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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第一章 ただの殺し会い
66/67

第66話 失望

この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。

また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。

福山と我殺の攻防はそれから数時間にも渡って続いた。福山は莫大な数値を利用した武召喚を行う。我殺は彼の投影した武器の攻撃、身体能力を活かした戦法を自身の記憶を犠牲に身体能力を引き上げ、回避・防御に徹底する。一定時間経てば武召喚て投影した武器や強化の効力は失う。この長丁場で福山の攻撃は我殺に当たることはなく、ただ武召喚数値が減る一方だった。

福山幸多(くそ!あれから何時間経った!?少なくとも二時間は続いているぞ。おかげで私の数値は残り80を切った。)

我殺狂助「必死だな。あのときの威勢が嘘みたいに消えているぞ。」

福山幸多「黙れ!!そういうお前だって残りの数値は20以下。クラインドはもう打てない。記憶だってそう簡単に犠牲にできるものではない。危機的状況なのは同じだろ。」

我殺狂助「状況が同じ?自分が劣勢であることすら自覚できねえのか?数分前にお前に施されていた武召喚はソイーブルを除いて全部時間切れになった。対して俺は今も身体強化に3つ、この両手の武器に4つ分の数値が残っている。アンティワームの時間経過による弱体化、ソイーブルによる数値の激しい消耗、どっちが優勢か一目瞭然だろ。」

福山幸多「黙れぇぇ!テンスサモン!!」

我殺のもとへ走り寄りながら武召喚を行う。武召喚数値を10消費し、福山の右手に剣が投影される。怒りに身を任せ、その右手に握られている剣で正面から我殺を切り裂こうとする。だが、その剣は我殺の持つ二つの巨剣で軽々受け止められる。

我殺狂助「ほら見ろ。もうその程度の数値じゃ俺の武器は壊れなくなった。」

福山幸多「くっ、、」

福山幸多(なぜだ、明らかにおかしい。彼に私の攻撃をさばくことができる技量があるのは認めよう。ただそれは、彼の体が万全な状態である場合のみだ。実際、昨日彼と連れの女と戦ったとき、彼は腹部の深い傷の影響で私を仕留め損ねた。その傷はまだ残っているはず。なぜその体で私の攻撃をかわし続けられた?)

我殺狂助「傷のことで何かカラクリがあると思ってるなら無駄な思考だ。」

福山の考えていることをドンピシャで言い当てられ、少し驚く福山をよそに我殺は言葉を続ける。

我殺狂助「武召喚とか種性核を利用しているわけでもねえ。ただのやせ我慢だ。」

福山幸多「…は?」

あまりの返答に言葉を失う。気を取られている内に我殺は自身の持つ両剣で福山の剣を弾き飛ばし、丸腰になった状態を蹴り飛ばす。その蹴りをすんでのところで腕で防ぐことができ、数メートルほど後退りするだけで済む。

我殺狂助「俺の女がさ、必死で俺を守ろうとして、致命傷まで受けて、それでもまた俺のもとに帰ってきてくれたんだよ。話すことさえ、歩くことさえ、辛い状態なのに。それに比べたらこの程度の傷、悶えるに値しない。」

福山幸多「惚気が…」

我殺狂助「今回限りだ、許せ。」

福山幸多「尚も腹立たしい!なぜお前はこんなところでも幸せを掴み取れる!?」

我殺狂助「掴み取れはしねえよ。ただ近くにあることを自覚できただけだ。」

福山幸多「自覚だと…?仲間の存在が幸せだとでもいうのか!?わからない!!なぜ、そんなものが…!!」

我殺狂助「てめぇには一生わかんねえよ。人の幸せ奪うやつにはな!」

福山幸多「…ァァァァァア!!!!【フィフティーデバイド】!!」

怒りにも悲しみにも困惑とも読み取れる、いやそれらの感情が全て混ざったかのような表情と声を浮かべ最後の武召喚を行う。60もの数値を武器の生成、強化、身体能力の向上に割り当てる。武器の生成に数値を2つ。両手にそれぞれ剣が投影される。その二つの剣の強化にそれぞれ15の数値を割り当て、残りは身体強化に入れる。

福山幸多「消えろ!!」

何もかもが吹っ切れた状態にある彼は、ただ我殺狂助だけに狙いを定め、その対象を消すこと以外のことは何も考えていない。我殺狂助のもとに急接近し、すぐさま両手に持つ剣を我殺に向かって斬りつけようとする。それを巨剣で防いだのも束の間。すぐさま動きをかえ、腹部、足、腕、あらゆる体の部位を防がれては狙いを変え、避けられては剣から素手や足蹴の攻撃に切り替える。さっきまでの数値に頼りきった威力の高い攻撃とは違い、武器や身体能力のスピードで反撃の隙を失わせる。徐々に消耗させてゆく戦いかたに急変し、我殺はそれに適応するのにやや時間を要した。それによって、我殺は福山に攻撃できる状態になれなかった。福山が攻め続け、我殺はただ福山の動きを読んで防御・回避するしかない。次第に少しずつ我殺は押されていった。このままではまずいと思った我殺は自身の持つ両剣を福山に向けて斬ろうとする。その動きに気づいた福山はすぐさま我殺から距離を取った。

