序章 いい日旅立ち
太陽が昇り始めた早朝。長老の部屋に座する者たちは皆、神妙な面持ちで1人の男を待っていた。
その者の名をアドラスという。
まだ光も差さない薄暗い草原で、2人の戦士がお互いの剣技を競い合っていた。飛び散るは火花。聞こえるのは金属音。攻撃と防御の繰り返し。
やがて鳥の群れが太陽の光と共に2人の上空を通り過ぎた頃、ド◯クエのハッサンに似た男が口火を切った。
キュータール「そろそろ太陽が顔を出す。アドラス、お前もそろそろ長老に顔を出す。yeah♫」
アドラス「ふぅ、そうだな。ありがとよ、キュータール。行ってくるわ」
アドラスはそう言うと、しばらく目をつむり、そして長老の家へと向かった。
月々の家賃が9万5千の長老の家に向かいながら、アドラスはここまで自分を育ててくれたこの村のことを思い返していた、が、ここでは面倒くさいので割愛する。
アドラスが目的地に着くと、シュティーユ長老を含め村の権力者たちはスマホを触るのを止めて彼に視線を送った。
シュティーユ長老「アドラス、小学校の校長の様にぐだぐだ長い話をするつもりはない。お前もこの村で生まれて早20年という尊い歳月が流れた。ちなみに今、『歳月』を何と読んだかの。『としつき』と読むものもいれば『さいげつ』と読むものもいる。ちなみにフランス語では『Années』と言うのじゃ。ここでフランス語を持ち出したのは、作者が今現在フランスに旅行に来ているという理由に他ならない。シラケるじゃろ。フランスに来て作者がびっくりしたのは…」
バルルモンティ(村のNo.2)「長老、シュティーユ長老。些か前置きが長くなりかけております。」
シュティーユ長老「…でな、空港でレンタカー借りたはいいが、頼んだものより一回り大きくてな。作者はマニュアルで免許は取ったものの、それ以降マニュアルを運転したことは皆無じゃったんじゃ。ウケるじゃろ」
バルルモンティ「長老……おい、長r」
シュティーユ長老「バルルモンティ、汚い言葉は慎め。曲がりなりにも今日はアドラスの門出の日じゃ。」
バルルモンティ「はっ。申し訳ありません。」
そう言うと、バルルモンティは深々と頭を下げつつ、スマホ内のメモアプリで理不尽タグを付けて今の有り様を記した。
シュティーユ長老「それでは話が長くなる前に本題に入るぞ。アドラス以外の者は、毎度の事で聞き飽きたかもしれんが、改めて心して聞いてほしい。」
ゆっくりと周りに視線を配りながら、長老は自分のスマホ内のメモアプリを開き、備忘録タグのメモを開いた。
シュティーユ長老「この村で20歳となった男は、古き掟により村を一度出て行かなくてはならぬ。そして世界に散らばっている7人の村人たちを呼び戻すのじゃ。
7人にはそれぞれ、簡単には戻って来れぬ理由がある。それを解決して、この村に再び呼び戻すのがお前の役目じゃ。7人の村人たちがこの村に揃った時、どんな願いも敵わぬ、ワシの願いが叶うのじゃ。」
アドラス「…長老。聞き間違いかと思うので念のために聞くが、それはただ長老の為のお使いではないのか?」
シュティーユ長老「アドラス。心して聞け。
老人は大切にすることじゃ」
アドラス「まぁまぁの正論で押し通す気かコイツ…いいよ、分かったよ。やってやるよ。7人集めてきてやるさ。」
シュティーユ長老「アドラス。初めての………お使いじゃな♫」
アドラス「ぐ…そういうことは本人に聞こえないところで言えよな。」
シュティーユ長老「そうと決まれば早速準備に取り掛かり、出発してほしいのじゃ。妹のことが心配じゃろうが、そこはワシらがついておる。」
アドラスはコクリと頷き、自分の家に向かった。
お使いという名の冒険に向けて、ひと通りの準備を済ませたアドラスは、村の外れにある家賃3万の小屋を訪ねた。中には1人の女の子が低反発のベッドで横になっていた。
アドラス「コミ、具合はどうだ。」
コミ「兄さん、やっぱり来てくれたんだね!」
アドラス「もちろんだ。話の流れ的に寄らなきゃいけないし、何よりも作者がそのセリフを言わせたかったからな。」
コミ「私はこの通り大丈夫よ。息だって吸えるし、何なら息を吐くこともできるわ♫それより、今日出発してしまうのね…村の外のことは分からないけれど、絶対帰ってきてね、お兄ちゃん!あと、新宿の歓楽街は、オトナの誘惑がたくさんあるみたいだから絶対行っちゃダメだよ!」
アドラス「…(ゴクリ)」
新宿…その街の名前だけは、脳の海馬にインプットしたアドラスであった。
妹との別れを惜しみつつアドラスが村を出ようとすると、長老をはじめ、村の住人たちが皆見送りに来ていた。握手や抱擁、それからラッパーやバスケ選手がやるDAPで各々アドラスへの想いを伝えた。
キュータール「アドラス、お前居なくなるのとても寂しい。だけどお前の妹、とてもかわいい。俺とお前、今はただの親友、だけど帰ってくる頃、俺たちは真の兄弟♫yeah」
アドラス「キュータール、韻を踏むのはいいが、俺の心を踏みにじるな」
かくして、世界に散らばっている7人の村人を探すアドラスの長き旅が始まった。




