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エピローグ

 「よしっと・・・。後は、女王の体だけだな。」

 アリスの病室から運び出した、チェシャ猫、トゥイードルダム、トゥイードルディの3体の体を処分し終えたドジソンは、まだ箱の中に納められていた女王の体を、ゆっくりと箱の中から取り出した。

「ふぅ・・・。せっかくの良い出来だったのだが・・・仕方がない。」

 名残惜しそうに女王を見つめ、その体を燃え上がる焼却炉の中へと入れようとしていた時だった。

「待ちたまえ、ドジソン君。」 

 背後から聞こえて来たその声に、ドジソンは思わず驚いた。

「いっ!医院長先生!いらしたのですか?」

 慌てて女王の体を床に置くと、ドジソンは軽く医院長に会釈をし、唸る焼却炉の蓋を閉めた。

「君の報告書を読ませて貰ったよ。」

 静かな声で言う医院長は、何だか普段とは違う雰囲気を可持ちだしていた。

「恐縮です。」

 そんな医院長の雰囲気を悟ったのか、ドジソンは何時も以上に緊張をした様子であった。

「実に面白い結果だった。何せ私自身、この治療法の最終段階がどう転ぶか等、分からなかったのだからね。」

「はっ・・・はぁ・・・。私もです・・・。」

 どこと無く重苦しい空気が漂う中、ドジソンはアリスの言っていた『黒幕は医院長』と言う言葉が頭に浮かび、思い口をゆっくりと開いた。

「あの・・・。医院長は、もしやアリス君の中に居た意識達の正体を、知っていたのでは無いのでしょうか?」

 ドジソンのその言葉に、しばらく沈黙が続く。まるでこちらを睨みつけているかの様に見える医院長の目に、ドジソンはゴクリと生唾を飲み込んだ。

「ふふっ・・・ふふふふ・・・。」

 不敵に笑い出す医院長に、ドジソンは少し後退りをする。

「フハッハッハッハッ。いやいやっ。まさか!分かっていたのなら、こんな苦労等しないよ。分かっていたのならば、様々な心理療法を使い、治療が出来たのだからね。」

 大口を開けて笑う医院長を見て、何時もの医院長だとほっと安心をしたドジソンも、ハハハッと笑った。

「そっ・・・そうですよね!ハハハッ。いやっ、失礼しました。まぁ何にせよ、アリス君は随分と改善の兆しを見せていますよ。現に、もうこの人形も要らないと、自ら言い出したのですから。」

 アリスの様子を嬉しそうに語るドジソンだったが、医院長は一つ咳払いをしてから言い出した。

「コホンッ!実はその事なのだがね、ドジソン君。他の人形は、もう既に処分をしてしまった様なので仕方がないが・・・。その残りの1体は、残して置きたまえ。」

 突然の医院長の言い出しに、茫然とするドジソンであった。

「残す・・・と?何故でしょうか?彼女には、もう必要の無い物です。」

「うむ・・・それはだね、ドジソン君。まぁ・・・何だ・・・その、保険と言う所だよ。」

 言葉を濁しながら言う医院長に、ドジソンは首を傾げた。

「保険・・・ですか?それは、また彼女が必要とする可能性が有るからでしょうか?」

「うむ・・・まぁ、そんな所だろう。」

 ソワソワとしながら言う医院長に、ドジソンは腑に落ちない部分があったが、医院長がそう言うのならば、と渋々了承をした。

「はぁ・・・。分かりました・・・。では、この人形は私の製作室にでも置いておきます。」

 女王の体を箱の中に戻すと、ドジソンは箱をカートの上へと載せた。

「あぁ!ドジソン君!くれぐれも、誰にも見付からない場所に隠して置きなさい。まだ動いてもいないこの人形を、誰かに見られる訳にはいかないのだからね。」

 医院長のその言葉に、ドジソンは身を引き締めて言った。

「心得ております!」

「それから、腐食にも十分気を付ける様にしてくれたまえ。」

「はい。無論です!」

 キビキビと返事をするドジソンに、医院長はホッと肩を撫で下ろした。

「それからもう一つ!耳やら尻尾やらと・・・余計な物は付けなくてもよい。」

「はぁ・・・。しかし、出来る限り彼女のイメージ通りにと思いまして・・・。それに、個人的にも気に入っていますし・・・。」

 ハハハ、と頭をかくドジソンに対し、医院長は半分呆れた様に怒った。

「君の個人的趣味等どうでもよい!」

 医院長のその言葉に、ドジソンは思わず何度も頭を下げる。

「はっはいっ!申し訳ありません!」

 そして一つ溜息を吐くと、医院長はドジソンの近くへと詰め寄り、小声で話した。

「あの人形の正体は、決して人に知られてはならんのだよ。もし他の者に知れたら、君だけで無く、材料調達をしている、私までもタダでは済まん!しかし君が処分をした失敗作では無く、成功品にも近いうさぎの様な人形を何体も作る事が出来れば、我々の名は歴史に刻まれる!その事だけは、忘れずに心に刻んで置きなさい!」

 医院長の言葉に身を改めて引き締めると、ドジソンは背筋を伸ばし言った。

「承知しております!」

 医院長は無言で頷くと、その場を後にした。ドジソンもまた、箱の蓋を固く閉ざすと、カートを押しながらその場を後に、製作室へと向かって行った。





「ねぇうさぎ、そう言えば、貴方の名前『うさぎ』って言うのも変よね。」

「そう?僕は呼ばれ慣れてるから、何とも思わないよ?」

「でもやっぱりちゃんとした名前があった方がいいわ・・・。そうね・・・何がいいかしら?」

「アリスが呼ぶ名なら、何でもいいよ。」

「そう?じゃぁ・・・。・・・レジ・・・ナルド・・・。」

「アリス?」


「レジナルド!貴方の名前は、今日から『レジナルド』よ。」


「うん!アリス。」


    ~END~

本当ならこの続きも書く予定でしたが、同人の話が突然なくなり、書く気が失せてしまったので、書いていません。

今読み返すと、未熟な文章だと自分でも思いますが、最後まで読んで下さりありがとうございました。

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