人は見かけによるときもある6
リリの弟が屋敷を訪れたのは、ローゼが帰ってきてから3日後の夕方のことだった。
晩ご飯の時間に食堂に行くと、マッチョな男性と10才くらいの男の子がいた。
「マリア、彼はアマリリス。あなたの叔父です。そしてこちらの少年はジーニア。アリスの息子です。」
「はじめまして、お嬢さん。お会いできたこと、嬉しく思う。」
「はじめまして。」
リリの紹介と共に叔父は膝を着いて私に挨拶をしてくれた。
少年は少し恥ずかしそうに叔父の影に隠れながらも、挨拶をくれる。
「こちらは娘のマリアです。」
「はじめまして。私も会えて嬉しいです。」
私もリリに紹介してもらって、挨拶をする。
「久しぶりだね、アリス。ジーニー。プーケット家へようこそ。」
「ふっ、この屋敷もすっかり我が物顔か。さすが恵まれた者は違うな、ローゼ!」
「僕のことはどうでもいいけど、マリアの前で怖い顔しないでくれる?ただでさえ君、強面なんだから。」
「そ、それは失礼した。怖かったか?」
「だ、大丈夫です。」
手紙で聞いたよりずっとローゼと叔父には確執がありそうだ。
私と手を繋いでいたローゼは私を庇うように自分の方へ引き寄せる。
叔父はローゼの言葉に怯んだように眉を下げた。
彼は彫りの深い美形で、凄むとなかなか迫力があった。
しかし、矛先はローゼだったので別に怖くない。
そんなやり取りの中、少年はやはり気恥ずかしそうに叔父の後ろに隠れている。
その顔もまた整っていて、この世界は本当に美形しかいないのかもしれないと思った。
「まあまあ、2人とも。とりあえず夕食にしましょう。可愛い子供たちがお腹を空かせては可哀想ですからね。」
リリは2人の険悪な雰囲気を慣れたように崩した。
彼らは同時に我が子を振り返ると、強張った表情を緩ませる。
「兄さんの言うとおりだ。待たせて悪かったな。」
「ごめんね、マリア。さあ、ここに座って?」
この様子に私と少年は思わず顔を見合わせた。
お互い「ああ、君の父親も親バカなんだ」という顔をしていた。




