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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第一章 ただの殺し会い
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第67話 過去

この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。

また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。

中島芽依「いよいよ、この幸奪戦争も大詰めとなってきましたね。」

神楽士郎「福山も脱落し、残る参加者は6人。しかし、そのうち二人は身動きひとつとれずただ消滅を待つしかない身。榎宮愷、桐生亜衣、我殺狂助、才原清一、この四人がどう動くかだな。」

中島芽依「私は才原清一が勝つと思うなー。我殺狂助はすごく強いけど、腹部の傷が治らないんじゃ、どうしても不利になるし。」

神楽士郎「榎宮と桐生は眼中にないのか?」

中島芽依「そりゃそうですよ。榎宮愷はここまで漁夫の利と運だけで残ってるし、桐生亜衣はクラインドがまだ使えない。坂縞樹みたいに土壇場で使えたら別ですけど。」

神楽士郎「何にせよ、残り数日の監視だ。最後まで楽しませてもらおう。」

神楽士郎(案外、ポイズンでやられている二人が勝つのかもな。)

普通ではもうとっくみ脱落しているほどの致死毒の巡りにここまで耐え、今だなお、消滅を免れている状態にある二人をモニター越しに見つめながら、不敵に笑う。



才原清一「そういえば名前を聞いてなかったな。」

桐生亜衣と交戦し、数時間。互いの槍と双剣を交え、一歩も引かず、知略と体力を消耗し続ける膠着状態にあった。

桐生亜衣「桐生亜衣っていうの。君は、さいはらせいいち?っていうんだよね。」

才原清一「お前にもう一度聞きたい。榎宮愷を守る価値がどこにある?」

桐生亜衣「聞きたいなら、こっちの質問にも答えてもらおうかな。君と愷くんの関係性を。」

才原清一「……」

たっぷり数秒にらみあった後、才原は諦めたかのようなため息をつき、話し始めた。

才原清一「いいだろう。話してやるよ。もとより俺は榎宮愷と直接関わりはない。」

桐生亜衣「現界でも冥界でも?」

才原清一「あぁ。この幸奪戦争で初めて出逢った。それでも俺が榎宮愷に恨みを持っているのは俺の兄が関係する。才原祐一、俺の自慢の兄だ。」



ごくごく一般の家庭だった。父と母、兄と自分。四人家族で学校に普通に通い、勉強やゲームを程ほどにこなし、反抗期や思春期を迎えつつ、平凡に育った。ただ二つ上の兄は違った。兄は平凡な自分とは別の世界を生きていた。学問はおろか、スポーツも万能。特に剣道の腕は際立っていた。全国大会で優勝した経験もある。性格もおごらず、俺たち家族に対して本当に優しかった。平凡な自分に勉強を教えてくれ、行きたい大学にも入れた。アドバイスをもらって将来のビジョンもある程度定まっていた。俺の人生において恩師とも呼べる。最高の兄だ。そしてそんな人が22で死んだ。正確にいえば殺された。大学の同級生にやけに周到な計画を練られ大人数で襲いかかってきたらしい。確か8人はいたはず。

何で殺されたかは俺も分からない。何の恨みがあったのだろう?いや、ないだろうな。恐らく動機は才原祐一という完璧な人間に対する嫉妬だろう。なんともくだらない。その8人こそ、、【死ぬべきだ】。


桐生亜衣「それで、その8人を殺して地獄行き?その8人の中に愷くんがいたってこと?」

才原清一「8人を殺して地獄行きになったところまでは合っている。だが、さっきも言った通り、俺は榎宮愷と直接な関わりはない。榎宮愷という男の存在を知ったのは幸奪戦争に参加する前日だ。」



その日も、現界の労働基準法をフル無視した環境下でいつも通り働いていた。地獄に来てから数年経っても兄には会えていない。極楽て幸せに過ごしているという安心感とまた会いたい孤独感の両方が募っていた。そんなときにある男に出会った。名は葛城康介という。


葛城康介「君が才原清一か。」

仕事終わりに帰宅しようとしたところを待ち伏せされていた。見たことのない服装をしてる。全身黒いスーツで覆われたサラリーマンに近しい存在がいた。獄人が着用するのは作業服だから、かなり珍しい。その奇妙さに気をとられつつも当たり障りのない言葉を並べてみる。

才原清一「誰だあんた?」

葛城康介「私が誰であるかはいえない。ただ君に協力してほしいことがあるんだ。」

才原清一「は?協力?」

葛城康介「君のお兄さんが行方不明なんだ。」

言葉が出なかった。頭も考えることを放棄していた。時間が止まったかのように膠着し、言葉を絞り出すのにも数秒かかった。

才原清一「…は?」

葛城康介「あいつとはよく行動をともにするのだが、しばらく見ていない。何か知らないか?」

才原清一「いや、知ってるもなにも俺、地獄来てから兄さんにあったことねえよ。」

葛城康介「となると、やはり榎宮愷か。」

才原清一「誰だよそいつ。」

葛城康介「才原祐一はその榎宮愷という男と話した後、姿をくらませた。行方を知っているとしたらやつしかいない。」

才原清一(どういうことだ?何で地獄にいるやつが極楽にいる兄の話をしている。行方不明というのも訳がわからん。もっというなら、その榎宮という男は何者なんだ?)