我殺狂助「中々の戦闘センスだな。大量の数値に傲らなかったらもっといい勝負できたぞ?」

福山幸多「黙れ!それ以上口を開くな!」

鬼の形相で睨み付け、焦りと怒りを孕んだ声色で叫ぶ福山の姿はどこか異質だった。

我殺狂助「そうだな、そろそろ喋るのはやめにするよ。そして、【俺が相手をするのもやめだ。】」

福山幸多「…は?」

我殺狂助「今だ、榎宮愷。」

福山幸多「!?」

我殺の言葉にようやく思い出す。もう一人の参加者の存在を。あわてて振り返った先には一人の男がこちらに向かって剣を持ち、近づいている。その剣はこちらの皮膚を切り裂こうとしていたが、それをすんでのところで自身の持つ剣で防ぐことに成功する。

福山幸多「お前、、なぜ七時間以上も息を潜めていた?」

榎宮愷「当初の計画では、その七時間以上の時間稼ぎは俺の役目だった。その役目を俺が担う場合、我殺は数値が減るまでは何もしない、ある程度減ったときは必ず勝たせてやると言った。その役割が入れ替わっただけだ。」

我殺狂助「榎宮、次はお前が失う番だ。」

榎宮愷「…あぁ、フイフスサモン。」

榎宮の持つ武器にさらに五つ分の数値が込められ強化される。強化されたその剣を受け止め続けるのは苦難となり、福山の剣に亀裂が生じる。

福山幸多「くっ、うぅ!!」

福山はかろうじてその亀裂の入った剣を利用して榎宮の剣を弾き飛ばすことに成功する。弾き飛ばしたときには福山の剣は二本とも剣としての形と用途を失う。

榎宮愷「セカンド!!」

丸腰になった福山を狙い、またも武召喚を行う。彼の両手に剣が投影され、当然その剣の行く先は福山幸多ただ一人である。

福山幸多「くっ、、フォースデバイド!」

それに対し福山は四つの武召喚数値を自身の身体強化に充てる。正確には腕や手に宛てていた。榎宮の持つ両手の剣をそれぞれ掴む。

剣の動きは止まる。止まったことを確認したのち、福山はその剣を握り潰そうとする。しかし、

榎宮愷「フォースデバイド。」

福山幸多「!?」

福山が握っている剣の重さ、力がどんどん増していく。止まっていた剣の動きは段々再始動され、その剣の圧力、押力は増す。それを握る手はその力に耐えきれず、いつしか自身の手は握ることができない状態と化していた。五本指は見えなくなり、手首から先の姿が床に転がっていた。榎宮の持つ両剣には血が滴っていた。

福山幸多「う、ぁぁぁ!!!」

手を失った痛みに悶えると同時に福山のソイーブルが解除される。福山は膝から崩れ落ち、ただ下を眺めていることしかできなかった。

我殺狂助「ソイーブルに充てる数値もいよいよ足りなくなったか。」

榎宮愷「これで終わりだ福山幸多。」

武器を握る手を失い、数値も失い、力を補う手段も失った福山にもう勝ち目はなかった。

福山幸多「わからな、い。なぜ、なぜだ。この世界のどこに、、正しい幸せがある?」

意気消沈したその声は独り言のようにも質問しているようにも聞こえた。

榎宮愷「俺もわかんないよ。俺は幸せを見つけられたけど、それを求めていいのか今でもわからない。」

福山幸多「なら、なぜ戦う?」

榎宮愷「幸せになりたいのに理由はいらないだろ。」

福山幸多「…」

榎宮愷「自分がどんなに最低なことをしていたとしても、どんなに悪人だったとしても、幸せになることを諦められないんだよ。他のやつらもきっとそうだ。地獄に来て初めて正しくあろうとするなら、少しでも幸せになる価値を取り戻したいんだと思う。」

福山幸多「私は、最初から幸せになれなかったのか…?」

榎宮愷「……」

我殺狂助「ファースト」

福山幸多「!?」

右手に剣を投影した瞬間、福山の首をかっ切る。

榎宮愷「我殺!!」

我殺狂助「俺の仲間手にかけた時点で幸せになんかなれねえよ。」

榎宮愷「……」

福山幸多(…消えるのか、ついに。)

薄れゆく意識の中、消滅へ近づいていた。

福山幸多(何が私の幸せだったんだろうな…?)

自身の幸福について考えていると、過去のある記憶に結び付いた。


福山幸多「ねぇ、母さん。僕の名前って何で【こうた】っていうの?」

福山優花「んー?幸多にはねー、幸せがいーっぱい巡ってきますようにっていう願いを込めてつけたんだよ。」

福山幸多「ねがい?」

福山優花「そう!願い。幸多が幸せでいてくれることが私たちの幸せだから!!」


福山幸多「…ふ、ハハ」

福山幸多(私は、何を間違えたのか。)


脱落



榎宮愷「終わったな。」

我殺狂助「……」

榎宮愷「我殺、教えてくれ。俺とお前の関係を。」

それを口にした途端、榎宮の目の前を巨剣が横切った。ギリギリのところで剣先をかわし、思わず腰を抜かす。

我殺狂助「あぁ、教えてやるよ。だがそれは闘いながらだ。」

榎宮愷「…わかった。」

自分のしたこと、それの重大さを改めて思いだし戦いに応じる。自分に向き合うため、我殺狂助に向き合うため、罪と向き合うため。

覚悟を決めて立ち上がり、恐怖を心の中で留め殺す。殺意と怒りの目を向けられた自分の目もまた不安と疑心の目を開くことしかできなかった。

榎宮愷「…ファースト」



ゲーム開始から六日と十五時間

残り参加者6人

最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。

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