183 19歳 discover 『恋エロ』
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
ついに待ちに待ってないその日がやってきてしまった。僕が人妻となる日である。
王城に出向くギリギリ直前まで何かをしていたらしい招待神官でもあるニコは、王城へ向かう列車にどうしても間に合わず、何でもするからと拝み倒され、そこでこうして忙しい僕が夜も明けきらぬ早朝から直接『ワープゲート』で迎えに来たというわけだ。
王城に到着してしばしの休息。式が始まったその瞬間から二~三日僕に安息は無い。
ニコがふと何かに気付いたように口を開いた。
「なんだかんだで、あなた『恋エロ』の亡国エンド着々とコンプしつつあるわね…」
「ブフッ!はあ?何言って…」
「だってそうじゃない。シャリムルートのゲスマン、ヴォルフルートのナバテアは言うに及ばずシュバルツルートのエトゥーリアも実質壊したようなもんだし…、あとは…アーニールートのクラレンスだけど、アルバートと結婚したら実質あなた陰の支配者でしょ?」
失礼な。
「言っとくけどクラレンスは壊さないよ!やっとここまで改革したのに…」
「改革!それよ!なんだ、すでに壊してたのね…古い慣習を」
「…」
言われてみればそうかも知れない。
「礼二くんって実況してたんでしょ?一部熱心な視聴者が競うように投げ銭してくれたって言ってたわよね」
「うん。ありがたかった」
あれがあったから僕はバイトもせず、街づくりに没頭できたんだから。
「『恋エロ』の主人公云々以前に、元々そういう資質があったのかも。妙に人を惹きつけるっていう…そういう下地が」
「はぁ?僕はいたって普通の大学生だったよ?何言って…」
「関係無いのよ。魅力と容姿は」
軽くディスられた気がするのは気のせいだろうか…?
でも確かに大人数のアイドルなんかは全員が美男美女ってわけでもないもんな。それでも大勢のファンが彼や彼女に魅了されて、多くのグッズを買い込んでいる。
「あなたってばこの『恋エロ』の世界で資質とビジュアル、その両方を備えちゃったのね。そりゃゲーム超えるはずだわ…」
「それ褒められてる?」
「だってこんなにはべらせ…あら?やだ!礼二くんこれ、ハーレムエンドじゃないの⁉」
「なにそれ?『恋エロ』にはバッドエンドかメリバエンドしか無いってニコが言ったんじゃない」
「『恋エロ』には無くても『恋バト』にはあるの!ハーレムエンド。あなたってば自力で『恋エロ』にハーレムエンド書き加えちゃったの?すごいわね…。その手腕に感心するわ」
全然嬉しくない。
「けどメリバエンドの回収が出来ないならコンプとはいかないな、残念…」
「何言ってるの!あなたが狂魔力を制御してる以上そのエンドは存在しないのよ?その代わりがハーレムエンドじゃないの!書き換えたのよ!上書きしたのよ!自力で!」
「なっ!」
生粋の腐女子であるニコは僕とは方向性の違う、でも、これもある種の廃ゲーマーである。
そのニコが何やらブツブツと考察をはじめた。ニコ、そういうとこだよ、みんなが怖がるの…
「そうか!どうしてあなたのハーレムにアルバートが…って思ってたけど、多分あれね。アルバートは4人を攻略したら現れる『恋エロ』の隠しキャラだったのよ。あのメーカーが特典出さない訳無いわ!」
「は、はぁ?」
確かにあの四人が登場したのはシュバルツたちを助け出して諸々落ち着いたタイミングだったけど…
「隠しキャラならシュバルツが…」
「あれは隠しルートのキャラでしょ?そうじゃなくてコンプ特典のキャラってことよ。『恋バト』のあなたみたいな」
なんと!…でも不思議としっくりくる…
「もしかしたら『恋バト』の四人からの選択方式だったのかも…」
「え?え?よく分からない…」
「それなら納得いくわ、どうしてセザールがあなたに絡んだか」
「えっ?えっ?」
四人との経緯全てを知ってるニコが言うには(あくまで考察だよ?)、早々にオスカーとは友情が確立となりルートアウトして、ローランドに至ってはツンからデレる辺りで僕が自力でフラグを叩き折って…
「セザールはいいとこまでいってたけど礼二くんがアルバートを選択したから友だちエンドに落ち着いちゃったのよ」
「選択って…相手王子だよ?断れないじゃん?」
「本当にそう?」
「え…」
確かにニコには何度も「それでいいの?」と聞かれた気がする…
そうとも!今更だがなんなら一番幼い王女様を娶って体裁だけを整えることは出来たはずだ!ゲスマン事変の前ならここまでまだ狂魔力の重宝性もアテにされていなかったんだし…、例の光の魔法がなんちゃら…とかもゲスマンより前なら…
「あ、あれ?」
「でしょ?あたしの言った通りね。これがほんとのフルカンストフルコンプよ。おめでとう礼二くん」
だから全然嬉しくな…
イヤ嬉しい!超嬉しい!
僕は自分でも気がつかないうちにすべてのエンドを回収してたっていうのか!
コンプの鬼である僕的に…これはなかなか気分が良い!
「いやー、内心自分のことやれる子だって思ってたけど、やったよ僕は!」
「さすがね!」
お式が終わったら帰館に合わせて大々的に祝宴を。パーティーの名目は婚礼祝いではなく完全制覇である。
何がどうして僕に彼女でなく彼氏がいっぱいできて、夫でなく妻側になっていまったのかは理解の及ばない部分もあるが…、これもまたゲームの必然。
実はそれほど悪い気分でもないし…思考の柔軟性は大切だ。ゲーマーだから!
「おいレジー、王子がお呼びだ」
「ヴォルフ…様ぐらいつけようよ」
「なーなー、この服脱いじゃダメか」
「アーニー…式の間は我慢して」
「眩しい…目が痛い…」
「シャリム…ベール二枚重ねようか?」
いつもの顔ぶれが僕を待つ。
「シュバルツは?」
「神殿で待つとさ」
「ウィルは?」
「扉の前だ」
僕が救い出した大切な『恋エロ』仲間たち。
それだけじゃない。
ジェイコブ、クラウス、騎士団のみんな。幼い頃から僕を支える大事な家臣。
アルを筆頭に、縁の下の力持ちだった『恋バト』の友人たち。
僕とここに暮らすみんなをもっともっと幸せにするために、僕はこれからも頑張ってみせる!そのためのフルカンストだ!
ウエストエンドを、クラレンスを、僕が作ったこの世界を僕は護り続ける!
「ニコ、僕は誓うよ。ニコの『恋エロ』は絶対壊さない。もっと充実させてみせるって」
「信頼してるわ礼二君。あなたのポテンシャルを信じてる」
「だからニコ、これからも協力よろしくね」
「お姉さんに任せなさい!」
ああ…僕は今世界一幸せ者だ。
こうして僕の長きに渡る『恋バト』ならぬ『恋エロ』プレイはフルコンプを持って大団円のうちに終了した。
それでも僕の輝かしい《恋エロ』続編はまだまだ続く。ずっとずっと。
視聴者のみなさん。どうか僕の街づくり…これからも温かく見守っててね!
実況はレジナルド。レジナルド・ハミルトン・ランカスターでした!
終わり
まだまだ番外編が続きます!
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




