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7-7



【三巡目】



「「「「じゃんけんぽん」」」」


今度は特に何もせず、純粋にじゃんけんを行った。


まぁ若干な心理戦はあったが割愛。


今回も俺が一番となった。


さて、と。


この傷があるってことは、これが王様の箸だな。


俺はまた迷いなく箸をとった。


──が。


「なんだと!?」


俺が引いたのは、最初に引いた一番の箸であった。


なんでだ、確かに木目は王様の箸と似てはいたが傷はついていなかったはず。


だから間違える筈が──


「ないって?それは油断しすぎじゃない」


また二番目だったマニが、王様の箸を持ちながら言った。


なぜマニがその箸を持っているんだ。


そう疑問に思ったが、すぐに解が出た。


「成る程、傷を付け足したんだな。やってくれるじゃあないか!」


そう、マニは傷を付け足したのだ。


二巡目の時に。


全く、本当にやってくれたよ!


「みんな引き終えたわね。じゃあ一番の箸、王に跪きなさい!


今度こそ堂々と俺を指しながら宣言したマニ。


驚いて本当の事を思考してしまったからな、ばれるのはしょうがない。


だが、素直に敗けは認めないぞ。


俺はマニの前に膝をつき、空いていた左手をこちらに寄せ、満面の笑み。


そして──


「なんで御座いましょう、我が麗しの君」


そう言って手の甲にキスをした。


いっよっしゃぁぁぁぁぁ!


これだったら間違いなく、マニは嫌悪感を示すはず。


この際恥ずかしさなどどうでもいい。


一矢報いる事が重要なのだ。


さぁ気持ち悪くなるがよい!


「何となく、だよ。何となく貴方が側にいて欲しくて……」


何っ、のってきただと!?


なら良いだろう、そっちが折れるまで付き合ってやろうじゃねぇか!


「それはそれは、私にとって誉れです。大切な方から頼られるなんて、ね」


「あら大切な方って……嬉しいわ。私もそう思っていたのだから」


「なら私たちは似た者同士なのかもしれませんね」


「きっとそうですわ」


──というやり取りを3分。


耐えきれなくなった俺は自暴自棄になって暴れ、テーブルの小皿を落としてしまった。


ミーシャさんの頭上の上に。






【四巡目】


「また私の勝ちね!三番、二番に水かけよ」


ミーシャが水まみれになった。






【五巡目】


「よし、俺だ!一番、二番の耳に息を吹き掛けだ」


ミーシャ大爆笑






【六巡目】


「まーた私が王よ。さて四番は熱々大根の刑ね!」


ミーシャ、舌やけど。






そして【七巡目】


先程から俺の負けが多くなってきている。


ええい、もうこの際最初の考えは捨ててやる。


何がなんでもマニを屈服させなければ気が済まない。


あらゆる知識を駆使してじゃんけんを──


「スペシャル王権使用。次の王様が私ね」


やろうと思ったらこれだよ畜生。


マニも口開けてぽかーんじゃないか。


「あ、あの皇女様?」


変な空気と化す中、宇佐美様が真意を確かめようとエイレに声をかけた。


とてもありがたいけど、流石に今聞いたら、これなんかされるのでは?


エイレの性格を考えるに。


子孫壊滅キックとか、人体急所五段突きとか。


もしそうなってしまう場合1ファンとして助けねば。


俺は何が起こってもいいように立ち上がり、エイレの行動を警戒する。


だが反応は思ってもみなかったものだった。


頬を膨らませ、涙目、そしてプルプル震える。


まるで駄々をこねる子どものよう。


何だこの反応と思っていたら、俺氏ふと気づいた。


エイレ、幼女やんけ……


それを思い出した時にはもう遅かった。


「わたしも、王様やりたかったのに。ワイワイしたかったのに!いっかいもかてないんだもん!!」


もう大泣きである。


……よく考えればそうなるわな。


子どものこと考えず、大人がムキになって本気でやってたらそうなるに決まってる。


これは素直に謝罪しよう。


そう思いつつマニの方見ると、同じように思っている様子。


俺らはエイレに謝罪をした。


許してもらえないかと思ったが案外すんなり。


ただ、後で何かをするとだけ言われた。


少し怖いが、非はこちらにある。


少しだけ大人な俺らはそれを受け入れてやるべきだ。


うん、そのとおりだマジで怖いけど。


「……さて、気をとりなおして。私が今回の王様になるわ!命令はただ一つ、四番になった人は一番を取り押さえなさい!!」


すっかり機嫌が戻ったエイレ、堂々と命令をおこなった。


しかし取り押さえるだけか。


てっきり俺とか何かされるのかと思ったが。


まぁ実害がないのであればいい。


何の策略もせず、何となく引くとしよう。


「って俺が四番かよ」


言ったその通り、押さえる役が俺であった。


エイレに仕組み何て出来ないだろうし、これはある意味天罰なのかもしれないな。


となったら受け入れる、それだけ。


……まぁ一番がマニじゃなかったら、俺が死ねる案件になってしまう訳なのだが。


さて誰なんだろう。


俺は周りを見るが誰も手をあげない。


あれ俺のこと嫌いなの、と心配し始めた頃、テーブルの下から震える手が弱々しくあがった。


「わ、私でございます」


床に倒れこんでいたミーシャさんだった。


そう言えば色々とツキに見放されていたな、ミーシャさん。


ことごとく対象に選ばれていたし、トラブルも絶えなかった。


そのせいかあちらこちらがもうボロボロだ。


特に顔が明らかやつれてるのがヤバイ。


「だ、大丈夫ですか?」


思わず声をかけ、手をかして起こす。


するとミーシャさんは泣き顔になり、俺の手を握って──


「はい、チェスト!」


頭を思いっきりエイレに蹴られた。


「あースッとした!」


再び床に倒れこむミーシャさん。


この幼女、やはり容赦ないな。


一体この後何が起こるのか、マニと一緒に怯えながら、鬼畜幼女の高笑いを聞くのであった……

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