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ハッピーエンドを求めて  作者: 蓮翔
第一章 ただの殺し会い
60/73

第60話 知らぬが仏

この作品は全三章で構成するつもりです。話の更新される日が不安定なことがあります。一応週一以上の頻度で更新するつもりですが、できなかった場合はどうかご容赦ください。

また、主人公を決めつけてこの作品を読み進めると、その主人公と決めつけたキャラに対して落胆の感情を抱く可能性があるので、この作品に主人公はいないと思いながら読むことをおすすめします。

我殺狂助「待たせたな。もういいぞ。」

飯島聡が消滅して10分ほど経ち、遠くに身を潜ませていた榎宮愷を呼び戻していた。

榎宮愷「そうか、、」

飯島の姿がないことには触れず、、本題に入る。

我殺狂助「それで何だ?お願いって。」

榎宮愷「…教えてくれないか。俺とあんたは現界でどんな関係にあったのか、俺がお前にどんなことをしてしまったのか。」

我殺狂助「……なぜそれを知ろうと思った?」

榎宮愷「俺は取り返しのつかないことをした。してはいけない、したくないと思っているはずなのに、自分のことを仲間として認めてくれた人を二人も消した。でも、そんな、クソみたいな俺でも、桐生と一緒に極楽に行きたいって思ってしまうんだ。だから、俺の罪は全部背負って、その上で極楽に行く!」

我殺狂助「……」

榎宮愷「お前の立場から考えれば、このお願いはとても腹立たしいものだと思う。自分の人生を狂わせ、仲間も消した人間が、その罪を知らないっていって教えてくれとぬかすんだから。」

我殺狂助「……」

榎宮愷「だが、それを承知で頼む。俺でできることなら何でもする。」

深々と頭を下げ、我殺狂助が何かを話すまでその姿勢から動こうとしない。だが、我殺狂助は榎宮愷の話を黙って聞くばかりであった。

我殺狂助「……」

続く沈黙。何かを考えている、迷っている、そんな様子だった。その沈黙からしばらく経ち、我殺狂助がようやく反応を示した。

我殺狂助「まず、桐生はどうした?」

榎宮愷「あいつはまだ学校にいる。俺をあんたに会わせるために、一人で残る選択をしてくれたんだ。」

我殺狂助(今のこいつの言葉に嘘があるようには思えない。二人を消したのも本当だが、その罪を背負いたいと思うのも本当だろう。だがら本当にわからない。こいつの人間性を、こいつの考えていることを。良心があって、なぜ良識のない行動をしている?良心の方に罠があるのか、それとも…)

考えたところで答えが出るのか、思考している本人でさえわからないまま、熟考する。そして、一つの結論には落ち着いた。

我殺狂助「お前と俺の現界での関係性を話すのはお前の行動次第で決めることにした。」

榎宮愷「というと?」

我殺狂助「お前には、福山を倒すのに利用させてもらう。」




佐藤要「なるほど。この戦争の参加者の中に二人監視者がいた。そして、そのうちの一人が書いた頼み事。」

原田九老は佐藤要にこれまでに自分が掴んだ情報、疑問に思ったこと、自身の持つすべての情報を吐いた。

原田九老「一つはこの幸奪戦争には勝利せず、【ある人】に武召喚についての情報を伝えること。もう一つはこれを書いた監視者とは別の監視者を見つけ倒すこと。」

佐藤要「そしてそれとは関係なしに、時計を二つ着用している参加者がいる…頭がパンクしそうだ。」

原田九老がリアータホテルで見つけた監視者の手記の内容。時計を二つ着用しているものの存在。ただでさえ、この幸奪戦争について辟易しているのに、新たな謎も生まれて彼らの脳は憔悴するばかりであった。

佐藤要(そういえば、桂っていう男も武召喚について何か言っていたよな。あれと何か関係が?)

木崎印「なぁ、そのことについて、俺が力になれるかもしれない。」

佐藤要「!?」

原田九老「木崎…」

突如として、洞窟の奥へと近づき姿を現す。ここに来る参加者などいないと確信していたため、佐藤要の目がこれでもかとかっ開く。

佐藤要「ど、どこから聞いてたんだヨ。」

動揺しきった声でそう訪ねる。

木崎印「お前が洞窟を出入りする姿を見て、こっそりあとをつけさせてもらった。それで原田さん。その情報についてなんですけど…」

原田九老「その前に一つ聞いてもいいか?お前はそんなことを進んでやるような人間だったか?」

遮るように問いを投げ掛ける。木崎の言動に少し違和感を覚えたからだ。原田九老と木崎印は当初、同じ福山グループに所属していた。木崎も原田も福山幸多によってスカウトされ、参加者狩りをしていたメンバーである。そのため、この二人には面識があり、僅かながらお互いの性格や目的も感じ取られる。原田九老にとって、木崎印という人物は地獄から抜け出すという目的のために、状況を分析し、上手く人を利用し、自分が残ることを最優先に考えているような人物だと思っていた。実際、その考えは合っている。木崎印はそういう人間だった。そんな男が極楽に行かないでほしいといっているどこの馬の骨かもわからない監視者が記したものについて何かをしようとしている。簡単に言えば、木崎印らしくない言動だったのだ。

