13話・気位の高い姫さま登場
「お久しぶりです。アザリアさま。カミーレ、こんにちは」
「あら。リズにアーサー。相変わらずふたりとも仲が良いのね」
「叔母上もお変わり無いようで」
「リズ。アーサー。今日はお手伝い頼むね」
孤児院につくとアザリア王妃とカミーレは先に到着していた。アザリア王妃は黒髪に金色の瞳をした麗しいお方でわたしの憧れの女性だ。
小顔にしなやかな肢体の持ち主で、今日のお召し物は普段宮殿で着ている華やかな装いとは違い、一般の平民が好んで着るようなドレスを着ているのにも拘らず、身の内から美しさがにじみ出ているような気品が感じられた。
その隣に立つのは、貴族の屋敷に仕える従僕が着ているようなお仕着せの服を着た天使のようなカミーレ。二人はわたし達が到着すると笑顔で話しかけてきた。王妃さまにも愛称で呼んでもらえるほど親しくさせて頂いている。
一介の伯爵令嬢の身で身にあまる光栄だ。
わたしも孤児院訪問ということで、派手さを抑えた地味めのドレスを着ている。子供たちと触れ合う事が多いので、孤児院訪問の際は、なるべく子供達が気兼ねしないような服装を心がけている。
皆で談笑していると後ろで馬車が止まり、甲高い声が入り込んで来た。
「まあ。アーサー。あなたも来ていたのね?」
亜麻色の髪に金色の耳と尻尾を持った美しい獣人姫。カミーレの姉姫さまでパメラ王女だ。第一側室の娘ということで気位が高く扱いが難しいお方だ。わたしより年は三つ年上。
彼女は宮殿で着ている服装のまま駆けつけたようで周囲の子供達から「お姫さまだ」と、声があがって満更でもないような顔をしていた。
「パメラ王女殿下。あなたさまもいらしていたのですね?」
「アザリアさまから今日は孤児院訪問に窺うと聞いていたのよ。カミーレも行くと聞いたから後を追いかけてきたの」
顔を輝かせるパメラ王女の前で、アーサーは無反応だった。
パメラ王女は、異母腹の王子であるカミーレを可愛がっていた。溺愛しているといってもいい。幼い頃から付き纏っていて、わたしがカミーレの側にいるのをよく思っていなかった。
今もわたしを無視して、アーサーに話しかけていた。彼の腕に馴れ馴れしく触れてくるのが何だか面白くないと思っていると、カミーレに腕を引かれた。




