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番外 Birth 五つ子!

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


こんなに驚いたヴォルフを見たことがかつてあっただろうか。イヤ無い。だが五十数年の独身生活はここで終わりだヴォルフくん。



「何?なにか不満でも?」

「いや、まさか…」

「人のこと散々舐めまわしておいてその顔?そういう事なら僕にも考えってもんが!」

「待て!不満などあるわけ…ただ驚いただけだ…」


まあ実のところヴォルフの戸惑いは分からないでもない。

王家の別荘から戻った僕が酔ったヴォルフに舐めまわされたのは間違いない。だがしかし…


あの日のヴォルフは獣化中で、全身舐めまわされたと言ってもそれは所謂じゃれついた、と言うやつで…、まさかそれで子供が出来るとは考えもしなかっただろう。御愁傷様…


「あ、白玉が飛んでった…」

「こ、これが俺の子…」


ヴォルフの腕に納まる白い光球。不思議そうな目でしげしげと眺めるヴォルフがまたなんとも…

そこに投下されたのはウィルからの問題発言。


「こうしてシュバルツ様の光も含めて三つ並ぶと黒白グレーなんですね」


はうあっ! い、言われて見れば…


「確かに白黒グレー…」



ウィルの言葉に身体が震える…。そうか…、エルダーは的確に僕の深層心理にある願望を汲み取ったというのか…。それがこの結果か…。恐るべしシンクロパワー…


後継者を切望していたジェイコブはまさにこの世の春!誰よりも早く大量のベビー用品をアッパータウンの業者に発注していた。


そしてクラウスまでもが幼児用の剣を発注する始末。

一日中かわるがわる光球を見に来る騎士たちはみんな眦が下がっている。

ヴォルフの子というのでキングたちまでもがやってくるけど…うーん、光の球をみてどこが楽しいのだろう?でも不思議と何かを感じさせるのがエルダーによる匠の技。



さて、他の光球ちゃんたちだが、デュトワ家の夫人はしばらくウエストエンドに滞在し孵化するのを待つようだ。

孵化後はセザールと共に一旦ウルグレイスへ向かうらしい。初孫のお披露目…、それは盛大なパーティーになる事だろう。


そしてアルバートと王妃様は赤子(?)を連れて王城へと戻っていった。

二人を送るため『ワープゲート』を開けた瞬間、向こう側にそわそわと落ち着かない王様が居てすでにデレデレだったのには笑うしかない。


「アル、お互い寝不足になるだろうけど頑張ろうね」

「責任重大だ…。レジー、君こそ無理しないで」



エルダー曰く、この光は生命力と言ってもいい。数時間おきに遺伝子情報の基、つまり両親が魔力を与え、十分に満ちたところで光球は孵化するのだとか。逆に魔力を与え忘れると球は光を失い消滅する…。ゾッ…