才原清一「あんたは俺に何を求めている?自分のことは話さないが、俺の兄のことはやけに詳しい。お前に対する不信感が増えていくばかりなんだが。」

葛城康介「そうだな。私を信用する必要はない。私の頼みは一つ、幸奪戦争に参加してもらいたい。」

そういって、スーツを来た男は一枚の招待状のようなものを手渡してきた。

才原清一「幸奪戦争?」

葛城康介「簡単にいうとデスゲームだ。これに勝てば極楽にいくことができる。そして、どうやらこのデスゲームに榎宮愷も参加するようだ。君には榎宮愷に会って彼を消してほしい。私も参加するが、可能なら君がやってほしい。」

才原清一「何であんたがやらねえんだよ。」

葛城康介「私は行動が制限される可能性があり、下手に動けない。君が榎宮愷を消してくれれば、才原祐一の件は私がどうにかしよう。」

才原清一「……」

才原清一にとって葛城の提案はほぼ脅しだった。幸奪戦争に参加しなければ、お前の兄はどうなるか分からない。かといって参加すれば、自分の身がどうなるか分からない。兄のために自分を犠牲にできるかどうか。それを自分自身に問いただしたのち、口を開いた。

才原清一「やってやるよ。その幸奪戦争。」

葛城康介「よくいった。じゃあ、この時計をつけてくれ。」

才原清一「これは?」

葛城康介「明日、ホテルで参加者の召集がある。そのときにまた別の腕時計が配られるが、この時計はそれとは別だ。その時計は幸奪戦争を勝ち残る上でとても有利になる。」

葛城に渡された時計には武召喚数値が100も入っていた。



桐生亜衣「それってただ葛城に振り回されているだけじゃん。」

才原清一「少なくとも真相を確かめる必要はある。実際、初めて榎宮と会ったときに兄ちゃんのことは知っていた。」

桐生亜衣「お兄さんのために行動するのはいいと思う。でもどうして葛城を疑わないの?」

才原清一「葛城はこの戦争に参加しているからだ。少なくとも葛城は俺のことを陥れようとしているわけではない。あいつにもらった時計で武召喚しても何も異常はなかった。」

桐生亜衣「何か、もっと自分で考えた方がいいと思うよ?」

才原清一「放っとけ。俺の人生は兄ちゃんがいて初めて完璧になる。フォースサモン!」

戦い始めて数時間。現在、才原清一は両手に双剣を握り、二つほど数値を割り当てていた。そこからさらに四つ分の数値を重ねがけする。一方、桐生亜衣は槍の生成に一つ、自身の身体強化に数値を三つ消費した。これにより、残りの武召喚数値は、桐生亜衣は27。

才原清一は葛城にもらった数値を合わせ、60。この六日間で才原は多くの敵と相対し、数値を消費してきたが、それでもまだ十分に残っている。

才原清一「一応聞くだけ聞いてみるか。降伏するなら見逃してやる。」

桐生亜衣「いいや、しない。例え私が負けても、絶対に愷くんのもとへは行かせない。」

あまりの即答に少し拍子抜けしつつも、その回答に目を黒くさせる。そうして、才原は無言で桐生のもとへ急接近する。自身の双剣をばつ印でも描くかのような軌道を描き、桐生亜衣を切り裂こうとする。その双剣を巨大な槍で受け止める。しかし、双剣は槍に切り込みを入れていた。その切り込みの深さは徐々に深くなり、槍は真っ二つの道を歩み始める。その事象に焦りが生まれた桐生は槍から手を放す。双剣は槍を分断させ再び自由の身となる。もう一度桐生を切り裂こうと動くもその双剣をそれぞれ桐生の手が握られることで動きが止まる。桐生の手からは血がこぼれその血が才原の剣に付着するが彼女は顔色一つ変えない。

才原清一「真相をきくことさえ、お前は許さないのか…?やつが俺の兄を手にかけていたとしたら、それはやつの責任だ。当然の報いだ。」

桐生亜衣「なら君は8人を殺した報いをちゃんと受けたのかな?」

才原清一「あの8人は死ぬべきだった。」

桐生亜衣「どうかな。その8人にはそれぞれ家族がいた。友人がいた。恋人がいた。大事な人がいた。私たちが傷つけてきたもの、本気で嫌ってきたものは、誰かが本気で好きだったものなんだよ。人を傷つけてはいけない理由はそれ。誰かの好きを、希望を奪う権利はどこにもないからだよ。」

才原清一「…黙れ!!!」

その叫びと同時に桐生は才原の双剣を握り潰した。鉄の欠片がポロポロと床にこぼれ、最終的に粒子となり消滅する。それに気をとられ状況の整理が追い付かなかった才原をよそに桐生は自身の右手を握り、そのこめかみを才原のほほに激突させる。その衝撃で才原は吹っ飛ばされ、さらに脳の整理が追い付かない顔をする。

桐生亜衣「私は負けるわけにはいかない。」



監視ルームでのこと

幸奪戦争の参加者をモニター越しに見張る神楽士郎と中嶋芽依。そしてその部屋にもう一人の男が入室する。

中嶋芽依「おお、お帰りなさい。終わったんですか?脱落者決定戦。」

入室してきた一人の男にそう問いかける。その男はゲーム開始から四日以内に倒され、失格となったものたちの最後の闘いを監督していた。

葛城康介「あぁ、終わったさ。残ったのはたった数人だがな。」

神楽士郎「こっちももうすぐ終わるぞ。」

モニターを見つめる。そのモニターには才原清一と桐生亜衣が戦っていた。

神楽士郎「葛城。今回は見逃すが、今後は勝手な行動は控えるように。幸奪戦争に潜入するのも一人だけだったはずだ。君は【監視者】だ。参加者のように身勝手に行動されては困る。

葛城康介「はいはい、気をつけますよと。」

目も合わせず、軽くあしらうかのように放ったその言葉の奥で彼は一つ考え事をしていた。

葛城康介(さてとどうしたものが。才原祐一の居場所は知っているが、これは才原清一に伝えるべきか否か。)

才原祐一。彼は一体何なのか、何が目的なのか、何者なのか、それは本人にしか分からない。



ゲーム開始から六日と二十時間

残り参加者6人

最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。

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