7-6
【二巡目】
さてさて二回戦目。
今回の作戦はいたってシンプル、速攻で目当ての箸を選び、引き抜くだけだ。
現在特徴まで掴んでる箸は三つ。
俺の取った箸と、ミーシャが引いた三番の箸。
そしてマニが掴んだ王様の箸。
分からない箸があるのは些か不安ではあるが、そこは器量で何とかすれば良い話だ。
素早く選んで、素早く引き抜く。
ただそれを確実におこなえばいい。
「と、ここでルールを変更します!」
だが──そんな決意はエイレの声によって無駄と化した。
この場に及んでエイレがまた何かやろうとしている。
阻止するのは以下略。
素直に受け入れるしかないだろう。
俺含め、かつミーシャさん以外の全員がエイレの方を向いた。
「迅速でよろしい。では新ルールを言うけど、それほど悪いものでもないわ」
いや、絶対悪いものだろ。
そう思ったらマニが無言で頷いていた。
この行為にエイレは不思議と感じながらも、それほど気にせず言葉を続けた。
「それでそのルールだけど、じゃんけんで引く順番を決めるってだけよ。思わず勢いで引いてっちゃったけど、そうやった方が公平でしょ?」
ま、本来最初に言っとくべき常識的なルールなんだけど忘れちゃってた。
と最後に付け加えた。
ふむ、これなら確かに公平ではある。
他も王様の箸を入手しやすい状況になったからな。
だが俺としてはよろしくない。
じゃんけんは運のゲームに見えるが、そうじゃない場合がある。
それはプレイヤーが身体的に尋常じゃなく凄い場合と、心理的な知識を持つ或いは技能を持つプレイヤーがいる場合だ。
前者は動体視力云々な話であるのだが、本当かどうか確証ないので割愛。
だが後者の場合、心理的な知識や技能を持つ、そんなプレイヤーが二人いる。
読心術使えるマニ、思考の分離化ができる俺。
この瞬間じゃんけんは単なる運ゲーでなく、高度な心理戦と化した。
する前、最中、した後。
全てに油断できぬ状態である。
──さて、ではここで思考だ。
どうすれば勝てるか。
始まったばかりの俺には最善なる一手は思い浮かばない。
ならばせめてもイニシアチブはとっていきたいところ。
「じゃあ二回戦やるわよ」
エイレがにぎり拳を作り手を挙げた。
それに従い、皆も準備し始めている。
よし、このタイミングだ!
素早く切り──
「最初はグー!!」
出そうとした時、なんとマニがもう言い始めていた。
く、思考を読んで初手をとったか!
「じゃん──『けんぽん!!』ぽん!?」
──だがやはりまだまだだなぁ、マニちゃんは。
気付けばみんなグーを出し、ただひとり俺だけが勝っていた。
あーマニの驚き悔しがる顔は愉悦だなぁ!
なお今回使った初歩のテクニックは後で解説するとしよう。
ただ言えるのは、今回よく複数だったのに成功したな、の一言に限る。
基本一対一で使う戦法なのだが、周りが純粋だからかな?
そう納得しつつ、残りの順番が決まるまで眺めていた。
「よし、引く順番が決まったわ」
と、やっている間にも決まったようだ。
どうやら二番がマニ、三番エイレ、四番宇佐美様、そして五番のミーシャさん。
というかミーシャさん、グーをつき出したまま固まってるんだが大丈夫か……?
「さ、ショウ早く引きなさい!」
部下を心配しない上司が、筒をこちらに向けた。
よし、王様の箸はこれだな。
俺は迷いなく引いた。
「俺が王だ」
うむ、問題なく王が引けた。
そうなったら後は適当に決めよう。
マニに当たれば最高だが、残念なことに読心術とかは習得していない。
なのでここは当たればいいなー程度で。
「では、四番の人はこのメニュー、『ジョッキ強炭酸コーラ』をイッキ飲みしてください」
これならもし宇佐美様でもエイレでもできる罰ゲームだ。
我ながら良い考えである。
なお四番はミーシャさんでした。




