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第20話 俺と空賊の一騎打ち!

アビス姫は、空賊のリーダーから逃げて、無線室まで逃げて来た。

そして、扉に鍵をかけて時間を稼ぐ。

無線を使い、俺に助けを求めて来た。


「すいません、スカイはいますか?

緊急事態が発生しました!

どうか、アビスを助けてください!」


「アビス姫か、どうした?

なるべく分かりやすく話してくれ!」


「時間がないんです!

人工太陽の管理システム装置に、時限爆弾が取り付けられました。

解除するには、専用の防護服を着用して、時限爆弾を処理しなければいけません。


私がお願いできるのは、それだけです。

後は、自分でなんとかしてみます。

スカイ、それだけは解除して……」


アビス姫のいる無線の向こうから、突然激しく扉を叩く音が聞こえて来た。

普通に扉を叩くような音ではなく、扉を破ろうとするほどの激しさだ。

アビス姫は冷静を装っているが、かなり危険な状況らしい。


「おらあ、さっさと開けろ!

よし、銃で蝶番を打ち抜くか!」


2発の銃声がなったかと思うと、扉が倒れる音が響いた。

そして、怪しい男の声が鮮明に無線を通して伝わってくる。

男は、息遣いが荒く、相当緊迫しているようだ。


「ふぐっ!」


アビス姫の話す声が途中で中断された。

どうやら口をムリヤリ塞がれたらしい。

男の嫌らしい声が小声で聞こえて来た。


「ふん、叫び声をあげないとは健気だね。

お前が叫べば、お前の恋人は俺達を追って来る。

そうなれば、爆弾を処理する奴がいなくなるからな。


この星を守って、自分は犠牲になるというわけか……。

まあ、爆弾を処理できるかは不明だが、お前の考えを実行させてやるぜ。

お前さえ手に入れば、他はどうでも良いからな!


最後に、恋人に別れを告げるんだな!

お前は、俺様と一緒にこの星を離れて、他の星で数人の俺様の子供を身籠るんだ。

せいぜい可愛がってやるぜ!」


アビス姫は、男に強制され、俺に別れの言葉を告げる。

泣きそうな悲しい声が聞こえて来た。


「ごめん、スカイ……。

私の事は、忘れてください!

あなたは、人工太陽を壊さないように守って!」


アビスは、男に連れられて、どこかへ連れ去られようとしていた。

口振り的に、他の星へ移動する手はずだろう。

俺は、無線の位置から、男がどこに飛び立って行くかを予想していた。


「確かに、スカイ1人ならば、時限爆弾の解体だけで終わってしまうだろうね。

でも、作業で私も一緒だから、二手に分かれることができる!

スカイは、恋人を救出して来なよ!


私は、時限爆弾を処理してやるよ!

爆弾を解体する知識はないが、銃の腕なら一級品だ。

時限爆弾を銃で弾き飛ばして、人工太陽の熱で焼き切ってやるよ!」


俺の隣には、オーシャンが一緒に作業していた。

彼女の指示により、俺は脱出用の小型の飛行艇を用意する。

オーシャンがそれに乗り、人工太陽の元へ急行する。


「俺は、アビス姫を救出しに行く!

時限爆弾は任せたぜ!」


「ああ、お姫様に良い所を見せ付けてこい!」


オーシャンは、自慢の愛銃を片手にして、小型の飛行艇に乗り込んで行った。

ジェットエンジンで燃費は悪いが、一定の距離までは飛ぶ事が出来る。

人工太陽の位置までなら、ギリギリ間に合う距離だった。


俺は、オーシャンの乗った飛行艇が飛んで行くのを見ると、アビス姫を連れ去っている空賊の飛行艇を追う。

かなりの巨大な飛行艇で、乗組員も数人いる可能性があった。


「行くぜ!

絶対に彼女を救出してみせる!」


空賊は、アビスを連れて星の外へと向かっていた。

星の外の『スィネフォ』地区へ出て行き、丁度青空が見え始める部分だ。

そこを超えて仕舞えば、後は高速で空を駆け上がって行き、宇宙空間に出るだけだ。


「くっくっく、綺麗な空模様が見えるぜ!

まあ、お前には初めての空かもしれないがな……。

ずっと箱入りだったお前を、俺様が盗む出したというわけだ!


そうだ、良い事を教えてやるぜ!

この星の大半の女は、俺様が捕らえている。

つまり、この星には女がほぼゼロってわけだ!


残ったのは、せいぜい1人か2人くらいだ。

お前を新しい星の女王にしてやるぜ!

軽く100人ちょっとはいるはずだからな!」


「くっそ、女がいなかったのは、お前ら空賊が捕らえていた為か……。

道理で、『スィネフォ』地区を探し回っても中々見つからなかったわけだ。

お陰で、人口が急激に減ってしまっているじゃないか!」


「くっくっく、この星はもう終わりだ!

