番外 in 樹海
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
さて、同行したのは、強引に割り込んだ護衛のオスカー、そして従者代表ウィルのみ。
行き帰りは『ワープゲート』で。さすがにもぎ取ったのが一週間では移動にかける時間はない。
「はい到着。さ、アル、今からは絶対離れないで」
ゴクリ「もう行くのか…」
もぎ取った一週間とは、僕の休みである。王太子アルバートにそんな許可はおりていない。つまりサクッと見てサクッと夜には帰さないと。
そんなわけで僕とアルバートは現在樹海に居る。オスカー?ウィルと一緒に樹海の手前でお留守番だよ。もちろん僕のシールド付きで。
「はい到着。さ、アル、今から樹海へ行くから絶対離れないで」
ゴクリ「もう行くのか…」
もぎ取った一週間とは、僕の休みである。王太子アルバートにそんな許可はおりていない。つまりサクッと見てサクッと夜には帰さないと。
そんなわけで僕とアルバートは現在樹海に居る。
「ここはウエストエンド側とはかなり違うのだね。ウエストエンドはどんな奥地でも清浄な空気が流れていたのに…」
それはもちろん、僕がこれでもか!と魔力を籠めたミッドナイトブルーの『封印石』があってこそである。同じにしてもらっちゃ困る。
「アルはナバテア初めてでした?この国はもともと最低限の封印しか施してなかったんですよ。そのせいでここら辺は昔から魔獣の出現率が高かったそうです」
今思えば奴らはわざと封印を弱めていたのかもしれない。
奴らは樹海や樹海近くに採掘場を持っていた。魔石とは魔物の発する瘴気によって生み出される。だからこそ、初めてこの山中を訪れた時、上位種であるカトブレパスが樹海をウロウロしていたのだろう。
そして獣人族により採掘された魔石の使い道ときたら…あー居なくなって清々した!
「ヴォルフ君が最近特訓をしているというのはこの辺りかい?」
「そうみたい。でも結構やられてるみたい。ストックのポーションがどんどん減ってくし」
フェンリルへの道は遠い。
「だがポーションで済む程度に遣り合えているという事じゃないか…。ウエストエンド騎士団といいヴォルフ君をはじめとした獣人族といい…、今のウエストエンドは王国一強靭な領地だね」
内情はモフモフに溢れたどこよりものどかで平和な楽園だけど…ね。
「あっ危ない!『ストーンフォール!』」
「キャタピラーか…。ありがとうレジー。しかし君が繰り出すと『ストーンフォール』でさえすごい威力だ」
「狂魔力の継承者ですからね」
「待て、べヘモスだ!『ヘブンズレイ!』」
「反応速度良いですね」
「お褒めいただき光栄だよ」
さすがアークトゥルスの継承予定者にして『恋バト』のメイン攻略対象者。戦闘センスも成長速度も半端ない。
それにしてもさっきから、どうも魔物の出現が多い気がする…
「ねえレジー。先ほどから魔物のレベルが徐々に上がってきている気がするのだが…」
「そうですね…おかしいな。いくらなんでも多すぎる…」
こう見えて僕は樹海及びベルト地帯内の魔物を定期的に間引いている。もちろん資源や食材の側面もあるが、一番の懸念は増えすぎてベルト地帯の許容量を超えることを懸念してだ。
そして、ヴォルフがこのナバテア側を特訓場にしていると聞いた時から、こっそりこちら側もそれなりに数を調整しておいたはずなのに…何かおかしい。
「レジー…、あれは…?あそこに見えるのは瘴気溜まりじゃないかい?」
「まさか!」
アルバートの見つけたその瘴気溜まりは一か所でなく群生している。
そしてそこからは今も続々と魔物が湧き出ている。今はまだ中位程度までのものだが…いすれこれらは上位種へと進むだろう。
それにしてもベルト地帯内部ならともかくどうして樹海なんかに⁉
これがこのまま放置されたら大変なことになる。
瘴気溜まり…、それは魔物の死骸が魔力に変換されず瘴気となって、拡散せず溜まりこみ濃度をあげていったものだ。そして溜まった瘴気からは魔物が生まれ出る…
それはスタンビートの発生につながり、すでにその兆候は見て取れる。
「瘴気溜まりはS級を超える魔物の死骸から何年もかけて生まれるという話だが…」
S級…何年…つまりあの頃にはすでにカトブレパスを超える上位の魔物がうろついてたって事か…
ナバテアめ!封印が杜撰にも程があるだろう!