木崎印「まぁ、確かにそうだな。俺はこんなことを積極的にやろうとする人間じゃない。俺はもう極楽に興味はないしな。」

佐藤要「なら、なんで?」

木崎印「仲間が消えたからだ。師匠と呼べるような人も、生意気な同期みたいなやつも、いつも誰に対して敬語で話す後輩みたいなやつも、俺を残して全員消えた。残った俺は何もできなかった。。。もう、わからなくなったよ。何がしたくてこの戦争に参加したのか。極楽に行きたいという願いも仲間と同時に消えた。わからないなりに考えて一つの結論に辿り着いた。【俺をこんな不愉快な気持ちにさせたやつらを潰すって。】」

その目は憎悪のような、悲嘆のような、もしくは二つが混ざっているような、そんなまともじゃない目をしていた。

原田九老「わかった。それで、力になれるというのは?」

木崎印「俺の種性核でそのノートの内容を調べることができる。」

佐藤要「えっとーー、どういうこと?」

目を丸くして尋ねるが、それを無視したかのように話を進める。

木崎印「俺の種性核はアナリストだ。」

原田九老「なるほど、それでか。」

佐藤要「え、嘘でしょ?それで理解したの?」

一人だけ難解の渦に取り残され、焦る佐藤要をよそにまた話を進めていく。

原田九老「アナリストの種性を使うっていうことか。だが、それをどう使う?」

木崎印「アナリストの種性は相手に触れ、情報を分析、解析すること。触れる時間が長ければ長いほどその情報の質と量は増す。そして、その対象は一応無機物でも可能なんだ。」

佐藤要「一応ってどういうこと?」

木崎印「手紙や暗号などの意図が込められた、誰かに伝えることを前提としたものの解析は無機物でもできるってことだ。」

佐藤要「つまり、そのノートにかかれている言葉がどういうことなのか、ある人は誰なのか、お前なら分かるってことか。」

木崎印「まぁ、無機物な分、触れる時間は長くなるが。」

原田九老(なるほど、だからこのノートの著者はある人や監視者の名前を例示しなかったのか。)

原田九老「なら、調べてみてくれ。」

そうして、一冊のノートを木崎印に手渡す。

木崎印「あぁ、任せろ。」

そうして、ノートを手に取り、目を瞑る。木崎印の脳内に少しずつこのノートの内容の詳細が送り込まれていく。ある人とは誰か、参加者に紛れている監視者はどんな名前、特徴をしているか、このノートの執筆者は何を思ってかいたのか、触れる時間が重なる度にその情報は明瞭化されていく。木崎印は自身の脳内に流れ出てくる情報に気になるものが紛れ込んでいた。



???「伍代、、君と会うことができるのはこれで最後かもしれない。」

伍代翔地「どうして?」

???「僕は七回目の幸奪戦争に参加することになった。」

伍代翔地「そんな、、どうして?」

???「管理者からの命令だからね。逆らうわけにはいかない。」

伍代翔地「管理者…あの榎宮優か。」

???「君は必ず極楽に行くんだ。そして…【この戦争を終わらせよう。】」


木崎印「…何だ今の。。。」

原田九老「何か分かったのか?」

木崎印「あ、あぁ。大体のことは読み取れた。まずは監視者の名前からだな。」

この幸奪戦争に紛れ込んでいる監視者を見つけ出し、捕らえらればさらに有益な情報が見つかるかもしれない。それに、監視者は参加者に対して何をするか分からない。運営側ならイカサマじみた行動もできるだろう。何にし、監視者を放っておくことはできない。三人ともそのことを理解した上で、監視者のことから片付けることに暗黙の合意をする。

木崎印「やつの名前は…」

桂唯賀「ごちゃごちゃうるせえよ。」

佐藤・原田・木崎「!?」

また洞窟の奥へ一人の男が進入する。そしてその男は三人とも見覚えがあった。

木崎印「桂、なのか?」

ただ一人、今の桂唯賀を知らない木崎だけはその変わりように動揺する。残りの二人は危機感と焦燥感に僅かな怯えを感じていた。

桂唯賀「へー、この幸奪戦争に監視者が紛れ込んでいるんですねー。それで、そいつから何か聞き出せると?」

原田九老「…何のようだ?」

危機感による怯えを隠し、あくまで平静を保ちながら問いをぶつける。

桂唯賀「監視者に何かを聞こうとしても無駄だと思いますよ。」

桂唯賀「僕だったら大事なことを喋る可能性がある人間はこんなとこに置かないので。」

原田九老「人の揚げ足を取りにきたのか?」

桂唯賀「違いますよ。この戦争に何かを期待しても意味ないって言いたいんです。そして、、僕はこの意味のない戦争をさっさと終わらせたいんです。」

桂唯賀「セカンド」

そうして、戦闘の合図は成された。



ゲーム開始から六日と四時間

残り参加者10人

最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。初の投稿作品ですので、まだ粗削りで不出来なところもあるでしょうが温かい目でこれからこの作品を見守って頂ければ幸いです。作品を読む際に【ハッピーエンドとはどういうものなのか】このことを念頭に置きながら読んで頂ければ、より一層深くまでこの作品を楽しめると思います。これからもこの作品を皆さまに楽しんでいただけるよう、精進して参ります。

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