仮に、人工太陽を守れたとしても、子供を産む女がいない為に滅ぶ。

アビス、お前がもっと可愛ければ、この星を潰す必要もなかったのにな!」


男は、アビスの顔を地面に叩きつけ、彼女に屈辱的な態勢を取らせる。

彼女の額から血が出て、額を赤く染めていた。

傷は小さいが、男の力強さを見せ付けているような攻撃だ。


彼女を痛ぶっているのはボス1人だが、周りに奴の部下がいる。

飛行艇の操縦もしているのは、奴の部下であり、全員が油断し始めていた。

ボスは、なおも彼女の髪を弄って精神的に痛ぶり続けている。


「ふん、やっぱり女の中ではお前が一番可愛いな……。

その首筋までとどくくらいのショートカットヘアー。

汗を流すと貼り付く感じが色っぽいぜ!


更に、それでも俺様に抗おうとする健気さ。

お前の頭脳はかなりの物らしいしな。

女としても、パートナーとしても重宝するわけだ」


「ぷっ、汚らわしい!

思わず反吐が出てしまったわ!」


彼女が唾を吐きかけると、男の表情が変わる。

一気に殺意を含んだ殺人鬼の表情へ変化していた。

彼女の首を絞め、恐怖心を植え付けようとしていた。


「何か勘違いしているようだな!

お前を奴隷にするなんざ、腕力1つで事足りるんだよ!


ただ、俺の妻になるから優しく扱っていただけだ。

少し死の恐怖を味わって、俺好みの女になってみるか?

可愛くしていれば、こんな苦しみは味合わなくて済むぜ!」


「があ、はあ、ぐうううう……。

やめて……、痛い……」


「ふん、少しは自分の立場が分かったようだな!

俺様に逆らわなければ、新しい星のNo.2にしてやるぜ。

俺様の命令だけ聞く可愛い女になりな!」


ボスは、アビスを痛ぶっているが、次第に異変に気付き始めた。

操縦している部下や、手下の部下どもの方から謎の声が聞こえ始めた。

最初は、アビス姫の泣き声だと思っていたが、次第に襲撃されている事を悟る。


「なんだ?

おい、操縦席にいる奴、何が起こっている?

まさか、侵入者か?」


「ええ、あまりにも強い侵入者で、私以外はボスの仲間は全滅しましたよ!

次は、ボスの番です!

覚悟してくださいね!」


俺は、飛行艇を自動操縦に切り替えて、一気にボスの元まで近付く。

ボスは、身動きすら取れず、俺の一撃でアビス姫から離れさせる事ができた。

俺は、ボスの顔面を思いっ切り蹴り上げ、飛行艇の天井にぶち当てる。


「テメエ、何者だ?

この動き、速すぎる……。

俺様でさえ、急所を避けるのがやっとだ……」


ボスは、口から出ている血を拭って、俺を見る。

俺は、ボスとアビス姫の間に入るように立ち止まっていた。

戦闘の構えを取り、隙のない動きをみせる。


「ただの郵便配達員さ!

女の子を虐めることしかできないヘタレには、バケモノに見えるかな?」


「ふん、良い気になるなよ!

今お前が俺様を攻撃できたのは、不意を突いたからだ。

正面から正々堂々と戦えば、貴様如きに……」


ボスが話しているうちに、俺は攻撃を仕掛ける。

目に追うことのできない強力なパンチが繰り出されていた。

ボスは、攻撃をまともに受け、ヨロヨロとしている。


「どうした?

真正面からでも俺は強いぜ!」


「ちい、こんな奴に……。

だが、今の一撃で決めなかったのは詰めが甘いな。

だから、貴様は死ぬんだよ!」


ボスは、小型の銃を手に仕込んでおり、俺と会話をしている最中に銃を撃つ。

奴の狙いは、倒れているアビス姫であり、無情な銃弾が彼女に迫っていた。


「へっ、自分は無敵でも、アビスは死ぬぜ!

どうする、王子様よ!」


俺は、ゴーグルを使い、アビス姫に迫る銃弾を弾いた。

ゴーグルが割れ、粉々に砕け散る。

俺は、ゴーグルを失うと、途端に緊張し始めて震える。


克服したつもりだったが、いざゴーグルが無くなると足が震え出していた。

ボスは、俺の表情が変わった事を悟り、一気に勝負を仕掛ける。

銃を連発させて、スカイを確実に殺そうとしていた。


「これで終わりだ!」


俺は、自分の得意なナイフを取り出し、全てをナイフで防ごうとする。

銃弾を全て防がなければ、後ろのアビス姫が傷付いてしまう。

そう思うと、途端に力が湧いてきた。


全ての攻撃を見切り、全弾手前で撃ち落としていく。

たかが数発の小型銃だ。

軌道さえ見切れば、撃ち落とすのは簡単だった。


「バカな……。

全部見切ったというのか?」


「俺が来た時点で、お前の計画は終わっていたのさ!

しばらく眠っていろ!」


俺のボディーブローによって、ボスは眠るようにして倒れ込んだ。

俺は、全員を倒した事を確認すると、飛行艇を運転する。

無我夢中で飛び乗ったが、そのせいで俺の飛行艇は虚空へ消え去って行った。

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