表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんとなく、エントリー ー三年の春、まだ何者でもない僕らはー  作者: 春凪とおる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/10

第一話 エントリー

大学三年の神谷湊は、やりたいことも特になく、

「なんとかなる」と思いながら毎日を過ごしていた。


そんなある日、同級生のあやのに言われる。


「湊、エントリーした?」


——そこから始まった、なんとなくの就活。



雰囲気で選んだ企業。

うまく書けない志望動機。


ちょっとした成功と、普通の失敗。

それでも少しずつ、自分の言葉で考えるようになっていく。


これは、「なんとなく」から一歩踏み出した大学生が、

ゆっくりと未来に向かっていく物語。



「湊、エントリーした?」


「……なにを?」

「終わってるね」


昼の学食。

あやのはカレーを食べながら、普通に言った。


「いや、まだ三年だし」

「もう三年だよ」


「え、そんな経った?」

「経ったよ」


スプーンが止まる。


「……まじか」

「まじ」


スマホを見せられる。

インターン募集の画面。


「うわ、いっぱいある」

「あるよ」


「これ全部受けるの?」

「受けないけど、見るの」


「見るだけでえらいな」

「そこから?」


あやのが笑う。


「湊、将来どうすんの」

「うーん」


カレーを一口。


「なんとかなるくない?」

「出た、それ」


「いやでも、実際」

「その“なんとか”が怖いの」

「えー」


画面をスクロールする。

知らない会社ばっかりだ。


「……これでいいか」

「どれ?」


「雰囲気よさそう」

「一番危ないやつ」


「なんで?」

「志望動機が書けない」


「……たしかに」


少し考えて、


「まあいいや」

送信ボタンを押す。


「……送った」


「お、えらい」


「えらい?」

「えらい」


ちょっとだけ、嬉しい。


「……なんかさ」

「うん?」


「未来、ちょっとだけ動いた気がする」


あやのが少し笑う。


「大げさ」

「いいじゃん」


もう一口食べる。

さっきより、ちょっとだけうまい気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