことマニよ。
何故私が一人称で進んでいるかというと、そこでへばっている阿呆がお馬鹿な事をしてそれどころじゃ無くなったからなの。
お察しかもしれないけど、車酔い・SANチェック失敗・ガチャ大爆死って言えば分かるわよね?
そーゆー事よ、そーゆー事。
皆様も寝不足の時には、過信しすぎず無理しないでちょうだいね。
当たり前の事だけど、暴力先生からのお願いよ。
……さーて、そろそろコイツを引っ張って中に入ってみましょうか。
ズリズリ嫌な音はするけど、コイツだから大丈夫なはずよね、うん。
「ようこそいらっしゃいました」
入るなり仲居さんと思われる人が出迎えてくれた。
あからさまに引きずっている事を気にしてるけど、別にいいわよね。
「こんなのが来たのだけれど、案内をお願いできるかしら?」
私は自分のと、引きずってる奴の裾から招待状を取り出し、出迎えてくれた人に見せる。
すると露骨に驚いた表情をし、「まさかこの方々が?こんなお子様なのに!?」と思っているようだ。
「……なんでもいいけど案内してくれる?そーゆー風に思われるのは嫌なんだけど」
「!?しっ失礼しました!!今ご案内いたします……」
内心がばれて焦ってる、って感じねぇ。
その表情が実にいいわ、少し許してあげようかしら?
そんな感じに思いながら、私は彼女の後ろをついていった。
さて向かってる最中だけれど、有名な老舗とだけあって内装が凄くて見惚れていた。
まさか建物内に小川や滝があるとは思わなかったわ。
絨毯も紅葉があしらわれた美しい模様だったし。
これは引きずられているショウも満足でしょう。
「満足……では無いな……」
「あら起きていたの、ショウ。でも肌触りは良いのでしょう?」
「確かにいいけどさ……。引きずられるのは……あかんって……。せめて起こして」
「しょうがないわね。でも起きて大丈夫なの?もう会場に着くのだけれど」
「何とかします……」
しょうがないわね、流石に引きずる腕が疲れたし、そろそろ起きて貰った方が助かるし。
私は腕を支え、立ち上がるのをサポートしてあげた。
「あー……つらたにえん……」
「それは殆ど自業自得ってやつでしょうよ。今度は自分の能力に過信しない事ね」
「そうするわ……」
「お話のところすみません、会場にお着きしました」
ショウが少し反省的なのをしたところで、丁度よく到着したようね。
私は一応ショウの方を向いて大丈夫かどうか確認をしてみる。
すぐ気付いて、顔が青ざめたままだがしっかと頷いた。
……心配だけど、本人が言うならいいっか。
「ではこちらにどうぞ」
その声に案内され、私らは目の前のドアを開いた。
◇
入った先は結構広い部屋だった。
あれみたいな、そう結婚式とかそういうのをするような感じの部屋だ。
あちらこちらにシャンデリアみたいなのがあって、白い豪華そうな壁紙でフカフカ絨毯が敷き詰められてる。
それに天井も随分と高いしな。
今後、こういう場所には中々来れないんだろうなぁーなんて思いながら、俺はマナーモードになっていました。
はい、皆さま改めてこんにちは。
再びこの私、ショウがお送りいたします。
ですが挫折寸前です、はい。
思ったより人は少ないが、20人もいれば俺に大特効だ。
身体がブルブル止まりません。
「ショウ、やっぱり駄目じゃないの。一回出ようか?」
俺の状態を見て、マニが心配してくれた。
もしかしたら顔色もヤバいんだろうなぁ。
しょうがない、お言葉に甘えーー
「あ、ショウさーん、マニさーん!!」
と言うタイミングで宇佐美様が乱入でございます。
流石宇佐美様、天然はやはり強敵だよ……
マナーモードが悪化してる中、マニがため息をつきつつ宇佐美様に返事した。
「こんにちは、エリスさん。それとも宇佐美さん呼びの方がいいかしら?」
「できれば宇佐美の方がいいかな?エリスって呼ばれると皆さん気付いてしまいますから……」
確かに一瞬ちらりと見た時、地味目な格好に黒のサングラスをつけていたと思う。
やっぱり有名人だから、気をつけないといけないのかな。
なんて思いつつ、マナーモードを続ける俺であった。
「分かったわ、宇佐美さん。ところで他の面々もいるのかしら?」
「エイレちゃんと、ミーシャさんですか?私はまだ会っていませんよ。企画が国という事らしいので、もしかしたら運営の方にいるのかもですね」
「成る程、理解したわ。ありがとう」
「ところでショウさん、お顔が真っ青ですけれど大丈夫ですか?」
大丈夫な訳ないですよ、宇佐美様。
文章放棄するくらいヤバいのですよ。
だからそのままにして欲しいのですよ。
「あー焦れったい!いい加減なんとか自分でせいや!!」
コミュ障発症中の俺に怒鳴りつけるマニ。
そしてそのまま、流れるように。
正面から抱きついてきて、オフ会のようにキスされた。
「うぉっほう!?」
突然とは言え、された事がされた事だからめっさビックリした!
と言うか何でこんな事するんだよ!!
俺がそう言う前に、抱きついたまま俺の方を見て言った。
「あんたのコミュ障みたいなの、一時治る場合が3パターンあるのよね。羞恥の時、体調不良の時、そしてゲーム最中。今は羞恥感じてるし、体調不良でなんぼか大丈夫でしょう?いい加減シャキッとしなさいな、よ?」
少し頬を赤くして照れ臭そうに言う、マニさん。
……むぅ、こう言われ、この様な表情をされると、何とも言い返せない。
幼馴染だけに、全てを知ってるだけに。
何の感情も無いはずなのに、この様にしてくれるマニに。
これは意地でも善処するしかないだろう。
「そう思うならそうしなさい。自分で上手く向き合っていきなさいな。……それと宇佐美さん、口を押さえて感激するのやめてもらえる?こうはしてるけど私たちなんでも無いから」
そうだな、そうしていかないとな……ん、宇佐美様?
えっ、と思い宇佐美様を見てみる。
確かに目を輝かせて俺らを見ている。
少女漫画を見る女子の様な目つきで。
うわ、そういえばこのやりとり、人前で堂々とやっていたのか。
そりゃあマニさんも顔が赤くなりますよねー!
俺もめっさ顔が熱くなってきたわ!!
「わっ、私は分かってますからね!気にしなくて良いんですよ!!」
そうしてピューっと奥に走っていく宇佐美様。
待、待ってくれ宇佐美様ー!!




