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在らぬ者は名を持たない  作者: 紋 余白


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幕間、5

「願い事?」


すぐには出てこなくて、俯いて考え込んだ。俺が願ってることってなんだろう?


母さんが戻ってくること?

この先、安心して暮らせるだけの食糧があること?


「今すぐじゃなくてもいい。何か俺に出来そうなことがあったら言ってくれ。どの道しばらくは面倒見てもらわなきゃならねぇだろうし」


男の言葉を聞きながら、まだ考えていた。

母さんみたいな薬師になること?

……それとも。


「──ひとり、で」


「うん?」


そう、俺は。母さんを安心させられるように。


「ひとりで、生きていく方法を教えて」


顔を上げ、男の目を見据えて、そう答えた。

次話から第二部となります。

更新まで少し間が空くかもしれませんが、気長にお待ちいただけると幸いです。

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