42話・白耳ウサギ族の耳は地獄耳だから観念しな
きょとんとした反応のリズに横を見るように促がす。そこには地上にパメラ王女が何食わぬ顔で立っていた。アイツやっぱり一人で降りられたんじゃないか。
リズはここでもお人よしにも、あの問題児の無事を喜んでいた。
「良かった、ご無事で」
「あいつのことなんて放っておいて良かったんだ」
「どうして?」
「あいつは猫の獣人だ。高いところから落ちたとしても上手く着地できるように体ができている」
助けに行ったお前を突き落とすとはぜってぇ許せないな。アイツ。俺は黙ってられなかった。
「殿下。今、わざとリズを突き落としませんでしたか?」
「え? わたくしが? そんなことしないわ。さっきは誤ってベクトル嬢の腕を離してしまったの。ごめんなさい……」
王女はその場を取り繕うとしていた。その王女を五つ子達が非難した。
「嘘よ。お姉さまのことお呼びじゃないって言った」
「お姉さまになぜ助けに来たのって言ってた」
「計画が狂っちゃうじゃない。だって」
「王女さま、わざとだよね?」
「アーサーパパに助けてもらう為にあんな芝居したの?」
パメラ王女はまさか木の下にいた五つ子達に、自分の呟きが聞かれていたとは思わなかったのだろう。びっくりしていた。残念だったな。おまえの企みは五つ子たちによって筒抜けだ。白耳ウサギ族の耳は地獄耳だから観念しな。
「やだわ。そのようなことするわけないじゃない。あなたがたはアーサーのことが本当に好きなのね」
あははは。パメラ王女は笑って誤魔化し「お腹空いたわ。そろそろお昼ではなくて?」と、話題を変えてしまった。図太いヤツだ。




