6-1
レディースアンドジェントルマン、ボーイズユアガールズ!
待ちに待ったオタ杯闘争二日目、南方クエスト大舞踏大会の開催だー!!
果たして、優勝し富と名誉授かるのはどのチームなのか!
私も楽しみでなりません!!
と言うわけで早速第一回戦を始めるぜー!!!
外に出ると、アナウンスと共に大歓声が響き渡った。
周りを見れば人、人、人。
そして中央には立派な大会用のリングがあった。
綺麗なのは勿論、大きさも野球グラウンド並みと、とても大きく凄い迫力を感じる。
こんなところで戦えるとは、戦闘狂じゃなくても嬉しいものだ。
と、入り口で喜びに浸っていると、またもやアナウンスが始まった。
どうやら俺らの紹介のようだ。
『東門より入ったのは、人と怪の混合パーティー“エターナルフォースアルカディア”だー!』
わっと上がる歓声に、各々のやり方で応える仲間。
勿論俺はそんな余裕はない。
なのでチーム名についてのツッコミもしない。
ドヤ顔してる金髪厨二吸血鬼がいるがスルーする方針でいこう。
誰もエイレに反応しない中、全員が舞台の中央に立つ。
すると今度は相手方の紹介に入った。
『対して西門から入場するのは、ガッチガチの人間パーティー、“みこ☆mikoぴーす”だぁー!』
俺らのチーム並みに痛い名前が読み上げられた後、反対側から五人のキャラが出てきた。
チーム名通り、殆どが巫女のような服装をしている。
唯一巫女じゃない・唯一の男性である左から二番目の人は、重火器での武装をしていた。
うん、名前の割りにはガチなチームのようだ。
特に中央のリーダーらしき人物、間違いなく強者だろう。
その人だけ雰囲気が殺気立っている。
これは油断ならないな。
『では両者握手!』
アナウンスの合図により、俺らは目の前にいる人と握手を交わす。
やはり動悸が酷くなったが、それは根性。
何とかのりきることが出来た。
『では早速一回戦第一試合を行います!一番目の方、前へ!!』
またアナウンスの指示で、先鋒を務めるミーシャが前に出た。
そして俺らは舞台から降り、応援席に座った。
「さて、頑張りますかー」
首をコキッと鳴らし、軽い準備運動をしながら言うミーシャ。
その彼女の目線の先には、10歳位の見た目である、巫女服幼女が魔法少女チックな杖を構えていた。
ふむ、あの手の武器は見たこと無いが、ざっと見たところ上級以上は間違いない。
やはり油断できない状況だ。
「よろしくお願いしますのです!」
気のせいか猫被りな雰囲気もあるしな。
『では始めっ!』
そう声が会場に響き渡った時、観客から一斉に歓声があがった。
待ちきれなかったと、早く戦いが見たいと伝えるかのように。
だがそんな観客の期待を他所に、2人は全く動かない。
歓声が止むのを待っているのか、相手の隙をうかがっているのか。
両者一歩も動かない。
そんな状況に観客が少しざわつき始めた時、相手が動いた。
杖を高く上げて──
「魔法なのです!」
氷牙の雨がミーシャ目掛けて襲いかかった。
詠唱なしとはいえ、上級呪文である氷牙の雨を降らす術、【アイシクルレイン】
まともに食らえば大ダメージだろう。
だが全方位に展開しているため、避けることも非常に難しい。
下に潜るか、炎で消すか。
それを予想してか、相手も何らかの追撃準備をしている。
どちらの方法できても問題無く倒してやる。
相手はそう思っていそうだ。
「甘いです。まるで餡蜜のようにね!」
──だがミーシャがした行動は、相手が考えたどれにも当てはまらない行動だった。
ただ目の前に剣を突き立てただけ。
ただそれだけだ。
相手は戦意喪失したと考え、勝利を確信した。
だがそれも直ぐ驚愕の表情に変わる。
相手の氷が全て剣に吸い寄せられたから。
──気付けば氷牙は全て剣に呑まれ、蒼白の刀身が太陽の光を受けて輝いていた。
「なっ、何が起きたのよ!!」
突然の事に、相手も素になって声を荒げる。
そんな相手とは対照的に、ミーシャは落ち着いた様子で語り始めた。
「解説してあげる。この剣は水ならば何でも操れるのよ。元々水だった物も含めてね」
にっこり笑みを向けるミーシャ。
相手は分かりやすく、絶望しているといった表情だ。
目の瞳孔開いてるし、口開いてるし。
これは勝ったな、そう俺が思っている内に、ミーシャは剣を天高くあげた。
「さーて早いけど終いにしましょうか」
すると刀身に水が集まっていき、プクプク音を立てながら長くなっていく。
そして舞台の直径位まで伸びると、ミーシャはニィと笑い
「秘技、水剛断」
敵にそれを叩きつけた。
勿論、死亡判定だ。
『おーっと、早くも勝敗が決まりました。1戦目はエターナルフォースアルカディアチームの勝利です!』
会場に響くくらいに沸き上がる歓声。
確かにあんな物を見せられたらテンション上がる。
実際俺もバリバリ上昇中だ。
『ではテキパキ行きましょう!次のプレイヤー、ステージへ!!』
「では皆さん、行きますね!」
一息つく間もなく、ミーシャと入れ替わりに宇佐美さんが上がっていった。
なお相手は、巫女服というより日本の神様みたいな格好をしている女性だ。
強そうなのだが、装備が見当たらない。
魔法系なのだろうか、ちょっと予測できない故に不安である。
『では開始!』
「最初っから本気でいくぜ!」
相手は開始早々、手をつき出して何やらブツブツと言い始めた。
やはり魔法なのか、そう思った瞬間、敵の手から狼が大群を成して宇佐美さんに襲いかかった。
成る程、敵は魔物を使役する召喚師か!
宇佐美さんも驚いた様子ではあったが、それを何とか紙一重で避ける。
しかし
「これを待ってたんだよッ!!」
「──ッ!」
避けたところには敵が召喚した鬼。
回避運動をとったばかりの宇佐美さんは、その鬼の一撃をかわす事が出来ずくらってしまった。
やはり力が強い鬼の種族、宇佐美さんは吹き飛ばされてしまった。
「よし、もうトドメといくぜ!」
先程の仲間の仇と言わんばかりに、敵は鬼を複数出して、更なる火力で攻撃に向かう。
そして気絶しているだろう宇佐美さんに攻撃を加え始めた。
攻撃の勢いからか、宇佐美さんがいた辺りに土煙が広がる。
これは負けた。
周りから見ればそうだろう。
だが俺らが考えていることはむしろ逆。
宇佐美は勝つ、と。
「──そろそろ本気を出しましょう」
土煙が晴れた時、その光景に相手は驚愕した。
何故ならば全て鬼が、宇佐美の前にある木槌の前にひれ伏していたからだ。
何故そうなったか分からず戸惑う相手。
その一瞬見せた隙を、宇佐美さんは逃さなかった。
「はっ!」
宇佐美さんは鬼を“何かの塊”で潰し、その衝撃で天高くまで飛び上がる。
そして武器を思いっきり振り上げ──
「重力衝撃!」
落下のエネルギーをも味方にしつつ、目に見えない速さで相手の頭に降り下ろした。
無論敵は容赦無く潰され、跡形もなく消え去った。
予想通り宇佐美さんの勝ちだ。
『2戦目も速攻勝利!またエターナルフォースアルカディアチームの勝ちだー!』




