第2-29話 試指
葛西水引「一体何がどうなっているんですか?」
オーナーたちが突如として起こしたテロ行為。それはaにもbにもましてや極楽にまではそのテロを行うテロリストが蔓延っていた。彼らの目的が無差別に暴れることはまだ理解できる。しかし、彼らが現在どのような戦い方をしてどんな状況と化しているのかは現場にいかない限りわからない。葛西の目の前にいる意思を持つ悪魔なら答えられるかもしれないと感じ、訪ねてみるがその悪魔はこちらを見ること一切なく生返事だけが返ってきた。
謎の悪魔「さぁ、どうでしょうね。」
この悪魔に答える意思はないらしく、悪魔はただ時計を眺めながら自身のこれからの行動に対して思案していた。
葛西水引「何で俺だけここに捕らわれているんですか?」
また違った質問をダメ元で繰り出す。この質問には悪魔は答えることを了承した。
謎の悪魔「あなた、会議を盗み聞きしていたようですね。」
葛西水引「!?」
悪魔に自身の極楽での行動がバレていることに驚きを隠せず、その驚きは悪魔にとって質問への肯定と成り果てる。悪魔は続けて話す。
謎の悪魔「そしてそれを伊敷季毎伽にアナリストを通じて伝えた。オーナーさんがあなたに触れるまでそのことに誰も気づかなかったんですよ。だからあなたを自由に動かすとこちらの情報や目的が筒抜けになる可能性がある。拘束しているのはおおかたそんなところです。」
葛西水引(どうやら自身の盗み聞きはオーナーというやつに触れるまでは分からなかったらしい。しかし、そのことがバレてしまい自分の潜入調査を行わせないために身動きを封じた。)
葛西は悪魔たちの行動と自身の状況に少し理解をもたらすが、ひとつある疑問を持った。
葛西水引「何で消さないんですか?」
自身が悪魔たちにとって危険な存在であるなら残しておく必要はおろか、消しておく必要性しか感じられない。なのになぜかこうして拘束だけで留められているこの今に葛西は疑問に思う。悪魔はその質問にあまりに簡単な答えを提示した。
謎の悪魔「わからないんですか?あなたは情報収集においては冥界1のポテンシャルを持っています。あなたを残しているのは単純なことです。【あなたをこちら側に引き入れて情報収集させるためですよ。】」
~bの会場にて~
オーナー「それで、お前はどうするんだ?」
花城如音はオーナーが知っている全ての情報を吐かせることに成功したが、その与えられた情報に対して戸惑いを隠せていなかった。オーナーが与えた情報が正しい場合、花城如音は自身のこれからの行動をどうすればいいのか悩むことを強いられるからだ。それをオーナーは興味津々に楽しそうに尋ねる。
オーナー「極楽にいくか?それともここに残るか?はたまたaの会場へ急ぐのか?」
花城如音「………」
そんなオーナーの言葉に一切耳を傾けず、熟考する花城。その数分後にある男がやってきた。
伍代翔地「花城さん、よかった。間に合った。」
わずかに息を切らしながらこの場へ突然やって来た伍代。その伍代をオーナーは見つめ彼に対して僅かな興味を抱き始めていた。
オーナー「うーーん」
メガネを目の上に動かしながら一歩一歩近づく。伍代はそれに警戒を示し、ゆっくりと後退り始める。そしてオーナーが一言。
オーナー「お前、、名前は?」
伍代翔地「は?」
その瞬間、伍代翔地は吹き飛ばされた。花城如音も熟考を中断し、慌てて伍代とオーナーの仲裁に入ろうとする。しかし、、
オーナー「手を出すな花城如音。消すつもりはまだない。俺の目にかなうやつなら、お前含めてこの場は見逃してやる。それでも手を出すならまた本気でやらせてもらうぞ。」
花城如音「くっ、、」
手を出せば二人とも消す。この場を切り抜けても追いかけ続ける。そう脅され花城は一度歩を進めるのを断念した。オーナーが伍代を気に入れば丸く収まる。その可能性を望みながら周りを見渡し、いざというときの対策とこれからの行動について考える。
オーナー「もう一度聞こう、名前は?」
伍代翔地「ごだい、しょうじ…」
伍代は自分次第でこの場が取り返しのつかない事態に発展する可能性のプレッシャーを悟り、恐怖と緊張を孕んで答える。
オーナー「そうか。伍代、なぜここへ来た?」
伍代翔地「あなたから花城さんを逃がすために来ました。」
オーナー「ほぅ、花城が負けると思ったのか?」
伍代翔地「五分の戦いになると思ってましたが、あなたたちはちと特殊な方々なので。」
その言葉にオーナーは認めるように殺気を減らし始める。少し柔らかくなった口調で再度質問した。
オーナー「特殊っていうのはどういうことだ?」
伍代翔地「あなたたちはまだ死んでいない。現界の中で昏睡状態に陥り、居場所を失った幽霊のようなもの。だから冥界の人間である私たちはあなたたちに手出しできない。」
オーナー「何を根拠にいう?」
伍代翔地「知人がいる。これ以上説明が?」
言い方を強めて尋ね返す。その思いきった行動に花城はわずかに焦るがオーナーは満足し、笑って伍代のもとをはなれた。
オーナー「そうか、ずいぶんと過酷な境遇だな。」
伍代は立ち上がり、少し困惑した表情を見せながらオーナーに尋ねる。
伍代翔地「もういいですか?理解していただけたなら私たちは本当に時間がないんです。」
オーナー「30分だ。」
オーナーがいった30分という言葉の意味に伍代も花城も薄々気づいていたが、黙ってオーナーの続く言葉に耳を集中させていた。
オーナー「30分後に俺はまたお前らの襲撃を再開させる。情報は全部話したからな。ここからは何があってもお前らを狩り続ける。」
30分という時間しか与えられない事実に伍代も花城も焦りを覚えながら渋々承諾した。




