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番外 on 灼熱の砂

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


ある昼下がり、僕はフィンを伴いクーデンホーフ領にいた。


フィンは獣人のハーフらしく、口よりも体が先に動くやんちゃ坊主だ。

頻繁に訪れるクーデンホーフ領。この際だからザラキエル湖にも慣れさせようというのが本日の目論見。

ザラキエル湖は疑似海岸。波が無く、かつ範囲指定のあるここは初心者にうってつけである。


「ヴォルフ、今日は犬かきじゃなくて人型で教えてあげてね」

「お前…俺を馬鹿にしているのか。いい根性だ」


「いや~、だってね」


「ふふ、だが人型でもヴォルフ殿の泳ぎはなかなかのものだ」

「獣化中ほどじゃないがな」


「ふーん、シュバルツとどっちが速いかな?」



シュバルツからは、毎年夏は海沿いにある別荘で保養をしていたと聞いている。当然海にも入ったと。海に入って浮いてただけってことは無いだろう。


「そんなのお前…競争になると思うのか」

「ふむ…ヴォルフ殿、これでもそれなりに自信はある。見縊らないで貰いたい」


プライドの塊ヴォルフと、ああ見えて良い意味で負けず嫌いのシュバルツに火が付いた。

うっかり口にした僕の一言で、彼らは今から遠泳勝負をするらしい。

ゴールは湖の中央、ぷかぷか浮かぶアヒルの浮き具である。



「レジナルド。フィンの泳ぎはお前が教えろ!」

「えっ!人に丸投げとか…ちょっと!」


行ってしまった…


残ったフィンとグリージオをどうすんの!まだよちよち歩きのグリージオはともかくフィンは水に入る気満々なんだけど…


「あのレジー様、グリージオ様は僕が見ているのでフィン様と湖にお入りください」

「えー、無理。フィンは体力お化けだからついてけない。僕がグリージオ見てるからウィル行っといでよ。好きでしょ?湖」


「……」

「……」


結局熟考のうえ、泳ぎは諦めフィンVS騎士の面々でビーチフラッグをすることにした。

砂浜であれば危なくないし、肌の弱い僕でもパラソルの下で見ていられる。

そしてこの競技は体力を消耗する。さすがのフィンも砂浜で駆けまわれば、きっと今夜は泥のように眠るだろう。


それに大人と子供とは言え、小柄で反応速度がよくて素早いフィンなら少しのハンデでいい勝負になると思ったのだ。


「じゃあやり方のお手本ね。一回だけやってみせるから覚えてね。フィンも良く見てて」

「ハーイ」


「じゃあウィル。反対向いて寝そべって」

「旗の方じゃなくてですか」


「うん。僕みたいに。こっち向いて」

「砂だらけですよレジー様。おはらいしましょうか?」


「今はいいよ。あとで頼もうかな」


「レジナルド様!砂でしたら俺がおはらいします!」

「いいえ俺が!」

「いや私が!」


うちの騎士たちは常に血気盛んだ。ただでさえ暑いのに何を騒いでるんだろう…暑苦しい。



「じゃあよく見ててね。行くよウィル。合図したら起き上がってフラッグを取りに走ってね。フライングは無しだよ」

「はい」

「よーい…ドン!」


「えいっ!あ、ひゃん!」


隣では勢いよく起き上がったウィルが砂に足を取られて転倒している。ぷぷ、足腰弱いとこうなるんだよね…、あっ!


ズサァーーー「いったぁ…」


…普段魔法に頼りきりの僕は意外と体幹が弱い。ウィルを笑えない…


「大丈夫ですかレジナルド様!あ…」

「う…、肌に張り付くシャツと砂…」

「芸術…」


見てないで起こして欲しいんだけど…



結局僕はその後、ウィルにグリージオを頼んで砂風呂を楽しみ(これは後にザラキエル湖ビーチの名物となる)、子供たちを置き去りにして一日中競泳してたヴォルフとシュバルツは、帰宅後カールからコンコンと説教を受けたのだが、総じて楽しい夏の一日だったと言っておこう。





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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