こうしてアルバート、セザール、僕の、2時間おきに授魔力という、過酷な孵卵(ふらん)期間が始まった。

とくに僕は、屋敷で育てる三つの他に、アルの持つ金、セザールの持つ青にも魔力を上げなきゃならないときて、忙しいったらありゃしない。


睡眠不足をポーションで補う毎日…。授魔力と授魔力の間に寝落ちする日々。『ワープゲート』や『テレポーター』を持つ僕でさえ制限される活動範囲。

アルやセザールがほぼ自室近辺から出られないだろうことは想像に難くない。最近二人の肌艶は、乙女ゲーの登場人物としてあるまじきものになっている。



ところでウエストエンドの育児部屋に並べられた白黒グレーの光球ちゃんだが、ド〇ゴンボールがサッカーボールになって来たある日のことだ。


「あれ?黒ちゃんが白ちゃんの隣にいる…。移動させたの誰!ベッドは一人一ベッドだよ!」

「レジー様、誰も動かしたりなんかしてませんよ」

「そう?」


だがその翌日も…。やっぱり移動してる。今度はグレーちゃんが白ちゃんの隣に。


「ジェイコブ、全員に確認した?」

「皆触れてもおりませぬ」

「んんー?」


不審に思った僕はステルスを使い姿を消して部屋の中で様子を観察し続けた。するとそこで目にしたものは…


フヨフヨと空中に浮遊して自由気ままに移動する球たち。

白ちゃんにちょっかいをかける黒ちゃん。負けじとやり返す白ちゃん。するとその争いをおさめるように割って入るのがグレーちゃん。カ、カオス…


「こらー!何やってんの!大人しく寝てなさい!」


いきなり寝たふりを始める三つの球。…もう遅いって…



サッカーボールがラグビーボールになったのを見て数日前からシュバルツもここに滞在中だ。今か今かとその時を待ちわびている。

そうこうしているうちに王城からついにその一報が届けられた。



「坊ちゃま。アルバート殿下の育てる金の光球がついに孵化を終えたようでございます」

「そう。長男は金玉か…」


そして一時間後には


「レジー様、セザール様の屋敷からクラリスが報告に来ました」

「孵化したの?」

「そうみたいです」

「青玉にも先を越されたか…」


僕が五つ全て公平に授魔力する以上、パパ側のポテンシャルに孵化速度は左右される。


ここにあるのは魔力を持たないヴォルフの卵と魔力の弱いシュバルツの卵、順当と言えば順当だけど…


さっきから白ちゃん、グレーちゃんもカタカタと落ちつかない。多分孵化が近い。二つの孵化を見届けるまではトイレすらじっと我慢だ!



「坊ちゃま!ご覧を!」

「うわっ!し、白ちゃん!」


一際大きく輝いたかと思った次の瞬間!…ベッドの中には生後半年ぐらいに見える小さな赤ちゃんの姿があった…。


「う、うう、生まれた!白ちゃんが生まれたよ!!!」

「ウィル!屋敷の全員に通達を!それから騎士団に申し付けて領内に号外を撒きなさい!」

「は、はい!!」

「ウィル!ついでにヴォルフを呼んで!!!」

「は、はいぃ!!!」



思った以上の感動と興奮!僕たち全員がオロオロとベッドから離れられないでいる。

その後少し遅れて到着したヴォルフ。まじまじとベッドを覗き込んでいる。


「ヴォルフ、抱っこしてあげて」

「あ、ああ」



そしてタッチの差でグレーちゃんも孵化を終えシュバルツは抱きしめたまま感動に震えている。


そして残るは黒ちゃんだけだが…エルダーをパパに持つ黒玉ちゃんの孵化が遅いのには理由がある。


実はハイエルフの孵化には、最後ハイエルフの不思議な術を注ぎこむ必要があるとかで、エルダーから他の光球が孵化し始めたら呼ぶように、と言われていたのである。



エルダーの来訪を知らせると、セザールたちは生まれたばかりの赤ちゃんを抱えて僕の屋敷までやって来た。


この子達は生後半年くらいは光の残滓に守られている。生まれたての赤ちゃんが母親の免疫をもってる、っていうのに似てるけど、比べ物にならないくらいの強度だ。つまり外出するのに問題はない。


そしてもう一組、アルバートと赤ちゃんも『ワープゲート』で呼び寄せる。五兄弟の対面だ。


我が子を抱え集まるパパたち。そしてこの日のために渡されていたヤドリギを目印にしてエルダーがついにこの部屋へと姿を現した。



「ふむ。光の兄弟たちよ揃ったか。では二千年年ぶりとなるハイエルフの誕生をしかとその目に焼き付けるがいい」



エルダーが何かの呪文を口にした次の瞬間、黒ちゃんの外殻は割れその黒い光が拡散すると、なんと!部屋中は小さな宇宙になった。


小さな瞬きがいくつも輝く真っ黒な空間に紫の反射が広がる…。その中心にいるのは真っ白な赤子…。こ、これがハイエルフの誕生…。まさに神の領域…


が!


……生まれた黒ちゃんの顔を見て全員がフリーズしたのは言うまでもない。





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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