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獣人辺境伯の心配は尽きない~白耳うさぎは黒狼を翻弄する~  作者: 朝比奈 呈
ヒロイン目線 ̄(=∵=) ̄
14/107

14話・ふたりきりは認めない


「リズ、あっちへ行こう」

「おい、待て。カミーレ。二人でどこへ行く?」

「アーサーは姉上とお話でもしてて。僕たちは向こうでシスターの手伝いをするよ」



 背後で慌てる声がする。カミーレは可笑しそうにその場からわたしを連れ出そうとした。



「駄目よ。カミーレ。お待ちなさい!」

「なあに? 姉上」

「彼女と二人きりなんて駄目よ」

「姉上だってアーサーとふたりで話をしていたじゃないか?」

「──それは……、でもだめ。彼女とふたりきりなんて認めないわ」



 聞いていると勝手な言い分だ。自分はアーサーと仲良くしているのに、弟にはわたしと親しくなるなだなんて。人の婚約者にちょっかいかけておきながら、弟には近付くなと睨んでくる。意地の悪いお方だ。



「ごめんね。リズ」

「何のこと?」

「パメラ姉上は強引だから」



 すると猫なで声で王女はアーサーの腕を引いた。彼女の胸がアーサーの腕に当たる。彼女の胸は結構大きい。自覚してやっているのが丸分かりだ。


「ねぇ、ねぇ。アーサー。これを運ぶのを手伝って下さらない? もちろん、カミーレもよ」


 王女殿下は自分が中心でないと面白くないらしいのだろう。わたしからアーサーとカミーレを引き離すように呼びつけて、二人に馬車の中にあった物を孤児院へと運ばせようとしていた。

 そこへ騒がしい声が割り込んできた。



「美味しそうな匂いね」

「カナッペみたいよ」

「美味しそう」

「食べたい~」

「いいなぁ」



 塀の向こう側からひょこひょこ見慣れた顔が五つ覗いた。


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