41話・無事で良かった
「だって、あのままじゃ、パメラさま可哀相じゃない」
「リズっ」
「ごめん、アーサー」
止める俺達を振り切ってリズは軽やかに木に駆け上った。リズは木登りが上手だ。妹達が高いところに興味を持ち、木の上に上っては降りられないと泣いて助けを求めることがあった。それを俺と二人でよく助けに行ったものだ。
木の天辺にいるパメラは目を丸くしていた。まさかリズが助けに来るとは思わなかったようだ。
木の上では様子がおかしかった。リズが差し伸べた手を王女が振り払ったように見える。五つ子が憤慨していた。
「どうしたんだ? 木の上で何が起こってる?」
「パメラ王女、あんたなんかお呼びじゃないって言ってる」
「……!」
側にいたシュネに聞くと、皆を代表して教えてくれた。白耳ウサギ族は耳が良い。遠くの音でもよく聞こえる。シュネの言葉で木の上で何が起こっているのか察しがついた。
「リズ」
助けに行こうと木の上を仰いだら、上からリズが体のバランスを崩して落下するのが見えた。
「リーズ!」
「リズ!」
「「「「「お姉さま!」」」」」
「きゃあああああああっ」
リズが危ない。咄嗟に体が動いて彼女を受け止めていた。良かった。間に合った。一歩間違えれば彼女は体を地面に強く打ちつけて、下手すれば死亡していたかもしれないと思うとぞっとした。
────ああ。無事で良かった。
「馬鹿。おまえってやつは──。寿命が十年分縮んだぞ」
「アーサー。ごめんなさい。パメラさまは?」
「おまえはお人よし過ぎるぞ」




