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179 18歳 in ベターライフ神殿

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「この方が今クラレンスで話題の愛の伝道師、女神官ニコ殿…」



愛の伝道師…?だと?

アルバートと二人、ウルグレイスの最も神聖なる神官、王族でもあるユージーン様をご希望どおりニコに会わせるためベターライフ神殿まで案内するや、彼の口からは聞いたこともないようなニコの二つ名が飛び出した。


愛の伝道師…、そんな二つ名『恋バト』に出てたっけ?ザーっとスクロールしてたどこかのシナリオにあったってことか?

へぇ…


「あら、その呼び名をご存知とは…、どなたから?」

「サン伯爵家のジュネ夫人より…、…それにしても想像以上にお若い…」


「あら、礼二く、レジナルド様と同じ年ですもの。当たり前じゃないかしら」


いや、そのでかい眼とピンクの髪だって!


「それで何のご用でしょう?あ、聖女鑑定は受けませんからね、言っときますけど」


ニコの力を知れば知るほど王都の大神官たちは「あれはもしや…」と色めき立った。

そこでニコに聖女鑑定を受けるようにと何度も何度も、それはもうくどいくらいにお達しを寄越しているのだが、ニコは、「あれらはほとんどレジナルド様の手柄ですってば!」と言い張り頑なに拒み続けている。

僕も今さらニコのいないウエストエンドは考えられないので「あれは僕と神官ニコの友情あればこそなので」とその主張をフォローしている。


のだが…


「聖女認定…、ああ。私も話に聞き及ぶあなたの力には並々ならぬものを感じはするが…他国のことだ。干渉はすまい。」

「あら、じゃあクレームかしら?あれはあくまでも愛ある創作。崇高な愛の形。いいこと?人は障害ある愛だからこそ引き込まれるの。ましてや貴族社会で窮屈な思いに耐える彼女たちにとって、自分の性自認と切り離して見ていられるあの世界はある意味ファンタジー」


「ファンタジー…?」


「おとぎ話ってことよ。だから現実逃避が出来るの!あたしもそう。あの世界観には自分を投影しないでいられる。だからいくらピュアでベタで荒唐無稽でも素直に萌えられる。そしてそれを分かち合う感性の方がそこ居たというだけのこと。いくらあなたが偉い人でもあたしの萌えは邪魔させないわ!」


「あなたの主張には賛同する。だがバイオスの件に関しては些か言わせていただきたい」

「あらそっち?何かしら」


「あなたの書く騎士の姿は甘いと言わざるを得ない。あれはもっと過酷な状況下にあってこそその後の甘い展開が生きるのであって…」

「そこのところ詳しく」


なにか分からない話をしながらニコとユージーン様は行ってしまった。領主である僕と…一国の王太子を置き去りにして…


あいつら正気か⁉


「ふふ、じゃあ私たちはこのままデートとしゃれこもうか」

「…仕方ありませんね」


僕たちはこのあと東の山でエルダーと面会の予定がある。そうそう離れるわけにもいかないので神殿にあるパティオでお茶をして待つことにした。


柱廊で囲われた半戸外の庭、ここは中々に気持ちの良い場所だ。設計僕、デザインセザールの力作である。


エルが素早くティーセットを運んでくる。彼女もすっかりお年頃だ。

実は初めて会った時から一緒にいる、今では少年と青年の間にまで成長したジーと良い仲だって知ってるんだからね。お幸せに。


「レジー、なんでも元ナバテアの土地に別荘を建てているようだね。」

「ええ。あそこは僕がシーフードを堪能したくなったときに遊びに行く場所ですので」


エトゥーリアでも良かったんだけど…、あそこは僕が姿を現すと色んな意味で騒ぎになるから…


「そうだ。ねぇアル。誰か腕のいいシェフ紹介してくれません?」


「紹介してもいいが…、君はあそこをどうするつもりだい?それによってトラキアの使い方が変わってくる。父が気にしていてね」



そう言われても…、あそこはまだこうフワっとしか頭の中で製図が出来て無くて…さぁどうしよう。

エトゥーリアの海がわりと硬派だからもう少し洗練された海が良いかもしれない。

かと言ってベニスビーチのようなパリピ感じゃなく、ニースのようなセレブ感でもなく、イビサ島や、そうだな…サントリーニ島なんかも参考にしたら良いかもしれない。


「ええと…、あそこはリゾート地にします。あるのは美しい海と美味しい魚介料理、それから歴史のある建物…」

「歴史のある建物って…、あそこは今更地じゃないか」

「……歴史ある建物に似せた新しい建物、色目はそうだな…、ナバテアみたいにゴチャゴチャしたのは嫌だから色数を抑えて白とオレンジ…それとも白と青…、どっちがいいかな?」


「君の別荘を建てるなら白と淡い紫だ。そうだろう?」

「それいいね!そうだ!そうしよう!」


内陸を紫のジャカランダやラベンダーで一杯にして…ああ、イメージが膨らむ!


「…楽しそうだね。じゃあハネムーンはそこにしようか?」


ハネムーン、それはウエストエンドのヴィラでバンケットプランを打ち出してからこの世界にも浸透した概念。今ではヴェラにウエディングプランとしてセレモニー兼ハネムーンに訪れる貴族家も多い。


そうそう、因みにこのプランは、ランカスターのダンジョンランドでも行っている。ここよりご予算控えめなあっちは、貴族家ではなく庶民、それも若者向けだ。


「ハネムーン…、じゃあ急がなくちゃ」


「大丈夫。婚儀の後すぐ、っていう訳にはいかないからね。これでも王太子は忙しい。君ほどじゃないが。今ね、君の助言を受けローランドと低金利の国営貸し付け制度を模索中なんだ。だがなかなか難しい」

「でもそうすれば悪い高利貸しに騙されて人生台無しになる人が減ります。…ありがとうアル」


もうすっかりプレッシャーに逃げ出した王子様の面影は無い。





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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