放置してあったってことは、ここ数年の休戦期間の動きは樹海の封印でなく、…魔砲弾と監禁魔道具を完成させるためだったわけだな、ヤロウ…
「彼らがこれをどうする気でいたのか知らないが…」
「エルフを捕えて一掃させようとしてたんですよ。多分ね」
「エルフ…、まさか…」
そのまさかだ。あの皇帝が何故エルフを捕えようとしていたのか。
奴は初見で僕に食指を動かしたりしなかった。つまりエルフを愛でるために集めようとしたわけじゃない。
あいつはエルフの力を、戦力、そして防衛、その全ての動力にしようとしてたんだ!クソ皇帝!300回死ね!!!
僕はナバテア島を囲む密林、および魔獣の増強を心に決めた。
「アル、僕はここらへん一帯を消滅させます。もったいないけど仕方ない…」
僕に聖魔力が無い以上、とてもニコのように大がかりな浄化は出来そうもない。中途半端にするぐらいなら消滅一択。地獄の業火か…、それとも神の雷か…
「ちょっと待って。それだとベルト地帯にも影響があるんじゃないのかい?」
「…ないとは言えないかもしれない…」
急激な生態系の変動は大きな影響を及ぼす。それは魔物の世界でも同じだろう…
「では私の持つ光の浄化で…」
「普通の瘴気ぐらいならそれで祓えるでしょうけど…これはすでにスタンビートの脈動を始めていますから…」
「無理だと言うんだね」
少しムッとするアルバート。男だもんね、カワイイなぁ。
「ではあれは?闇魔法使いの汚泥を浄化した私たちの力」
「…」
あれは…こう言っては何だか、アルバートの持つ光の自浄作用を僕の狂魔力で強化したに過ぎない。
本来『天界の慈悲』は最上位の光の浄化魔法である『セラフィックライト』と、聖女の持つ最上位の浄化魔法『スーペリオンキュア』によって生み出されるものである。
だがここにニコは居ないし、仮に居たとして今のニコとアルバートの好感度ゲージが95パーを超えているとは思えない…。だが…
「…ではとりあえず…アルバートには『セラフィックライト』に挑戦してもらいましょうか」
「『セラフィックライト』…。最上位の浄化魔法…私に可能だろうか…。いいや。やって見せる!全てを奪われ全てに制限を課され、それでも君は狂魔力の制御を成し遂げて見せた!ならば恵まれた地で人々に支えられてきた私こそそれを成し得なくては!」
「大丈夫ですよ。ダメならダメで僕が何とかしますから」
ここで思わぬ事態が。僕の言葉にアルバートが何故か顔を曇らせ俯いてしまった。何この反応?
「…私は君が驚異的な力をふるって、これ以上「魔王」だとか「死の天使」だとか言われるのには耐えられないんだ…」
「えっ⁉」
まさかそんなことで…
「いくら君が狂魔力の継承者だからと言って、君は私と何も変わらない!君は傷つきも悲しみもする普通の人じゃないか!なのに君は笑っていつも無理をする!せめてその重荷を半分、例え三分の一でも私が引き受けられたら…そして私にはその力が有るはずだ!次期王として。アークトゥルスの継承者として!」
「アルバート…」
参ったな…。ウエストエンドの領民でさえ平気で僕を大魔王扱いするのに。
かと言ってその異名を本気で気にしたことは無いけど、アルの言うよう傷ついたり悲しんだことも特に無いけど、でもだからって嬉しいと思ったことも無い。
僕はただの街造りを生きがいにするゲーマー。それが僕を形成する全てだ。
アルは僕を美化しすぎている。
だけど「普通の子」この言葉を聞けただけでも…ここに来た甲斐はあったんじゃないか?
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




